第21話 水原まな

 小さな頃からアイドルに憧れていた。

 テレビで観たダンスを完コピし、人前で歌う明るい女の子。


 私は小学2年生の時に千佳ちゃんの住む部屋の上の階に引っ越してきた。

 近所の挨拶回り、下の階のおうちに伺った時に部屋の奥からちらりと除く千佳ちゃんと目が合った。

 母と話していた千佳ちゃんのお母さんが「あんた明日からまなちゃんと一緒に学校行ってあげな」と部屋の中を振り向いて言う声に「ええー、はーい」とぶっきらぼうに返事するおねえちゃん。

 妹しかいなかった私は姉が出来たようで嬉しかった。


 毎朝、階段の踊り場でアイドルの振りの練習をしながら千佳ちゃんが出てくるのを待った。

 登校中、手を繋いだりはしない。

 天気がいいねとか、友達できた?とか、どうでもいい話もしてこない。

 お話し好きの私がほとんど一方的に話し、千佳ちゃんは興味なさげに聞く。

 5年生の女の子だ、2年生なんて鬱陶しかったに違いない。

 それでも段々と目を見てくれる時間が多くなっていった。


 始めの頃より何分か早く出てきて、踊っている私を見て笑顔をくれるようになった。

 友達とのことを相談すると、千佳ちゃんも好きな子のことを相談してくれるようになった。正直よくわからないこともあったけど

「まな、なんか大人っぽいから3つも下なのに相談しちゃう」

と言ってくれるのが嬉しくて、必死で考えてこたえていた。


 千佳ちゃんが中学生になる。もう一緒に行けないと思い込んだ私は最後の登校日の朝、こどもっぽく寂しいと泣いてしまった。

 幻滅されたかもしれないと思ったが、千佳ちゃんは喜んでくれた。

 同じ学年の友達と一緒に登校したいのに無理させてたんじゃないかとか、年上の自分に話をあわせていてしんどかったんじゃないかとか、千佳ちゃんも気がかりだったみたいだ。

 これからも小学校と中学校の道が分かれるところまで一緒に行こうと簡単に答えを出してくれた時は、ちょっと考えたらわかったことなのにと恥ずかしくなったが、お互いの気持ちがわかり合えたんだから無駄じゃなかったよと手を繋いでくれた。


 千佳ちゃんが高校生になると自転車通学になってしまったので一緒に登校することは無くなったが、登校時間を合わせて「おはよう」を言い合った。


 そのころはもう階段の踊り場はステージとしては狭くなってしまったので、マンションの下で踊りながら千佳ちゃんが降りてくるのを待ち、話しながら駐輪場までついていって、じゃあね、と別れる。


 朝のあいさつ以外も、互いの家を行き来し、ファストフードの新作を一緒に食べにいったり、カラオケにいったり、放課後や休日も遊ぶようになった。


 私は高校生になってから色んなオーディションに挑戦するようになった。

 千佳ちゃんには、赤ちゃんが産まれた。


 千佳ちゃんの愛おしそうな眼差しの先の赤ちゃんに少し嫉妬したが、頼りなくて愛くるしいその子に自分も完全に心を持って行かれた。

 その子の父親として一緒になるはずだった人をいつの間にか見なくなったころ、そいつへの恨みを千佳ちゃんと赤ちゃんは私が守ってやるという思いに変えた。


 バイトをしながら高校に通い、レッスンやオーディションを受けに行く。

 空いた時間は千佳ちゃんに会いに行って小牧と遊ぶ。


 おむつも変えたしお風呂も一緒に入った。

 いつの間にかハイハイをするようになって、いつの間にか私たちと同じ食事を摂るようになって。

 熱を出して苦しそうに咳をする小牧を見ては可哀想で自分も息ができなくて泣きそうになったし、「まなちゃん」と真っ白い紙に私の顔をクレヨンで描いてくれた時も嬉しくて泣きそうになった。


 千佳ちゃんは嬉しそうにしながらも、そんな私をみていつも「ここに落ち着いちゃダメだよ、まなはちゃんとまなの人生を生きなきゃ」と応援してくれた。


 大学には行かずに相変わらずバイトをしながら夢を追いかけた。

 路上ライブや、出してもらえるクラブで歌いながら大手が開催するオーディションに挑戦する生活を続けていた。


 21歳。そろそろケジメをつけなければならないのかも、と就職することも考えていた時に、新人発掘オーディションから新しいアイドルグループを作るというプロジェクトに残った。


