ペネロペイア大陸物語

荒川馳夫

プロローグ

ラティニア帝国

「我らの住まうラティニアは、もうすぐ七百年を迎える。百年の王政、四百年の共和制を経て、我らが帝国の創始者『尊厳帝』による帝政が開始された。以後、大陸に平和がもたらされ、人民は何不自由なく暮らせていた」


「帝政に移行して百八十年。皇族と元老院との間に強い不和が生じた。そして、皇帝コケイアヌスは、ウルピノスに帝位を譲ることとした。新帝ウルピノスは善政を敷いたため、貴賤きせんを問わず人民は彼を『大帝』と呼び、ここにラティニア帝国は最大の繁栄を享受することとなった」


「ウルピノス帝の治世十九年目。帝国の東方に住まうダキニアの難民が、国境であるエストロス川を越えて帝国領内に進入。彼らは『北のキンブリア族と協力した蛮族の襲撃を受けた。助けてほしい』と元老院で訴えた。間もなく動員令が発令され、皇帝指揮の元で、ラティニア帝国軍はダキニアへと進軍することとなった」


「我らが『大帝』陛下に栄誉を! 帝国に永遠の繁栄を!!」


――「ラティニア帝国 建国から帝政まで」 マグヌス・カストゥス著

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