体を覆う、ふかふかウールのクッションが、あちこちぶつかる僕の体を、衝撃から守ってくれていた。穴の側面はデコボコで、荒れ放題で、殺風景な、この穴に壁紙を貼ってやりさえすればぐんと、華やかになりそうなのにね。下へ、下へ、どんどん下へ、まだまだ下へと落ちすぎた僕はようやく底に、ポヨンと跳ねる。落ち葉が敷かれていたようだけど、ウールのクッションがついた僕には必要なかったみたいだね。


「そこにいるのは、一体誰なんだい!?」


 僕は思わず、震え上がった。怒った時のお母さんのようなその声に、僕は恐る恐る、振り向いた。ハートたくさんのワンピースのドレスに身を包み、ハートがたくさんの王冠を被ったお母さんがそこにはいた。


「母さんここで何をしているの?」

「羊が何を生意気な口を、さっさと毛を刈り尽くしておしまい!」


 トランプ兵が、やってきて、僕の羊毛をバリカンで、あっという間に刈り尽くした。毛穴ばっかりの醜い哀れな子羊は、恥ずかしさのあまりに発光し、その輝きが、辺り一帯を包み込む。

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