6-(5/7)人生の猶予
衛星墜落論戦の舞台となった会議室の一角、録画停止ボタンを押した
「打ち合わせ通り今すぐ俺が投稿してもいい。それか君に送って見直し検討するのも、君の……〝
僕は黙って首を横に振る。誰を疑うかが重要なのが人狼ゲームだが、誰を信じ抜くかが重要なのが人生だ。動画アップロードで視聴者から
「発信すると決めてある。
彼は国に雇われており、その関係から端末も高い
「どうした?」
「
僕は政治や国家の在り方に疑問を感じる。
僕は各地に蔓延る論戦の形態に憤りを覚えた。
無知で無関心だった自分自身や〝国〟への不満と怒り、どんな方向に僕が進むのかは分からない。今からでも多くを学び国を変えることを目的としても、そうではなく
「人生を賭けて作った猶予で、人生の行き先も見定めるよ」
「ならば、もはや何も言うまい。困ったり気が変わったら頼ってくれ」
頼る、とはまた違うが
*
「階級を分け扱いを変える方が、国にとって都合が良い。残念ながら、な」
「ありがとう……僕も自分なりに調べて、他の人間とも話をして、考えてみる」
スラム育ちの底辺にまで東亜健康保険や、最終手段である東亜保障が用意されている。その理由は貧困層に手を差し伸べなければ、憎悪を募らせた集団が東亜に牙を剥く
「腐りきってるな、この世界は」
溜め息混じりに本音が漏れた。それを聞いた
「俺も君も、そういう世界で生まれてしまったものは仕方ない。だからこそ……」
彼の言葉、その続きは分かっている。
だからこそ、せめて自分の人生くらいは「仕方ない」で済ませることなく、生きる。生き続ける。生きていかなければならない。
「僕は絶対に勝ち続けてやる、人生も……探し続ける」
「心意気は良いが無理や無茶はするなよ、
手すりに沿って無重力の宇宙空間を移動する僕と
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます