3-(4/7)確定狼の処刑


 十五名の中から突然死と処刑で三名が脱落した初日。

 十二名の参加者から寡黙かもくな政治家が処刑され、解析アナライズという役職が襲撃により死亡した二日目。

 二日目に発生した〝パンダ〟の処刑が行われた三日目は、誰も彼もが私室から出なかった。


 警備セキュリティは半田が人間だったのか狼だったのかを判断し、正しい調査サーチを護衛しなければならない。

 

 それ以前に、警備セキュリティは自分の役職を匂わせてはならない。

 さもなくば、解析アナライズ調査サーチよりも優先して襲撃を受けるからである。

 調査サーチ真偽しんぎが初日から分かっている〝狼達〟は自分と接触する者が誰であれ、きっと誤った結論や護衛先へと誘導する。

 ゆえ警備セキュリティは自室にもり、他の〝人間〟もまた警備セキュリティの意を汲み他者との関与を避ける。

 陣営勝利の明暗を分ける正念場とも言える三日目の夜、警備セキュリティは判断ミスを犯してしまった。


 四日目、朝。議論ホールには勝ち誇った表情の関西。


半田ハンダ殿どのに……申し訳が立たないでござる」

「キミらチョロ過ぎて笑いが止まらんわ」


 軽曽根カルソネ、襲撃により死亡。

 狼達は個人識別板パーソナル・カードを介した通信で軽曽根カルソネの部屋を襲撃先として選択。

 おそらく〝警備セキュリティ〟は関西カンサイの部屋を護衛した。

 そうして軽曽根カルソネは室内に充満した二酸化炭素によって命を落とし、マイナス三十度に再設定された空間で冷たい死体となって発見される。


吾輩わがはいも、他の者も……本日は関西カンサイの処刑を行う。異論はないな?」


 調査サーチの片方、軽曽根カルソネの死。

 つまりはもう一方の関西カンサイが狼だったことを意味する。

 そして、それはそっくりそのまま〝半田ハンダは人間〟という事実を突きつける。


「オレは死ぬけどなぁ、はなから目的は衛星の墜落や。それに、残りの仲間はキミらにとらえきれん。狼陣営の勝ちや!」


 関西カンサイがこれ以上、仲間の情報を落とすことは考え辛い。

 誰からともなく彼への投票が開始し、関西カンサイへの票数七と白戸シロトへの票数一をもって、個人識別板パーソナル・カードでの操作が完了した。


「地獄で待ってるで。めちゃくちゃになったらええねん、あんな国」


 ひらひらと右手を振りながら、関西カンサイが歩き出す。


「進行をとるべきなのに申し訳ないでござるが、今日も拙者の部屋には近寄らないで欲しいでござる。電脳干渉で主催に関して、掴めそうで……それが拙者の仕事であり半田ハンダ殿への報いにもなるでござる」


 御劔ミツルギ早乙女サオトメ管木スガキ王賀オーガ蝶野チョーノ

 五名中、推定で二狼。


 関西カンサイを処刑する今日は八名の盤面。

 ⑧→⑥→④


 真の調査サーチのこした情報は白戸シロトが人間という一点のみ。

 明日から二回の処刑で、二名の狼。


 ミスは……許されない。


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