第86話 手を繋ぐ

彼の隣で歩幅を合わせて歩いた。


どこ見ているのかと

視線を追いかけると

わざと違う方向に変えた。


彼が見ていた場所が、わからなくなる。


「ねえ、なんですぐそっち見るの!」


「俺が見るの!」


「はぁ?」


「俺が!」


彼は私を指をさす。

いつも名前を言ってくれない。


いつの間にか左手で握られている。

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