言葉に字面以上の意味を持たせる

「雨の日が好き。」


これで「雨の日」は「好き」の属性を獲得しました。簡単でしょう?言葉に辞書的な意味以上のニュアンスを含ませることは文学の基本です。


「雨の日が好き。けど、今日の空は雲一つない快晴。」


ほら、もう逆説の接続詞「けど」と「雲一つない快晴」が結びついて、晴れの天気が「好き」ではない概念になっています。


「雨の日が好き。けど、今日の空は雲一つない快晴。私は晴雨兼用の傘を持って家を出る。頭の上が見えなくなれば、雨が降っているかどうかなんて関係ないの。」


「晴雨兼用の傘」って単語は曲者ですね。「好き」な雨の日と、「好き」ではない晴れの日。その2つの境界をあいまいにするアイテムが出現していますね。「雨」かどうかなど「関係ない」という風に、わざわざ言葉に与えた属性を否定しています。


言ってしまえば「言葉に字面以上の意味を持たせる」ことを考えてやるだけで、良い小説なんて書き放題なんです。そういったテクニックを如何に使うかで、より上位の物書きになれるかどうかが分かれてくるでしょうね。より細かい使い方の理論はレベル3で取り扱っています。


「雨の日が好き。けど、今日の空は雲一つない快晴。私は晴雨兼用の傘を持って家を出る。頭の上が見えなくなれば、雨が降っているかどうかなんて関係ないの。私の気分はいつでも上向きで、鼻歌だって自然と歌っちゃうんだから。」


天気なんて気分には関係なく、「私」のいつでも明るく楽しくある人物像が表現できています。こういう小説の書き方も、楽しいと思いませんか?ぜひ、真似してみてください。

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