 プロジェクトのメンバーとの共同生活に入る前に、千佳ちゃんに報告すると泣いて喜んでくれた。

「やったねー」と言ってくれる小さな小牧を抱きしめた。

 きっとまだよくわかっていないだろうけど、この子の誇りになってやる、そう決めた。



 デビューまで約一年間、メンバーと共同生活をしながらレッスンを受けお互いを高め合う。


 当時18歳から22歳までの女の子7人が合格し、デビューまでの生活には密着取材が入っていた。


 生歌を聞いてもがっかりされない、ダンスだけでも圧倒できる。そんな”実力“のあるアイドルグループを作るというコンセプトだったので、歌やダンスのレッスンはとても厳しかったがそれがとても楽しかった。

 難しい事にぶち当たると悔しさが力になり、クリア出来たと思うと昨日までの重い自分を脱ぎ捨てられたようで震えるほど嬉しい。

 メンバーがそうなる様子を見ていても、とても幸せに感じていた。充実していた。


 が、演技ができない。


 俳優のレッスンがあったわけではない。密着取材のカメラに対する『演技』だ。


 泣きながら喜び合ったり、大したことない話しに転げるほど笑ったり、他メンバーへの闘志を剥き出しにする眼をつくったり。

 成長を喜びあえる仲間ではあるが、友達ではない。誰よりも抜きん出たい、敵ではないがライバル。という、役柄の。


 他のみんなはうまく出来ていた。

 自分にはどうしてもわからなかった。


 どういう心持ちでいればいいのか困惑していた時、言葉の端を拾って喧嘩を始めたメンバーたちがあまりにも『エンターテイメント』に見えてしまって白けた。

 自分の熱さがぶっ飛んでいった。


 それが彼女たちにとって演技ではなく、自然体だったのかもしれないが、それでも私がそれをカメラの前で出せないということは

『私は出役として売り出されることに向いていない。その世界でたたかっていく闘志がない。』

ということだと思った。


 結局そのときの私は、自分が知らない誰かのために創るアイドルになりたかったんじゃなくて、子供のころに向けられた両親や友達、自分の大切な人の笑顔を目の前で見たかっただけだったんだ、と自分に答えを出した。

 

 いよいよデビューまで残り1ヶ月。カメラの前で私に向いてくる嫉妬も空々しく感じて上手く返せなくなってきた時に、ふと美しく見えたのはメンバー以外の人たちだった。


 メンバーのいざこざや相談を聞いてくれたお世話役の堺さん。

 密着クルーとして一瞬の表情をも撮り逃さない真剣な眼差しのカメラマン。

 どう演出を加えれば私たちが輝くかを真剣に話し合うプロデューサーさんたち。

 いつも厳しく怖い顔をしているが、みんなの気持ちが歌詞に乗ると「今のいいじゃん」とぼそっと言ってくれる歌の先生。

 振りがバチッと合うと「ブラボー!!」と両手を挙げて喜ぶダンスの先生。


 私は、そっち側になりたいのかもしれない。


 そう思った瞬間からは駆け出したその気持ちを止められなかった。

 堺さんと、事務所の若い男性社長の高梨さんに思いを全てぶつけた。


 堺さんはおろおろしながら「そんなキャラクターのメンバーがいたって良いじゃない」と引き止めようとしたが、社長は「面白い子だね」と笑って許してくれた。

「偽物の引き攣った笑顔は誰の心も奪えない」

と言った高梨さんの言葉に、自分で選んだ道で心から笑える私を作るんだ、と改めて気持ちを引き締めた。

 ただ、マナの実力と、出役としての可能性を考慮して、唄うことは続けるようにと小さなライブなどには時々ひっそりと出演させられた。

 それを条件に高梨さんは色んな現場に連れていってくれ、たくさんの学びを与えてくれたり、色んな仕事や人を紹介してくれた。


 グループから変な抜け方をしたせいで、根拠のない噂やデマが広がってしまい、多方面に迷惑をかけたが、絶対に全部回収して黙らせてやる。関わってくれた人たちに自慢してもらえるような人間になってやる。

 と必死にたくさんのことを吸収しながら自分が本当にやりたいことを模索した。



 「アイドルを目指す」と辿ってきた道を思い返すと、夢を追うためには時間とお金が圧倒的に足りないと思っていた。


 仕事して稼がないと、レッスンも受けられないどころか機材や衣装、人に見てもらうことを目指すのに外見を磨くための美容代が無い。

 仕事をする時間が増えると、練習する時間は削られるし、勉強にとライブを観にいくことも、オーディションに行くことも限られる。

『当たり前だ、自分でそれを選んだんだろう』と言われるのはわかっているので弱音は吐けない。

 もちろん、それを糧にしてパワーに変えるというのも重々承知している。

 が、重荷となって諦める子たちも見てきた。

 深い森に迷い込んだところで甘い誘いに身を寄せる子もいた。「そっちを選んだ」と虚勢を張って逃げるようにファンと家庭を持つ子もいた。勿体無い、と思う子がたくさんいた。


