【鍋】

葱と落花生

【鍋】

『とんぼ鍋』


 材料は好みの物。

 勘違いするな。イケメンなどという麺は使えない。

 この鍋の特徴は、材料・味等々にきまりがない事。

 作り方が「とんぼ鍋」なのである。

 この場合のトンボとは昆虫のトンボではない。

 鍋に言われている「トンボ」とは、家を建てるときの職人さんが使う道具の事。

「土間トンボ」と言われている道具が、この「トンボ鍋」のとんぼ。

 道具屋さんに行っても、このトンボは買えない。

 コンクリートを流してから土間を平らにならす時に使う道具。

 これを鍋に入れるのではない。

 土間にコンクリートを流しある程度にならし、本格的に仕上げるまでの間にかなりの待ち時間がある。

 他の職人さんはもう帰ってしまい、左官屋さんだけが夜まで仕事で残る。

 寂しいし、腹も減って来る。

 そんな時に現場の木っ端を集めて、軽く腹ごしらえをしたのが『トンボ鍋』

 トンボは現場の廃材などで作る場合が多く、古くなったら燃してしまう。

 トンボを使うのは、最初のうちの大まかにならす時だけであるからもう用済み。

 鍋作りの燃料になっていたのである。

 トンボで煮込んだ鍋が「トンボ鍋」と言われる由縁。

 したがって、一般家庭でこの鍋は作れない。

 近年、女性の建築現場進出が棒著で、必ずしも男だけの料理とは言えなく成ってきているが、昔は完全に男の鍋代表格だった。




『かぶとムシ鍋』


 材料はマグロの兜。頭だね。

 五百円くらいで買えると思う。

 まあ千円だ二千円だでも、高い買い物ではないだろう。

 なにせ、物がでかい。

 勘違いするな。

 この兜を香菜と一緒に蒸す。

 これはマグロの余計な油を落とし、香りによって煮込んだ時の臭みを無くす為。

 焼いてもいいのだが、その場合は鍋に入れる前にコゲた部分を取り除いてからにすべし。

 さもなくば鍋の中はコゲだらけに成る事必至。

 このムシ兜を鍋にぶち込んで、好みの具材と好みの味で頂く。

 実にシンプルかつ安上がりな鍋なのだが、克服すべき問題が少々。

 兜を蒸す大鍋。煮る大鍋と、それにみあった火器が必要である。




『蝶々鍋』


 材料は、蝶々(毒の無い物)・ごぼう・ニンジン・長ねぎ・里いも・味噌・醤油・水。以上。


 作り方


1、蝶々は、熱湯にサッとくぐらせて羽の粉を洗い落としてざるにあげておく。

2、里いも・ごぼうは水につけてアク抜きをしておく。

3、2を鍋に入れてから野菜と水を入れ、火にかけて沸騰してきたらあくをとる。

4、里いもが柔らかくなったら味噌・醤油を入れ、長ねぎと蝶々を入れ好みの味に仕上げる。


 この鍋で一番難しいのは、食べられる蝶々を大量に手に入れる事。

 そして、食べる人がいるかどうか確認する事。

 これさえクリアーすれば、後の事はどうでもいい。


 ガチョウとかモツ鍋用の胃腸を鍋に入れて「蝶々鍋」と称している物が有るが、それって嘘ですから。

 蝶々の刺繍をしたハンカチの煮込み鍋も「蝶々鍋」と違いますから。

 私が言うのも、信憑性にかけますが、是非一度お試し下さい。




『もみじ鍋』


 材料は、ひらひらと舞い落ちた紅葉の葉・鹿肉・ごぼう・ニンジン・玉ねぎ・じゃがいも・味噌・砂糖・しょうが汁またはしょうが・水。以上。


  作り方


