第34話:仔猫は母を見て食べ物を知る

  野良猫の子供たちは、どうやって離乳を進めていくんだろう?

 母猫が手に入れた食べ物以外に口に入るものは無い野良っ子たちの離乳食は?


 ミルクボランティアに育てられた仔猫が、離乳食をあまり食べないことはよくある。

 ドライフードをふやかしたり、ウエットを混ぜたり。

 代理母を務めるミルクボランティアたちは、試行錯誤しつつ離乳を進めている。


 リンネの子供マイクルは、いきなり煮干しにかぶりついた。

 煮干しは丸ごとで、乾燥したままのやつ。

 マイクルがそれをガジガジと齧ったのが離乳の兆し。

 その後、リンネの気を引くためにケージ後方に撒いたオヤツや嗜好性の高いドライフードを、仔猫たちが群がって食べるようになった。


「あ~君たち、こっちの方が食べやすいと思うよ?」

「ウ~? ウナーオ (食べないの? ママが貰うわよ)」


 保護主が作ってあげた離乳食よりも、ドライフードそのままを好んで食べる。

 ケージ奥のオヤツとドライフードに夢中で離乳食はスルーされた。

 ふやかしたドライフードにウエットフードを混ぜたものは、リンネが美味しく頂いてしまった。


 じゃあ、ドライフードにちゅーるをかけてみよう。

 ちょうど支援者様たちから仔猫用ドライフードと仔猫用ちゅーるが届いたので、リンネたちに試食してもらおう。

(他にも仔猫を保護しているメンバーがいるので分配予定)


「ニャーン (あら美味しそう)」

「お、猛猫お嬢様が可愛い声を出しておられる」

「シャーッ! (黙れ!)」


 珍しくリンネがニャーンと言ったので褒めた(つもり)が、怒られてしまった。

 猛猫令嬢はデレなんてほぼ無い、ツンばっかりだ。


「キュー、キュー (なんかいい匂いがする~)」


 リンネが食べていたら、気付いた仔猫たちが集まってくる。

 母が食べるのを見て覚えるのかな?

 リンネが口を付けているのを見ると、仔猫たちもモグモグし始める。


「可愛いなぁ」

「カッ! (触るな!)」


 チマチマモフモフに触れたいけれど、リンネが怒るので触れない。

 リンネがシャーパンしなくなる日は、永遠にこないかも?


 そんなリンネに、預かり希望がきた。

 本作を見て猛猫ぶりは充分知っている上での申し出だ。

 といっても今すぐは無理なので、産後2ヶ月経って避妊手術を済ませてからの予定。

 リンネは4月15日に出産したので、6月15日以降になる。


 人間が近付くことを嫌い、ケージの格子から5cm内に手を近付けるだけで猛烈パンチを放つリンネ。

 その御世話は皮手袋必須、なるべく近付かないようにトングなど長い物を使う。

 気を引くために撒くオヤツ類は、長さ1mくらいの塩ビパイプを使ってケージ内に入れている。

 床が汚れたら、天井部分の格子の間からペット用ウエットティッシュを落として、細長いデッキブラシもどきを差し入れてゴミをかき寄せつつ拭き拭きすればOK。

 一番の問題はトイレ掃除。

 プラ容器の出し入れの際にはかならず飛びかかってくるので、先日書いたように衣装ケースの蓋を盾にしつつ出し入れしよう。


 ところで……


 ……この猛猫、避妊手術する病院へどうやって連れて行こうか?!


 キャリーに入れるとか難易度高いよ?



※ゴハンを食べるリンネたちと、愛想を振りまくジョイ

https://kakuyomu.jp/users/BIRD2023/news/16818093077848640589

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