第3話 陽キャ

幼馴染が席に帰ったあと俺はトイレに行こうと

廊下に出た。


「おい待て」


呼ばれた声を振り返って見ると…


クラスの陽キャ男子達が立っていた。


「お前桜井さんとどういう関係だ?」


先頭に立っている髪を金髪に染めた男が言う。


こいつがクラス男子グループのリーダーか?

確か名前は佐藤 陽介。

彼女持ちだがすぐに別の彼女を作ったり、

二股していると噂の立つ人物だ。


「えっと…幼馴染ですけど…」


「嘘つけ!

 そんなことで桜井さんがあんなにお前みたいな

 典型的なインキャに何回も話しかけるか!」


あれそういや幼馴染も俺のことそう言っていたな

俺ってそんなにインキャなのか?

まあそれは一旦置いといてこの状況は面倒だ


「陽介さんは桜井さんの事を狙っているんだぞ!」


取り巻きの男子達が言っている。


「陽介さんはな クラスの女子のほとんどを

 彼女にしてきたお人だ!

 そんな陽介さんだが桜井さんだけは

 出来てないんだぞ!」


してきたってことは今は違うのか

しかし狙っている…か…

こいつの彼女が幼馴染だったとしたら

絶対に嫌だな

それだけは確証できる

まああの性格の幼馴染がうんと

言うわけないな

あいつこういうキラキラした人は

嫌いそうだし


「そういうことだ 俺はクラスのほとんどの女子を

 惚れさせた。

 だが桜井さんに前言われたことは…

 「ごめん私好きな人がいるんだ。」

 だぞ! 桜井さんが一番話しかけているのは

 お前だぞ!どうゆうことだ!」


へー幼馴染好きな人いたんだ

一体どんなやつなんだろうか

やっぱりイケメンかな


まあ俺ではないことは確かかな

あのなんでもできる幼馴染が俺みたいな

取り柄のない人間を好きになるわけないしな


一体誰なんだろ

でもなー あの幼馴染だしな

面倒くさいから適当な嘘をついた可能性もあるな

というかそっちの方が可能性高いわ


だがどうしようか こいつらは幼馴染に

騙されてるしな

嘘をついた可能性もあるとか言っても

信じないだろうな


「あいつとはただの幼馴染でして……」


「おまっ!

 桜井さんの事をあいつって言ったな!?

 ただの幼馴染か?本当に??」


なんという墓穴!

しまった! どうしようか…

とっとりあえずこの場から逃げよう!


「あいつとはただの幼馴染ですから!

 あいつを狙っているならどうぞ

 ご自由に!!」


俺はそう言って全力で走って逃げた。





我ながら最低だな


そんなことを考えながら自分の席に座る。

陽介が何か話しかけてきそうだったが

担任が入ってきて全員が席に座る。


「あーでは………を……

 まず最初に……」


担任の名前は興味がないので覚えていない。

担任は50過ぎたおっさんだが

いつも何言ってるのか不明だ。

声が低くて滑舌が悪くてボソボソ喋っている。

なのでクラスメイトからはエコーミステリアスと

呼ばれている。

聞き取りにくい声が超音波ということらしい。


しかしそう思うと

よく教師になれたな

若い頃はしっかりと話せてたのか

そろそろ退職かな


そんな失礼なことを考えていると…


「…といっし……だから

 良一!よろしくな」


は? 何言ってんのか分からんくせに

人の名前呼ぶ時だけはっきり言うなよ

ていうか要件なんだったんだよ

聞き取りにくくて何頼まれたのかわからん



ほどなくしてホームルームが終わる。


「おーいー!良一君ー!」


幼馴染が俺を呼ぶ。


「先生が私と一緒に放課後に一緒に教室で掃除

 しろだって!」


「おまえよく先生の言っていることが

 分かったな」


「ふふーん! すごいだろ!」


幼馴染がドヤ顔をしている。


可愛いと思った

まじでこいつ本性隠している時は可愛いんだよな


ふと横を見ると陽介がじっと瞬きもせずに

こっちを見ていた。


やめて…怖いから…

あとでまたなんか言われそうだな

はぁ 嫌だな…


まあでも幼馴染に好きな人がいるのを知れたのは

良かったかもな

誰なのかこっそり探しておこう

幼馴染との話のネタに使えそうだ








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