とある冒険者の旅行記?!

あとでしよう

第1話

 まもなく日が暮れて辺りは夕闇に包まれる時間に帰ってこれた。

 目の前の街門にはまばらな人が並んでいた。


 恐らく自分と同じ冒険者だろう……。

 

 まもなくこの街に来て2週間経つが、待ち合わせの人物は未だに来ずとりあえず後ひと月ほど待つつもりではいた。


「よう!ウィルだったか?街には慣れたか?」


 気付けば次は自分の番になってて列の自分に門の衛兵が話かけてきていた。


 初めてこの街に来た時に手続きをしてくれた……たしかアベルというオッチャンだ。


「四週間くらいじゃまだまだだよアベルさん。待ち人来ねーし、暇つぶしに依頼こなしてるくらいだし」


「わはは!まぁ焦らず待っとけ。約束なんだろ?ほれ、冒険者証」


 冒険者ギルドで作られる身分証兼登録証である冒険者証を渡す。

 ルールなので顔見知りでも見せるのが決まりだ。


「ほいよ」

「ん、問題なし。じゃあな」

「はいよ、またな」


 アベルが返した冒険者証を受け取り街に入る。


 この街ラズラエドという名で二箇所のダンジョンをその周辺に抱え、近年大きくなりつつある街であった。


 それまではラズラエドは狩猟や林業が主な産業の小さな街で、要所ではないがわりと安全に旅ができる道程として選ばれやすい街だ。


 それがほんの二十年前にひょっこりとダンジョンが周辺に二つ出来た事で色々あり、最近は冒険者の街として認知を集めてるらしい。


 さて……ダンジョンとはなんぞや? と聞かれるとふたつの答えが出てくるのが知ってる人の答えだとか。


 一つは【地脈に出来た悪性腫瘍のようなもの】というもの。


 もう一つは【金と名声と死が混在するところ】というもの。


 まぁ【魔物か居わんさ居るフィールド】である。


 ダンジョンといわれるのは三種あり、

 

 一、地下迷宮という地面の下に向かうもの


 二、迷宮塔や魔山と呼ばれる地面の上に向かうもの


 三、迷宮ラビリンスと呼ばれる地上に平面的な迷路になったもの


 ラズラエドは北に森の迷宮と東に地下迷宮が出来ていた。


 危険度はどちらかと言えば地下迷宮の方が上と言われているが、初心者がいきなり行けるほど甘くは無い所らしい。


 らしいと言うのはまだダンジョンに行ってないからだ。


「まったく…干あがる前に来るのかね?奴は!」とつい独り言を吐き捨てる。


 街門を抜け街に入ると街中は仕事帰りやら、飯や飲みに行く人でそれなりに賑わっていた。


 この街は逆三角形の形をしており北に切り立った崖を十kmほど抱えていて、そこにV形の城壁を築いて街を形成していた。


 そしてこの崖実は鉱脈が二つもあり、銅鉱と鉄鉱が掘られていた。


 純度はあまり良いとは言えないけど地表に近い鉱脈は貴重であった。


 鉱脈も街ができた時は全く知られてなかったが、ダンジョンが出来てたまたま来ていた冒険者の中に、鉱脈を見れる者がいて


「鉱脈があるかもしれん」と崖の石ころを割っていたのがきっかけだとか。


 代官がその噂を聞き領主に了解を得て試削したところ……


 割とあっさり鉄鉱が見つかり、念の為と街内の崖部分だけでもと調べたら銅鉱もあっさりと見つかったとか。


 予算の都合で街内だけだったものの、二つも鉱脈が見つかったのには領主はホクホクだったそうな。


 純度があまり良くないと言え魔物の素材に加え鉄・銅が出るので近隣から鍛治士になる者が増え近隣ではちょっとしたブランドになってたりする。


 まぁ俺はよそ者なので詳しくはないが聞いた事あるかなぁ? 程度には他所にも知名度があるみたいだな……しらんけど!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る