お助け女神様!VRMMOの自キャラに転生したので、困っている人がいたらどんどんお助けします!!

イチゴオレ

プロローグ

「はぁ...はぁ...お母さん...みんな...」


薄暗い森の中を一人の少女が必死になって走る。


息は切れ、服には泥が付き、その小さな身体には木の枝によってできた無数の傷がついている。


「待てえ!!」


「絶対に逃がすな!!」


背後から聞こえてくるのは男達の怒号。


その手には立派な剣が握られており、全身を覆うフルプレートのアーマーによって顔は見えない。


(ミヤも...殺されちゃう...)


少女は村のみんなのように自分が殺される姿を想像し、呼吸が荒くなる。


「誰か...はぁ...はぁ...たすけて...」


暗い森の中でこんな言葉を吐いても、助けなどやってこない。しかし、少女は吐かずにはいられなかった。それ程までに彼女の精神は追い込まれていたのだ。


「やっと追い詰めたぜ」


「手間かけさせやがって」


「いや...来ないで...」


森の木々を抜けた先、そこには深い渓谷があり、これ以上先に進むことはできない。


「助けて...お母さん...」


少女は村から自分を逃がしてくれた母のことを想う。


「ふっ。村に残ったお前の母親なら、既にジランク様の手によって殺されてるだろうよ」


「そんな...」


「さぁ、親子共々ここで終わりだ」


騎士の一人が少女にゆっくりと近づく。


すると、少女は母から貰った大切なペンダントを服から取り出し、両手でそれを包み込むと、女神に助けを乞いた。


(お願いします女神様。どうかミヤをお助けて下さい。お願いします!!)


「お前、そのペンダント!!」


その瞬間、騎士と少女の間に光の柱が天から降り注ぐ。


その光はまさに純白。一切の濁りもない光の周りには、キラキラと星粒のような結晶が漂う。


見る者の瞳に映り込むその美しい光景は、まるで女神が幻想的な森の中に姿を現したかのようだった


「...きれい」


少女は自分が置かれている状況も忘れ、その光景をうっとりと眺める。


騎士達も迫る足を止め、その光に見とれていた。


やがて光は徐々に輝きを弱め、その中心には一つの人影が見えてくる。


光が全て消え去り、そこに立っていたのは、綺麗な銀髪に青い瞳を持つ女性だった。


純白のドレスを身に纏い、金色の胸当てはそのドレスと調和していた。腕にも同じく金色の籠手が輝き、腰には驚くほど美しい剣が収まっている。


「...女神様」


少女はそう呟いた。


そして、女神様はゆっくりと辺りを見渡し、桃色に染まった甘美な唇をそっと開く。


「ここは、どこ?」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る