第5話 悪は我が世界から来るという悲劇
「おかしくないか?」
突然に蒼太が声をあげた。
「ん?なにが?」と黄金。
「俺達がいた世界は今時間が止まってるんだろ?なら何故悪人達は死んでこっちの世界に転生してるんだ?」
最もな疑問ではあるが、女神エリシアがあっさり答える。
「それはあなた達がこの世界に来るまでに死んだ悪人がこっちに転生してるからよ。今は時間を止めてあるんだから当然死にもしないし犯罪もできないから増えることはないわ」
エリシアの話に納得した蒼太だが複雑な心境である。
絶え間なく、無限に襲い来るように感じるほどにゴブリンやオークは出現している。
女神エリシア曰く地球で100年の間に大罪を犯した者がモンスターに転生して来ているという。
100年前から今までに何万人、何億人の悪人があっちの世界にはいたのだと改めて思い知らされた。
「平和…じゃないなぁ、俺たちがいた世界」
緑樹が空を見上げてポツリと言った。
「せやなぁ…」と黄金。
この異世界アースティアは魔王が滅びたこの100年もの間、殺人ゼロ、性犯罪ゼロ、強盗ゼロ、傷害事件ゼロと平和そのもので正に我々人類の理想郷だったのだ。
病や事故、災害などの自然発生の不幸な出来事は別にして。
それを自分たちがいた世界の人間が転生して脅かすという悲劇をオーガ一同は目の当たりにしている。
「頑張ろ!」紅葉は更にヤル気満々になった様子。
悪人どもの尻拭いをするようで不満ではある。
しかし、オーガ一行は自分たちの運命を受け入れて、魔王討伐を、そしてこの悪人転生の首謀者を探し出すという目標を掲げて改めてこの異世界に平和を取り戻すと誓ったのだった。
「ところであなたたちの世界では鬼って悪魔みたいな?どっちかって言うと悪者イメージよね?なんでヒーローなの?ゴッドオーガーって」
女神エリシアの素朴な疑問に明確な答えを持っている者はこの場にはいなかったのであった。
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