『美しき雪に捧ぐ』より「おやすみとおはようを」 その2 Athhissya
前回の続きからです。ここからがレベル4に該当する小説の作り方。本番です。
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https://kakuyomu.jp/works/16818093074612084117
第4段階 この小説において主人公はずっと自慰行為。すなわちオナニーをしていることに気付いていたでしょうか。
「僕は毎朝トイレに籠る習慣がある。1度入ると 30分 くらいは腹辺りをぎゅっと抱えて、時折ふーっと息を吐きながら目の上に青筋を浮かばせて激しく用を足す。最近、ティッシュが近くて貧血気味かも知れない。おっ、ととっと、既に8時半だ。僕は慌てて家を出た。」
ここは自慰のシーンです。と言われてから読むと、「腹辺りをぎゅっと抱えて」「激しく用を足す」「ティッシュが近くて貧血気味かも知れない。」という婉曲的な表現の意味が分かると思います。この主人公は、朝に一発抜く習慣があるんです。
そしてこの後の場面でも、主人公は自慰し続けているのですよね。
「
この時は「精通」していないんですが、精通には[初めての射精]という意味の他に、[特定の業界に関する知識を得ていく]という意味もありますよね。そして、美雪さんから競馬の情報を得ていくことで、主人公は精通していく。彼女が蘊蓄を語る行為は、主人公にとっての「オ○サポ」ということなんです。
「競馬の知識レベルはじわじわと細い道を昇ってきている。ちょっと気持ちよかった。」
細い道って何でしょうかね。尿道です。精子が昇ってきているんです。気持ちよくなっちゃってるし。読み返してて大分、気持ち悪いなって思います。
「僕は彼女と画面上で会話している事実それだけで、幸せの絶頂にて華やいでいる自分を見つけている。」
はい。「絶頂」ってね。幸せの絶頂、エクスタシー。ここが一番露骨な表現になっていると思います。そんでもって最後のパッセージ。
「そんな清々しい、また1つ賢くなったかのような気持ち」
これ、賢者タイムに入っているんですよね。気付きましたでしょうか。つまりこの作品は、彼氏がいる腐れ縁の女の子に[観念的な]オナニーを手伝ってもらっていた小説なんです。だーいぶ気持ち悪いですね。
これともう1つ仕込みがあるのですが、そちらは別枠で取り上げるとして、ここでは作品にオナニー要素を取り入れた理由を解説していきたいと思います。この表現によって何を読者に伝えたかったのかを考える記事は常にレベル4に該当します。
第5段階 現在の私のイチオシはこの作品なのですが、前に他の方に第1話を読んでもらって、その方からもらった感想のなかで、美雪さんと主人公の関係を「切ない」と表現されてしまったのが悔しくて。
二人の関係は切ないわけじゃない。
これを伝えるために、ここで書き記したオナニーと、もう1つ言葉選びの妙を仕込んであるのです。もう1つの方は別枠で。
だって、彼氏のいる女の子にオナニー手伝わせるとか、普通しますか?それも肉体的なオナニーではなくて、観念的なオナニーを手伝わせているという。何て言うの、理性が捉えている世界の抽象度が高い。気持ち悪い変態の発想。観念的オナニーってなんだよ。
確かに第1話は「好きな女の子とディナーデートに来たが、彼女には彼氏がいた」という筋書きがメインなので、切ないお話と読み取られても仕方がないかなと思います。
もっと言うと、この第2話で導入した観念的オナニーの概念を頭に入れて第1話を読むと、主人公は相手のオナニーを手伝わない性質があると分かります。
「僕の悪い癖だ。僕が自分の頭の中で (自分に対して) 1度表示しただけのことを、相手が常に認識していて当然という邪悪な先入観が日常生活の中でふとディスコミュニケーションの原因になる。」
相手がもう知識を
言葉選びに際しては、こういった物語の裏にあるコンセプトを気付かせるヒントになるように気を付けて書くと良いと思います。ヒントは多い方が読者は気付きやすいし、安心して読者の意図に入り込むことができるからです。
あと、文章の裏にある「テーマ」ではなく、「メッセージ」を宿すという意識で執筆を進めた方が、私は良いと思います。
つづく
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