EITOエンジェル総子の憂鬱（仮）39

ライドシェア殺人事件（前編）

　＝＝＝＝＝　この物語はあくまでもフィクションです　＝＝＝＝＝＝＝＝＝

　==============　主な登場人物　================

　南部（江角）総子・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

　南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。

　大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

　足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

　石動悦子・・・　EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

　宇野真知子・・・　EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

　丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

　河合真美・・・　EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

　北美智子・・・　EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。現在は休暇中。

　久留米ぎん　・・・　EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

　小峠稽古　・・・　EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

　和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック７のメンバー。

　中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック７のメンバー。

　海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック７のメンバー。

　来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック７の総長。EITOエンジェルス班長。

　愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった。

　本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー。

　大前（白井）紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。

　芦屋一美（ひとみ）警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。

　芦屋二美（ふたみ）二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー。

　芦屋三美（みつみ）・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。

　小柳警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

　指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

　用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレ。

　友田知子・・・南部家家政婦。芦屋グループ社員。

　南部寅次郎・・・南部興信所所長。

　小柳警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

　向居博好警視監・・・大阪府警のトップ。警視監は、警視総監より1段下の階級だが、警視総監並みの発言力がある。

　神代チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、EITO大阪支部出向予定。

　佐々一郎・・・元曽根崎署刑事。横山と同期。今は大阪府警テロ対策室勤務の警部。

　真壁睦月・・・大阪府警テロ対策室勤務の巡査。小柳と不倫している、という噂がある。

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　=　EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す　＝

　==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==

　午前6時。大阪市南港。

　配車手続きをせず、車の乗り捨てをする場所で有名な場所だ。

　警邏に出ていた警察官が、乗り捨ててあった、乗用車の中に死体があるのを発見した。

　凶器は、瀬戸内海のどこかだだろう。

　午前8時。総子のマンション。

　トーストとサラダの朝食を採っていた、総子と南部は、ニュースを見ていた。

「タダでさえ、ドライバー不足やって言っているのになあ。」「なあ、あんた。ライドシェって『白タク』と違うのん？」

「ん？ああ、タクシー会社が指導管理して、アプリを使った予約制のタクシーらしい。『見切り発車』でなければいいけどなあ。二種免許はどうなるんやろ？やっぱり運転技術も商売気も要るやろうになあ。」

　南部の心配は、当たっていた。事件は起こったのだから。

　午前9時。大阪府警の記者会見。

　今回は、テロ関係と断定出来ないことから、従来通り、大阪府警のトップである、向居博好警視監が本部長として、会見を行っている。

「被害者は、前日の夕方、捜索願いが出ていた人物であることが、所持品のお名前カード並びに運転免許証、社員証から判明した。殺されていたのは、タクシー運転手古手川俊、52歳、どこでもタクシー社社員だった。前日の午後3時頃、客を降ろした後、消息が判明していなかった。凶器はナイフ。アーミーナイフのようなもので後方から襲われたものと思われる、と鑑識では言っている。今のところ、連続事件ではないが、後続の事件は起こりうるので、各タクシー会社には、長時分連絡がないドライバーには、事件・事故に巻き込まれた可能性があるので、会社から連絡を促すなど注意をするよう呼びかけている。進捗は随時報告申し上げるが、事件の目撃でなくとも、この車両の目撃情報があれば、捜査の参考になるので、各社から呼びかけて欲しい。間違っていても構わない。間違っているかどうかは捜査員が判断します。よろしくお願いする。」

　本部長は、副本部長以下と起立して頭を下げた。

　午前9時。EITO大阪支部。会議室。

　EITOエンジェルズの面々が神妙にニュースを見ていた。

　同。司令室。

　こんな時に、朝っぱらから揉めていた。

「ウチ、聞いてなかった。」「そやから、俺も初耳やねん。いきなり、では困るなあ。用賀君、こないだ、搬送した京都府警の刑事に間違いないんやな。」「ええ、そうです。今、訓練場にいます。」

