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 君達の攻撃を受け、少女は獣のような咆哮を上げて倒れた。裂けた口が小さく可愛らしい物に戻ると「ふぅ‥‥」と息を吐く。

「よくよく運が無い‥‥前に住んでいた砦が陥落してから、こんな辺鄙な森の、屋根も棺桶も無い墓場へ流れ着いて。また英雄気取りで腕力頼りのならず者にやられるなんて‥‥こいつらとゴキブリは明日死に絶えればいのに」


「なんか苦労しているのかもしれないが、襲われた側としちゃ聞く耳持つ気にならないぜ」

 スターアローにそう言われると、少女は倒れたまま君を見上げる。

「なら襲う側になりなさい。私の同族に加えてあげるから。屍鬼グールもどきの下等種なんかじゃない、真性の、不死身の貴族種に。そしてこの樹海を支配して、私の棺桶と寝室のある城を建てて頂戴‥‥」


 夜の貴族からの、永遠への誘いである。

「阿呆らしい。俺はこんな馬鹿話はごめんだぜ」

 スターアローは少女の頭を踏み潰そうとしている。


・このままスターアローにとどめを刺させるなら――

https://kakuyomu.jp/works/16818093075655425577/episodes/16818093076905284694


・少女の誘いを受けて人間をやめるなら――

https://kakuyomu.jp/works/16818093075655425577/episodes/16818093076905301591

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