【ご報告】魔王様(清楚系美少女)と結婚しました〜「世界の半分をおまえにやろう」「断るッ」「よろしい、ならば戦そーーー」「代わりに魔王様の全てが欲しい!」「ほへっ!?わたし!?」〜

y=ボーダー

第1話 勇者の俺、魔王様にプロポーズしました

魔王城スノウストーム。

氷結した大地が多くを占める極寒の地にて、

それはそびえ立っていた。


「あと少しですね...!勇者様!」

仲間の白魔道士が凍えて白くなった吐息をこぼしつつ、励ますように語りかけてきた。


「俺ぁ魔王と戦うのがワクワクしてきたぜ!」

同じく仲間の戦士が楽しそうに話す。

まるでバトルジャンキーのようだ。


「まったく、人類の未来が掛かってるのよ?

ねえ?勇者様」

大人びたお姉様系の黒魔道士が、戦士をたしなめるように語り掛けていた。


俺は深く頷きつつ仲間たちに応えた。

「そうだな、もう少しで待ちに待った魔王さまーーじゃなかった、魔王城だ!」


「勇者様、ファイトです!」

「俺の背中は預けるぜ?」

「私達なら絶対にやれるわ」


仲間たちの信頼が心地よい。

そうだ。あと少しで念願の魔王様。

ついに俺の願いが叶うんだ!



俺達は門番をなぎ倒し、衛兵を千切っては投げ、千切っては投げを繰り返して、魔王様の謁見の間にたどり着いた。


「ほう、よくぞここまでたどり着いたな勇者よ」


「全ては、貴方に会うためだ」


われが人類に戦争を仕掛けてはや五年。我をここまで追い詰めたものは、そなたが初めてよ」


「貴方の初めてになれて光栄だな」


「だが、我は悲しい。そなたと戦わねばならんことが。見よ、この大地を」


謁見の間から見える景色は、どこまでも極寒だった。


「この寒さのせいで自然に乏しく、民は食料に飢えておる。我らが生きるためには、この戦争は致し方なかったのだ」


推しの言葉に、俺はおおいに共感した。

「ふむ一理あるな」



「だまされないで!勇者様!」

「そうだぜエイト!」

「戦争で苦しんでる人たちを思い出して!」


...仲間たちのうるさい野次には、深く目をつぶることで受け流す。


「そこでだ、勇者よ。一つ提案があるのだ。我の仲間にならぬか?」


「魔王様の仲間に...?」


「さま...?いや、よい。そうじゃ仲間じゃ。我の仲間となった暁には、世界の半分をくれてやろう。

我は既に王都にまで手を掛けておる。

我がそなたと手を組めば、世界征服など絵空事ではない」


世界の半分ね...


「断るッ!世界の半分なんか要らない!」

俺は即答で断った。


「その通りです!」

「そうだぜエイト!」

「人類の未来のためよ!」


仲間たちの力強い応援。

ああ、言われなくても分かってるぜ!


「そうか、仕方がないな。

 ...よろしいならば戦そーー」


「その代わり!魔王様の全てを下さい!

 何なら俺と結婚して下さい!!!」


「「「は?」」」

仲間たちのポカンとした声。


「ゆ、勇者様?い、いったいなにを...?」

「どういうことだエイト!」

「人類の未来はどうなるの!?」



そして、いきなりプロポーズを受けた魔王はというと...


「はへっ!?結婚!?わ、わたしと?

わたし魔王ですよ!?

あなた達の敵なんですよ!?」


困惑した表情で、狼狽うろたえるのだった。


だって、魔王様、

清楚でめっちゃ可愛いんだもん!!!

俺のタイプなんだもん!!!

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