1、鹿肉は薄切り、熱湯にくぐらせて血抜きの後、ざるにあげておく。

2、じゃがいも・ごぼうは水につけてアク抜きをしておく。

3、2を鍋に入れ野菜と水を入れてから火にかけ、沸騰してきたらあくをとる。

4、じゃがいもが柔らかくなったら味噌を入れ、玉ねぎと鹿肉・砂糖・しょうが汁を入れ好みの味に仕上げる。


 この鍋で一番難しいのは、鹿の肉を手に入れる事。

 これさえクリアーすれば後の事はどうでもいい。


 モミジオロシを鍋に入れて「モミジ鍋」と称している物が有るが、それって嘘ですから。

 鹿の角を刺した鍋も「もみじ鍋」と違います。




『牡丹鍋』


1.昆布だしに味噌ベース、配合は適当、好きなように。

 ダシはしっかり取る事つーか、入れっ放しでいいよ。

2.大根ぶった切り。ささがきゴボウは必ず用意。

 ネギ・三つ葉・白菜等と猪肉を一緒に土鍋で煮る。

3.おろしポン酢やゴマだれでもいけるが、そのままでもいいぞ。




『桜鍋』


 馬肉が桜色をしているので桜鍋というのだ。

 まあ、私にはどんな肉も肉色にしか見えないのだが。


 材料

 馬肉   好きなだけ

 村では馬肉食禁止令が出ているので、ラム肉を使っている。

 大根   適当に叩ききってやる。

 長ネギ  バッサリバッサリと切る。

 味噌   好み

 みりん  すきずき


 味噌をみりんでが嫌なら味噌と砂糖と酒、または味噌と酒だけとか、何でもいいよ。

 味噌ベースで、水気が有れば好きな味にしてみて。


 注)水は使わない。

 順番に具と味噌ダレを重ねていくだけ。


 作り方


 壱  鍋の底に少し味噌ダレをしく。

 弐  その上に大根をしき、味噌ダレをかけて肉をならべ、また味噌ダレをかけてネギをならべ、味噌をかける。

 このくり返しで鍋をいっぱいにするのだが、馬鹿でかい鍋の場合はいっぱいにしなくても良い。


 注)  火にかけるように。

    生だとあまり美味くない。


  煮えたら完成。

 すき焼きに近いので卵で食べてもいい。

 味噌ベースの場合は味噌汁感覚でもいいし、豚肉を使ってもいいが、その場合「豚汁」としてくれ。




『にくじゃが』


 鍋にする気はさらさらないが、私の肉じゃがは汁ビタである。

 原因はずっと以前からはっきりと判っている。

 だし汁の入れ過ぎだ。

 製作にあたってのミスではない。

 単なる癖である。

 なかなか治る物ではない。

 したがって今回は、鍋物の一として紹介する事にした。

 さすれば何の問題も無いわけである。

 営利目的テレビでのレシピでは「美味しい肉じゃがの作り方」

「みりんと醤油 一対一 これだけ」なんて言っている。

 それでもいい。

 作り方は誰かに聞いてくれ。




『ビーフシチュー』


 シチューが鍋料理であるのかないのか。

 深く考えるな。

 疲れるだけだから。

 美味ければそれで良しとしようではないか。




『水餃子と一緒 ゴッタムシティー鍋』


 作り方はいたって簡単。

 入れるのは基本的に水餃子。

 味付けはしない。

 煮えたら好みのタレを付けて頂く。

 あとは好きな物何でも入れて良い。が、好きだからと言って、ペットや映画のDVDなどを入れると、闇鍋と言って鍋料理の種類と利用目的が変わってきてしまうので注意していただきたい。




『秋田名物きりたんぽ鍋』


 きりたんぽ、炊きたてご飯の半殺し

 基本は醤油味。

 鶏のモモを入れる。

 野菜はその辺にある物を適当にドバッと。

 タレ&薬味も用意しておくといい。

 さて、今でこそスーパーに製品になって売られているきりたんぽ。

 作り方は、飯をつぶして丸めて焼く。

 結構てまかかってます。

 皆で作ってみるのも楽しいかも。

 ただーし、鍋料理屋さんでライスを頼んでその場で作るのは止めてくれ。

 はじめから「きりたんぽ鍋」を注文しろ。




『ドミグラスソースで鍋 』


 要するに味付けがドミグラスソース。

 ビーフシチューの素でスープをつくったら、中に好きな物を入れるだけだ。

 大福は止めた方が良いと思う。

 キノコや玉葱を入れるとシチュー。

 肉でも魚でも入れる。

 寄せ鍋シチュー味とでも言うべきか。

 クリームシチューの素にすると、一つバリエーションが増える。

 それに、とろけるチーズなんか入れたりするとフォンデュー風。

 カレーの素でもいける。




『はりはり鍋』


 はりはりとは、京菜・壬生菜・水菜のことだ。

 が、ここでは小松菜をつかう。

 関西で言うところの、はりはり鍋のように煮ていると、菜が溶けてなくなるので要注意。

 それと、油揚げに戻りジャコ入れる人もいる。

 鯨の肉と壬生菜で作るのが本当なんだけど。

 鯨、手にはいりませんからねえ。

 有ってもベラボウに高いし。

 代わりに魚でも肉でもいいよ。

 ここに、うどんなり、そばなり、おいなり、なんなり入れてもいい。


 出来れば、はりはりと鯨を、ダシ・酒・醤油でたいたんが、はりはり鍋どすえ。




『常夜鍋』


 毎日食っても飽きないから常夜鍋と言う。

 絶対に飽きる。


 作り方


 豚バラの薄切りとほうれん草を、酒三・水一で煮る。

 好みのタレと薬味があれば完成。


 肉を換えたり野菜を換えたり、組み合わせはほぼ無限。

 シンプルに。

 ごてごて入れないのがこの鍋の飽きない所。

 一人、しんみりいくのもたまにはいい。


 鯨肉を使うのが本格派らしいのだが、気にすることはない。

 なんでも有りだ。




『野菜鍋』


 アクセントはミニ・ロールキャベツ

 ちっちゃロールキャベツと野菜を、トリガラダシ・塩コショウで煮込む。

 ポトフに近いかな。

 好みで魚や貝を入れるもよし、お肉をしゃぶしゃぶしてもいい。

 肉にシャブを打ち込んではいけない。

 ブロッコリーなんかは煮過ぎると溶け出すので要注意。

 スープの味は薄めにして、色んなタレで食べるのもいいかもかも。




『牛さん、ホルモン鍋 』

   

 牛のモツ鍋だ。

 牛のモツ・スジ等を生姜・ネギなんかと一緒に煮込んで臭みをとりながら柔らかくする。

 柔らかくなってしまえば、後は何を入れてもいい。

 ニラ・モヤシ・三つ葉・ネギ・白菜・白滝・春菊・玉葱・んー、京菜。あとあと。

 とにかく、いろーんな野菜と一緒にガツガツといく。


 スジはコラーゲンの塊。  

 ただーし、牛モツは油分がひじょーに多いので、煮込んでいるときにあくと一緒に油も捨てたほうがいい。

 油汁を飲みたい人はこの限りではない。



『カモネギ』


 鴨とネギ。


 鴨は、早朝池に釜を持って行って、足が氷の中に取られて逃げられない所を、足元から刈り取って来ればタダで入手できる。

 何でカモを池で刈り取るのか解らないメンドクサイ奴は、話についてこなくていい。

 春になれば刈り取った足から芽が出て、カモメになって飛び立って行くはずだ。

 ネギは当然ながら近所の畑から引っこ抜いストックしておけ。

 好みで鴨肉団子・白滝・豆腐なんか入れてもいい。

 基本は昆布ダシの醤油味。

 鴨独特の油味が嫌いな人は鶏ももでもいい。




『カニ鍋』

 

 材料が高いので無理して食う必要は無い。

 煮汁の味付けは、その時の気分次第。

 せっかくだからプレーンでという人も、辛いのが好きな人も、味噌味でも、何でも来いってのがこのネタ。

 甲殻類の苦手な人には向いていない。


 材料はというと、とにかくカニ。

 かさまし用に白身の魚。

 ハルサメとか糸こんにゃく、それと野菜。

 カニはボイル済みの物がいい。

 何故ならば、生のカニならば焼きガ二かしゃぶしゃぶしたほうが美味しいからである。

 材料が煮えたら食う。

 ひたすら黙って食う。




『豚のバラ鍋』


 脂身は焼くか蒸すか。


 バラ肉というと油の塊といった感じ、あらかじめ焼くなり蒸すなりして油分をある程度落としておくのがポ・イ・ン・ト。

 トリガラスープに塩・醤油なんかで味付け。

 バラ肉の他に青野菜・ネギなどなど入れて煮えたらお好きなタレで。

 もちろん、下味をつけているので、そのままでもいける。




『チゲ鍋』


 熱いの辛いの過ぎると後は美味しさだけが残るのだが、さて、乗り越えられるか熱辛の壁


 牛ひき肉と昆布を煮込んでダシを取ったら。

 好きな物。牡蠣なんか入れちゃったりして。

 と、白菜のキムチを入れる。

 キムチが苦手なら、一味唐辛子にニンニク&コチュジャンでも作れる。

 この汁が大丈夫なら、大抵キムチもいけるけどね。

 野菜もたっぷり入れる。

 白菜のキムチで野菜の代用としてはいけない。


 チェイサー「水」の用意も忘れずに。




『打ち込み鍋 』


 本当ならば、うどん作りからやりたい所。そうもいかないから。

 用意する物は、鍋・野菜色々・ダシ・味噌・うどんかすいとん。

 だし汁が煮立ったら鍋に材料を入れるだけ。

 ハッキリ言うと煮込みうどん。

 たまご・かまぼこ・油揚げ・サトイモ。なんでも入れていい。


 時間がたつと、必然的に鍋焼きうどんになってしまう。

 一度で二度美味しい。

 細かい事は気にするな。




『ねぎま鍋』


 鴨を使ってもいいが、世間ではそれを鴨鍋と言っている。


 マグロ・ネギ・ショウガ。

 材料はこんだけ。

 まぐろの代わりに鶏でも豚でもブリでも、なんでもいい。

 ネギがメイン。

 基本は醤油味。

 つまーり、焼き鳥の鍋バージョン。


 ショウが苦手な人は入れる必要特に無し。

 これ、ビールにベストマッチ。




『焼肉風モツ鍋』


 あっつーくなるモツ鍋。

 柔らかく下茹でしたモツにキャベツとかニラ・もやしとか玉葱。

 焼肉っぽかったり、モツ鍋っぽかったり、好きな野菜たっぷり。


 にんにくと唐辛子を利かせて。

 嫌いなら入れなくてもいい。


 あとは好みの市販焼肉のタレをドバドバっといれて煮込むだけ。

 もちのろん、タレは自分で作ってもいい。


 これもビールによく合う。

 モツの他にカルビだろうがロースだろうが何入れてもいい。


 焼肉みたいに過激な煙が出ない。


 モツなどの内臓を別名ホルモンなどと言う。

 これは関西で言う所の「ほうる物」捨てる物からきてる。

 余談であるが(この記事の総てが余談の様だが)今ではすっかり焼肉屋さんの定番メニューになっているハラミ、これも実はホルモンの一種。

 肺の下に有る横隔膜辺りの事。




『鴨鍋』


 レシピ


 鴨         好きなだけ

 鴨入り鳥だんご   同上

 ねぎ        同上

 餅    入れたければ

 きのこ類      同上

 味付け  基本的には醤油ベースだけど好きな味

 スープの油は鴨のきっつい油出るから、飲みすぎ食べすぎはかなり胃にくる。  

 危険で上手い鍋である。

 要注意。




『うどん鍋』


 レシピといっても、ねー。

 うどんがメインの鍋ってことで。

 鍋焼きうどんと言っていただいても、なんの支障も御座いません。

 あっつあつを火傷しないように食べるのが、この料理の一番のポイント。

 猫舌にはツライ。




『芋煮会鍋』


 レシピ


 里芋   いっぱい

 その他  好きなもの

 味付   味噌味が最もシンプルだが何でも有り。


 コツが一つ。

 里芋の皮は、水の中でアルミホイルをぐちゃくしゃにした物でこすってむくと容易い。

 ぬめりが出ないので、さっぱりと仕上がる。

 刻みネギをたっぷりで一段と美味。

 ねぎ嫌いな人は食うな。

 レシピはあくまで参考である。

 自分の味にするのが一番美味い。

 人が何と言おうが気にするな。




『おでん』


 なんか書き様がない。

 好きにやってくれ。




『簡単鍋』

 

 つまり寄せ鍋。

 基本的に簡単な鍋に簡単つけてもチャンチャラだがな。

 

 味は好みで。

 薬味も好みで。

 入れる物は好みで。


 羊羹とか最中も好みだが、闇鍋の材料である事を理解してもらいたい。


 冷蔵庫の半端もの、あまりものを寄せ集めてつくるからよせなべ。

 ただし、余り物が卵・昆布・ハンペン・厚揚げなんて時はおでんにしろ。


 残ったスープでおかゆにしたりうどんにしたり。

 勿論、翌日の鍋に使ってもいい。

 使い回しを繰り返してクサヤの漬け汁状態になったら、我慢して食わないで捨てろ。

 死にたくなかったら 暖かい日は冷蔵庫で保管すべし。




『きのこ鍋』


 レシピと言うほどの物でもない。

 だし汁に醤油ベースで好みの調味料を加えて味を調える。

 もちろん、ベースは味噌でも酒かすでも、何でもあり。 

 好きな味で。

 そこへ、色んなきのこを入れて、煮込んでも解けてなくならない壬生菜とか、セリ・小松菜といった青物を入れる。  


 きのこは、その辺で拾ってきたわけ判んないのは、入れない事。

 長生きしたいならば派手な模様のキノコは入れるな。



 では、お互い生きていたらまた会おう。

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【鍋】 葱と落花生 @azenokouji-dengaku

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