第32話 一位の思惑

「はいはい二人とも喧嘩しないで。」


「ねぇ!アビスは私の物だよね!」


「いいえ、違います!アビスさんは私の物です!」


「………」


はぁ。二人はいつもこんな感じで私の物だどーのこーの言い合っている。

こういう時は…


チュッ


「はぇ!?」


「ふにゃ!?」


「これで満足?」


「アビス…顔真っ赤だよ?」


「うへへアビスさんからのキス…」


「あぁ、ほら早く次の試合始まるよ!」




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「まさか…ここまでとは…」


「だから言ったでしょ。ご主人様の力は私達を遥かに超えてるって。」


「ローライもうちではかなりの実力者なのじゃが…」


「んじゃ私ご主人様の所帰るから〜」


「あぁ。好きにしろ。だが、ちょくちょく遊びにくるんじゃぞ。」


「はいはーい。」


そのまま壁を貫通してあの子の下へ戻っていく。


「……やはり彼女の力は奴を超えているのかもしれんな。だが、まずは私で試したい…」


美しい微笑を浮かべ舌舐めずりをする。


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あれから序列4位から2位までの試合が始まった。

皆神装を解放していて凄いなぁと思った。どうでも良いけど。

しんどかったのは観戦中に今度はサーヤが私を膝の上に乗せて太ももの感触や足の付け根、胸を揉み出した。

声を抑えるのに必死だった。観戦中にそういうことするのは良く無い!


隣から刺すような視線を感じたけど気のせいだよね。


「次はみなさんお待ちかねの序列一位同士の試合です!」


会場のボルテージが上がる。


そうか序列一位か。前私に話しかけてきた人と相手の方が戦うのだろう。

まぁ実力は分かってるけど。少し楽しみだ。



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「ふぅ。流石に緊張するわね。」


ヘスティア・レイ。

王都剣術魔法学園の一年生にして実力はトップに位置している。


赤い髪に真紅の瞳。

中々な胸の大きさもしている。容姿も能力も恵まれている少女。

だが、ずっと彼女の心に残っている者が居る。


「アビス…」


彼女が私の心を惹きつけている。

会う前に聞いた時は何らかのズルをしているのだろうと思っていた。だが、王女との試合を見て考えが変わった。彼女は強い。今まで見たことが無い程。


そして前直接会った。その時だった。心にモヤモヤが残るのは。紫色の髪に美しい空のような瞳。前髪のせいで目元は隠れているが凄く…美しかった。小さい体型と胸が無いのが他の男や女の目を避けれているのだろう。

力を入れてしまえばへし折れてしまいそうなか細い腕。

抱きやすそうな体躯。

彼女の魅力に気づいてからずっとお腹の奥がきゅんきゅんする。あの子を私の物にしたい。

ベッドで毎晩鳴かせたい。私に依存させたい。

だがそれをするには邪魔者がいる。

序列8位のアズサとかなり実力のあるサキュバスのサーヤという女だ。

腹立たしい。今日も観客席でキスをしたり私のアビスの胸を揉んでいたりした。

羨ましい。私もそうしていたいのに。

何故かあそこまでいちゃついているのに人目にはつかない。


……

今回の試合で勝てば彼女に話しかけよう。まだまだ学園は始まったばかりだ。奴隷に堕ちる事なんて無いだろうしもしそうなったら家の力を使って私が買おう。


「ヘスティアさん、試合が始まります。」


「あら、そう。報告ありがとう。」


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