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(この項目は141番から来る。他の項目から来たならば元の項目へ戻れ)


 君は「信じるかどうかは任せるが」と前置きしてから、樹海でみた衰弱の魔力をもつ怪植物と、それが癒しの木の近縁種ではないかという森のエルフの証言を伝えた。

 神官達はどよめき、互いに顔を窺いあう。


「癒しの木が長年大勢の人のケガや病気を治療し、救ってきたというのに‥‥あなたはあの木が害になっていたというの?」

 大神官ナターシャが君に問う言葉には、はっきりと非難の意が籠められていた。

 だがスターアローは堂々と告げる。

「可能性の話さ。信じないならそれで構いはしないぜ。俺達への報酬は金にしてくれ。ここからは去るからな」


 神殿側から提示した報酬はこの街での地位と職だが、まぁ人を衰弱させる植物が生えている街に住もうとは君も思わない。

 しかし神官の一人が申し出る。

「いえ、しばらくこの街にいてください。あなたの言う事が真実かどうか、神殿の総力をあげて調べます。近くの魔術都市から学者や魔術師も呼びましょう。その結果をあなたにも確認していただきたいので」


「忠告だけで責任を負わされるってのも面倒な話だな」

 スターアローは愚痴をこぼすが、癒しの木は教団にしてみれば自分達のシンボルのようなものなのだろう。疑いを向けられるだけでも侮辱だと感じているのかもしれない。

 確かに面倒ではあるが、君も多少気にならないではないので、結果を見届ける事には同意する事にした。



――三日後――



 寝泊まりに借りている部屋に、神官が呼び出しに来た。調査結果が確定したのだという。

 その神官の顔を見れば、聞かずとも結果はわかったが。


 スターアローと共に癒しの木が植えられている中央広場へ君は出向いた。

 鎮痛な面持ちの神官達‥‥彼らの空気はどん底まで沈んでおり、涙ぐんでいる者までいた。

 ナターシャが君達の前に進み出る。


「‥‥貴重な情報をありがとうございます。この樹はあなた達の報せてくれた通りの物でした。長い時の間に根が神殿の外まで伸びており、地下から‥‥この街の、住人達の、弱った者の命を、奪取していると‥‥」

 どんどんと声のトーンが落ちて、最後の方は聞き取るのも難しかった。


「永い間、我々は気づかず‥‥この度の落ち度‥‥あれはサエティ教団のシンボルだったのに‥‥」

 哀れなほど落ち込んで行くナターシャ。他の神官も皆がうつむいている。


 だがそんな中、ただ一人。

「シンボルなら元気じゃないか。教団始まって以来の神童で神の子さんなんだろ?」

 スターアローが陽気な声をあげ、ナターシャの僧衣の裾を加え、くいくいと引っ張った。

 顔をあげて「え‥‥?」と戸惑うナターシャ。

 裾を離すと、スターアローは癒しの樹へと視線を移す。

「あの樹は偽物だったが、本物の価値が無くなるわけじゃねぇだろ。君がくれたアイテム、凄く助かったぜ。本物のその力で、これからも大勢の人を助けてあげればいい。これから‥‥な」


 天馬ペガサスの励ましに、ナターシャは「うん!」と頷き、初めて屈託のない笑顔を浮かべた。

 そしてスターアローの手綱を握る。

「これからもよろしく」


「?」

 いまいち理解できていないスターアロー。

 君は後ろで額を抑えていた。

 その流れで「じゃあこれでさようなら」になるわけないだろう‥‥と。

https://kakuyomu.jp/works/16818093075655425577/episodes/16818093076730193137

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