コロコロ転がり行く内に、いつの間にか山を登っていて、寒々しいトゲトゲした山の、山頂付近で人を見つけた。松明の燃え残りを右手に、その男は大工みたいなハチマキを締めていた。


「そんなところで何をしているの?」

「罰を受けているところだよ」

「何か悪いことでもしたの?」

「僕は悪さなどしていない、王女がおかしいだけなのさ!」


 その人は僕を不愉快そうに眺めつつ言った。


「帰ってくれよ、ハゲワシくんよ!」

「そんな言い方ないでしょうが!」


 僕は怒って腹を食い破り、その肝臓を、ついばみ食べる。痛そうに、苦しそうに叫ぶその男は、僕が少し目を閉じて開けた瞬間に、お腹が元に戻って、また食い破って肝臓引き出し飲み込んで、でもまばたきすると、また元通り。「懲りないヤツだな」と僕は怒る。腹を食い破って、肝臓をついばんで食べる。だが目を閉じて開くとまた、皮が食い破られ、内蔵が露出したはずの腹はすっかり元通り。

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