「コマンダー。小柳警視正から通信が入ってます。どないします？」と、ヘレンが尋ねた。

「どないします、って繋ぎや。」マルチディスプレイに小柳警視正が映った。

「ニュースで記者会見のこと聞いたと思うが、タクシードライバーが殺された。このドライバーは本部長と旧知でナア、プライベートでは、よく利用していたらしい。どうした？どうした？この案件は、連続事件になった場合、EITOにもお呼びがかかるっていう業務連絡だが・・・。」

「小柳さん。その業務連絡ですが、メール1本で人事異動って困りますわあ。」と、大前は不平を言った。

「ああ。じゃじゃ馬のことか。実は、神代さんは、昔世話になってなあ。断る理由も無かったから。君も増員したいって言ってたじゃないか。自衛隊にも打診してはいるが、いい返事はまだ来ない。既に用賀君を送り込んでいるから、と思っているのかもしれない、と。」

「じゃじゃ馬ですか？」「ああ。地元では『暴れん坊小町』って言われている。親子で同じ職場って言うのも不味いワナあ。まあ、よろしく頼むよ。実績は送っておいたから、ヘレン君。後で、皆に見せてくれ。」

　午前9時半。会議室。

　不承不承の大前・総子『きょうだい』と、訓練場で待機していた神代警視、そして、芦屋二美、一美、三美の三姉妹が揃った。

「ジュン、手エ出しなや、チーフの為に。」ぎんはジュンに言った。

「それは、こっちの台詞や。我慢しいや。総帥もいてはるし。」と、ジュンは言った。

　途中からメンバーになった、いずみと弥生はハラハラした。

　EITOエンジェルズの主力メンバーは、元レディース、詰まり、元ヤンキーだからだ。

　皆は、『暴れん坊小町』の話は、会議室で聞いていた。仕切りのドアが薄いから、実は筒抜けなのだ。便宜上、分けて使って、マイクやスピーカーはあるが・・・。

「コマンダー。紹介して。私に無断で運んだ『お嬢』はこの子？」

「無断とちゃうやん。小柳さんに、ゴリ押しされた、ってメールしたヤン、三美。」

「メール？破いて捨てたわ、って昭和なら言ってたかな。今後は無しにしてよ。」

「コマンダー？今後は無し？あんた、何者？」と神代は眉をひそめた。

　思わずヘレンが言った。

「芦屋総帥はスポンサーです。EITOは芦屋グループです。喧嘩、せんといて下さい。」

「手違いあったか知れんけど、新人さんですよね、ひ・・・コマンダー。」と紀子も必死に割り込んだ。

「私が説明する。この人は大前管理官。ウチらはコマンダーって言うてる。ウチは、EITOエンジェルズ束ねてるから、チーフって言われてる南部総子や。EITO大阪支部は、芦屋三美ネエ、三美さんが全面寄付して立ち上げた組織や。EITO東京本部は、資金難に苦しんでたから、総帥が株買い取って、大株主になったんや。主力メンバーは、立ち上げるよりずっと前にウチが、私が更生させた社会人を私が引っ張って来たんや。それから、顔がソックリさんの2人。芦屋二美二曹は陸自からの出向、芦屋一美警部は大阪府警からの出向や。そこで肩寄せ合ってる2人。愛川いずみと本郷弥生は、東京本部からの出向。美智子が抜けた後やからって、補欠と思わん。ようこそ、EITO大阪支部へ。正式にはいつから勤務か知らんけど、あんたは今日からウチの部下や。命令遵守！！紀子、ハンマー！！」

　はっと気がついた紀子はピコピコハンマーを総子に渡した。

　総子は、ピコピコハンマーで10回、神代を叩いた。

　神代は、土下座をした。「すんません、新参者が生意気しました。よろしくお願いします。」

「よし、下の名前で呼ぶ場合が多いけど・・・小町でええかな？みんな？」とコマンダーこと大前は言った。

　皆、無言で首肯した。

　―完―