女性優位の世界で普通の生活がしたい俺
クククランダ
第1話 ここは現代ファンタジー
よぉ、俺の名前は
なぜ分かるかって? それはここは魔法があり、いろんな種族がいて、恐ろしい怪物がいるからさ。
そして俺は普通の男だ。顔も特別優れてはないし、髪も少し長いくらいの黒髪で、身長もそれほど高くはない。
そしてここは女性優位の世界である。魔法が使えるのも、獣人が産まれるのも決まって女性であり、男性には何もなく、決まって弱くて守られる存在ってのが世界の共通認識だ。
そして俺は今はこの凶悪な布団ちゃんと戦っている。まったくなんて奴だ。俺は今は布団に深い眠りへと誘われている。
しょうがない。これは再び眠るしかないか。
「あー! 聡まだ起きてない!」
「別に良いだろぉ?
再び寝ようとすると、勢い良く扉が開いた。部屋に入ってきたのは赤い綺麗な長髪にふさふさの尻尾が生えた犬の獣人。
羽佐間優香は俺の幼馴染である。
こいつは小さい頃に俺の家の近くに引っ越してきた。
それから一緒に遊んでたらなんか懐かれた。
「早く起きろよぉ! 今日が卒業式だぞ!」
「えぇ? 別にもう卒業なんだから別に良いじゃん。もう進路も決まってるし」
「俺は聡と一緒に卒業式に出たいんだ!」
「布団を引っ張らないでくれ。俺はまだ寝たいんだ」
俺と優香は布団を引っ張り合う。するとしばらくすると優香が急に下を向いた。
「まだ寝るんだったら本気で暴れるぞ!」
「おいバカやめろ。こんな所でお前の馬鹿力出したら部屋が無茶苦茶になるわ」
「じゃあ、早く出てこい!」
「へいへい」
俺はそう言いながらしぶしぶ布団から出ることにする。まだ寝ていたかったが、前回こいつは一回それで俺の部屋を荒らしている。ここは素直に従うことにした。
「じゃあ準備出来たな? 良し! 行くぞぉ!」
「おい馬鹿、引っ張るなって」
俺は優香に引っ張られながら、学校に着いた。毎度のことながらなんでこいつはこんな俺に構うのかね? よく分からん。
「ウィース」
俺はドアを開けて気の抜けた返事をしながら、教室に入る。すると、1人の男が声をかけて来た。
「聡。遅刻だぞ? 卒業式くらいはちゃんと時刻通りに来いよ」
「いや、8時半からだからめっちゃ早いだろ?」
そう言いながら時計の方へ指を指した。
「それは女子の登校時間にしては、だろ? 俺たちはそれより30分以上早く来ないと駄目って先生にも言われてるじゃないか」
そう、何故かここ、というよりこの世界では学校では女子より早く来て掃除をしなくてはならない。他にも女性優先券や女性専用の道路などたくさんある。
ま、俺はそんなの守ったことないけど。
「まぁ、最後の学校なんだし別に良いじゃないか」
「はぁ、お前のことだから今日もサボろうとしてたんだろ?」
「……そんなことないぞ?」
「なら目を見てから言え」
そんなことをしてたら他の女子たちが登校しているのが窓から見える。高速で走って来たり、空を飛んでいたり様々な女子たちが登校をしてくる。
「ほら、女子たちが登校して来たし俺たちも席に着こうぜ」
「はぁ、お前は最後まで変わらないな」
「ま、それが俺だからな」
そんなことを言いながら俺たちは席に着いた。
「はぁー、卒業式長すぎ。もう無理、早く帰りたい」
俺は卒業式も終わり、校門を出て家に帰ろうとすると。
「聡ぃいい!」
後ろから思いっきり抱きつかられた。というか突撃された。後ろを振り向くと優香が尻尾をブンブンと振って俺に抱きついていた。
「痛い。…で、なんだ?」
「一緒に帰ろう!」
そう言いながらキラキラとした目で俺を見る。こうして見ると本当に犬っぽいな。
「はいはい」
俺は適当な返事をして、優香の頭を撫でてやる。
「えへへ! 聡に頭撫でて貰うの好きだ!」
「そうかい。じゃ、帰るぞー」
俺たちは2人で最後に来るであろう学校に背を向ける。
女性優位の世界で普通の生活がしたい俺 クククランダ @kukukuranda
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。女性優位の世界で普通の生活がしたい俺の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます