第41話:ワイルドブラザーズ

「ウニャッ、ニャーン (みんなどいて、前が見えない)」

「キュー、キュー (遊ぼう、遊ぼう)」

「あ~、はいはい、今出してあげるよ」

「ミイッ! ミィィ~ッ! (オヤツちょうだい!)」

「サンテとジョワは出てこないのかな?」


 ケージから出してもらおうと群がる仔猫たちに阻まれて、パンチが放てない猛猫が1匹。

 母猫そっちのけで愛想を振りまく仔猫マイクル。

 この状態で扉を開けると、無言で飛び出すのがルスト。

 大声で騒ぎながら出てくるのが食いしん坊ジョイ。

 そんな茶トラ系トリオとはちょっと違うノリで、格子で顔を挟んで変顔ワールドを作り出すのが黒猫サンテ。

 紅一点ぽいサビ猫ジョワは、そんな男子たちを引き気味に眺めている。


「ニャーン、ンニャッ (みんな戻ってきなさい)」


 母猫リンネが呼んでも、子供たちにスルーされている。

 保護部屋の端から端まで猛ダッシュ!

 動画を見たボラたちが「凄い元気だね」と笑うレベルのハイテンション!

 これが屋外なら、車に轢かれたり、カラスに攫われたり、母猫から離れて遊び回るのは危険だけど。


「危険物は全部撤去してるから、好きなだけ遊んでいいよ」


 ここには車もカラスもこない。

 仔猫を甘やかす保護主が来るだけだ。

 存分に遊べ~!


 ルストとサンテが特に元気いっぱい。

 仔猫ってこんなに高速で走れるのか~と思う。

 この速度は去年預かった膝乗りスリゴロブラザーズといい勝負。

 しかしスリゴロブラザーズは当時生後4か月くらいの身体能力だ。

 それに匹敵する速度で走れる生後1ヶ月過ぎの仔猫たちって一体……。

 この子たちは、一般的な仔猫よりも成長が早い気がする。

 離乳食スッ飛ばしていきなり「煮干し」に食らいついたり、野性味が強いのかな?


 君たち、グループ名は「ワイルドブラザーズ」でいいな。

 ステージ(譲渡会)デビューは生後2ヶ月になる6月16日にしよう。

 かかりつけ医にお願いして、その1週間前の6月10日に三種混合ワクチン接種予定。

 完全室内飼育下で生まれた子らなので、母猫をウイルス検査すればひとまずOK?


 東京のボラさんに保護猫の紹介をする際に、個別の名前以外に兄弟まとめたグループ名を言うようになった。

 そうしないと、仔猫が多すぎて訳が分からなくなるから!(苦笑)

 グループ名は保護経緯が分かりやすい名称をつけている。


 上記の「膝乗りスリゴロブラザーズ」は、保護主が座ると4匹が椅子取りゲームをするように膝の上に乗ってきて、スリスリゴロゴロ甘えまくる兄弟だったから。

 その5匹のうち2匹は未だ里親希望が無く、保護施設内で暮らしている。



※わちゃわちゃとあざとかわいいが詰まってる画像

https://kakuyomu.jp/users/BIRD2023/news/16818093078551154488

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る