370

(この項目は330番から来る。他の項目から来たならば元の項目へ戻れ)


 君達は命華草ライフグラスの入った小袋をマリアに渡した。彼女は中身を確認しても何かよくわからず首を傾げていたので、それが何か君は教える。

 途端にマリアの顔が青ざめた。

「そ、そんな貴重な物を受け取る事はできません! 見合ったお返しなど、私達にはとても無理です‥‥」


 だが子供達にじゃれつかれながら、スターアローが声をかけた。

「フォアマの爺さんがそれを欲しがっている。あんたから渡せば借金をチャラにしてもらって、なおお釣りがくるさ」

「ですから、そんな事をしていただく義理は‥‥」

 あくまで断ろうとするマリア。

 しかしスターアローは‥‥

「ないよな。でもまぁそんな事、この子達からあんたを取り上げてまでって話でもねぇよ」

 そう言いながら子供の一人を首の上に乗せた。幼い男の子ははしゃぎながらマリアに手を振る。


 花を持ったまま、マリアは何も言い返せなくなった。



 しかしその時。教会の入り口扉が突然開く。その向こうにいるのは‥‥部下達を引き連れたフォアマ!

 彼は驚き叫んだ。

「こりゃどうなってる? あんたがこの教会に何度か顔を出してるっていうんで、まさかと思って見に来たら‥‥!」


「どのまさかかは知らないが、命華草ライフグラスは教会に寄付された。いくらで買うのかここで聞かせてもらおうか」

 スターアローが訊くと、フォアマは事態を察して苦々し気に呟いた。

「ずいぶんとまぁ‥‥お節介が好きなお方だったんだな」

https://kakuyomu.jp/works/16818093075655425577/episodes/16818093076671616849

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