 少しだけ、その部分の力になれないか。


 全ては与えない、土壌はつくるがその中でどういう栄養を得てどう咲くかはそれぞれ次第。

 自由という厳しさ。

 大きな花が咲かなくたっていい、蒼い空を、純粋な瞳で見上げられる根っこを育てられる場所をつくれないか。


 そんな『水色のスカート』をつくろうと徐々に考え始め、最後に決意させてくれたのは信頼する年上の幼馴染の佳奈ちゃんと、中学生の小牧だった。


 決して大きくない世界で二人は強く生きていて、お互いが思い合い、尊重し合っている。

 尊かった。私もその世界に交じりたかった。


 小牧にお店を手伝ってほしいことを先に佳奈ちゃんだけに相談すると「あんた、まさか私や小牧の為に」と怒られた。

 その気持ちが無かったとは言えなかったが、同情から何かを与えたいという気持ちでは決して無い。

 誰かがただ生きていることが、誰かの救いや夢になる。

 千佳ちゃんと小牧からもらったその思いを自分が出来る感謝で返すこと、死ぬまでにやらないと後悔する。

 言葉にすると語彙力が足りなくて、なんとも軽く感じられたが、自分なりに今までの思いを全部必死に伝えた。

 千佳ちゃんはため息混じりに微笑んで「あんたはいつも暑苦しい」と笑って承諾してくれた。


 私の夢にはいつもたくさんの人たちが大切なものを分けてくれていた。


 準備も気持ちも仕上げてオープンを迎えたが、やはり思っているように上手くはいかなかった。


 お客さんが来ない日には、なんて自分勝手な勘違いをしていたんだと自分を疑い責めた。


 ここに居たって何の意味があるんだと次の日から来なかった子、どれだけ話し合っても分かり合えない子、ただただ冷やかし程度で入ってきた子。


 高梨さんがたくさんの人に会わせてくれた中で自信があった洞察力は、いつも正しい訳ではなかった。

 どれだけ自分の自信を育ててきたといえど、落ち込む。


 そんなときは笑顔にさせてくれる佳奈ちゃんと小牧に会いに行った。

 迷った時は何も言わなくても感じ取って寄り添ってくれる高梨社長が居た。

 信じてそこに居てくれる水色のスカートのメンバーたちには、見ているだけで勇気づけられた。


 水色のスカート以外でも楽曲の作詞や編曲、衣装デザインの仕事も増え、ライブイベントやアートイベントの企画や主催もするようになった。

 色んな人と出会う中でやりたいことがたくさん湧き出てきて、ずっとわくわくが止まらなかった。



 水色のスカート5年目、高梨社長とランチをしながら近況を報告しあっている時だった。


「デザートに甘いものを食べないと食事が終わった気しないんだよね」

と嬉しそうにガトーショコラを食べているこの人ともやりたいことがある。

 それが何なのかわからずにいたが、明確にその日その時、ハッと気付くと同時に口を衝いて出た。


「高梨さん、わたしと結婚して下さい」


 提案というより命令にも近いような言い方をしてしまったことに驚いた自分と、付き合っているわけでもない女に突然プロポーズされて驚いている高梨さんとの間の時間が止まった。


「えっ……と……仕事……じゃないよな、え、僕のこと、好きってこと?」


 そうか、男性として好きだったんだ。

 言われて感情が追いついた。


「えぇ、はい、お慕い申し上げています。これからもっと近くで、ずっと、一緒に居たいのです……が……」


 自分の思いに気付くと途端に恥ずかしくなって、急いで手元のアイスコーヒーを一気に吸い上げた。

 ズズ、と音を立て終わると「グループを抜けたい」と言ったあの日よりも高梨さんは大きく笑って

「お願いします」

と言ってくれた。変な人だ。


 小牧の赤ちゃんの頃の姿が自分の中で大きく広がってゆく。子供が欲しい。何を気にすることもなく、たくさんの愛を無条件に与えられて、ひとつひとつの成長を一番近くで見続けられる。

 多分、ずっと夢見ていたこと。

 30代後半という自分の年齢と、きょうだいが欲しいということをを考えれば現実的な猶予はそうない。


 自分が作り育ててきたものに責任を持たなくてはならない。



『大きなイベントを打って、水原まなを終える』


 それを軸にすると、後のことがするすると浮かんできたのは、水色のスカートの子たちのキャラクターのおかげだった。

 まるで半透明の文字をなぞる様に、間違いない自信を持って最後に彼女たちにしたい事、自分にできることが見えた。

一人一人の名前をノートに書き出す。


 小牧とアリスに水色のスカートを任せる。

 急なことに気負わないようにしばらくオーナーとしては存在しておくが、いつかは手放すつもりだ。

 小牧は根っからの頑張り屋さんで、最初から水色のスカートの土台をがっしりとつくってくれた。他者に対する思いやりも溢れている。

 足りないのはコミュニケーション能力とエンターテイメントを作ることへの興味。それをカバーするのはアリスだろう。

 自分を更新していける柔軟な性格と、芯の強さ。自分を信じながらすべきことに進める。説得力のある外見も大事だ。

 何より二人は私のわからないところで信頼し合っている。そう感じる。


 イベントに出てもらうのは、未来への夢に繋げられる子、私しか与えられない経験をさせてあげられてそれを力にできる子がいい。

 もちろん全員出してあげたいがここで甘さは要らない。ただの思い出作りにしたくはない。


 咲良には出会った時から空気感を自分のものにする力を感じた。技術での勝敗の場で無くし過ぎた“魅せる力”への自信を取り戻してほしい。

 七海みこには根底に沸々と煮えているエネルギーがある。まだそれをどこに持っていくか選べない好奇心の選択肢に、私が提示できるものをみせてあげたい。

 彼女たちはまだまだ若い。未来が彼女たちにたくさんの手を差し述べて待っている。

 その中で自分の頭と、経験で選んだ手を掴んで欲しい。


 NEIとルウナは長く水色のスカートに居てくれて“アイドル”になることに純粋に、真剣に取り組んでいる。

年齢や周囲の声に揺さぶられながらも学びを忘れず、情熱に素直に。正直やっと彼女たちの思いに私が応えてあげられることがあると思うと、とても嬉しい。

 この4人はここを出てもきっと誰かの心に留まる。

 マジック、漫才、インフルエンサー、配信者。

それぞれ現場や、自分の仕事場に連れて行って見せてあげよう。そこからはその子たち次第。


 ノートに最後、残る名前。

 ましろ


 年を経る毎に分厚い化粧を施していくような奇妙さを感じてきた。

 あんなに美しく、真っ白だった彼女をそんな風にしたのは、自分だ。

 初めて路上ライブであの子を見た時、都会の雑踏に白く光る雪の結晶を見た気がした。


 そのままで充分だったのではないか。

 彼女はゆっくりと自分のペースで自分をつくって導いて、輝いてゆける子だったのではないか。

 あの子の人生に、私から触れてはいけなかったのではないか。


 他人をどうにかしたいという自分勝手な傲慢さが彼女を苦しめてしまったという大きな後悔がある。


 今から無理やり与え続けた『水原まな』を奪い取るというのはましろに死ねと言っているようなものだろう。

 私がいなくなることを上手く伝えて、自分を思い出して歩んでもらえるみちを用意しなければ。


 そう思っていた私の気持ちを、ましろは綺麗に塗り替えていってくれた。


 水色のスカートから離れると決めると、キャストや客さんと時間を取り、“ましろ”をゆっくり剥がしていった。

 奪ってしまった瞳の輝きは

「彗ひとりのためにステージを借りたい。」

と申し出てきた時には違う光を放っていた。

 最高のパフォーマンスをした真っ白に輝く“成瀬綾“に

「子どもって親の知らない間に勝手に成長してるんだよね」という千佳ちゃんの言葉を思い出した。


 全て自分が作り出してしまった、と成瀬綾自身を軽視していた申し訳なさと同時に、それを救ってくれた感謝で涙が溢れた。




 自宅のソファに座り、水色のスカートの過去のSNS投稿を遡りながらひとつひとつの思い出を巡らせていると、亮介さんが2人分の温かいほうじ茶を持って隣に座った。

「未練?」

優しく微笑む。


「ううん、この子に話したいことがたくさんあるな、って。楽しみ」

自分の下腹部に手をあて、伝わるように言う。


「僕はあの時、必死に裏方に成りたいって言ってきたまなの怖い顔と、その後色んなことを教えてくれって毎日社長室に乗り込んできたことをこの子に話すよ」

私の手に自分の手を重ねる。

「そこは軽ーくでいいからね」

軽く睨む。

「あ!あと結婚しろって脅迫されたこと!」

肩をグーで殴った。


 『スパーキングエリア』を終えて半年が経つ。


 それぞれがそれぞれの思いで行ったり来たりしながらいきている。

 まだ機械を通してしか聞こえない自分に宿るもう一つの鼓動のリズムで、私もこれからまだたくさんの夢をみる。






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