320

(この項目には44番から来る。他の項目から来たなら元の項目に引き返すこと)


・【フラグNo.19】を「30」にせよ。


 街の郊外にある古くてくたびれ果てた教会が孤児院を兼ねていた。屋根にある聖印の形からして大地母神の一派だろう。

 そこに着くと、アーサーはスターアローから跳び下りた。

「ただいま!」

 叫んで正面玄関からとび込む。途端に中は大騒ぎになった。歓声と泣き声が外まで聞こえてくる。


 君達は玄関に近づき、中を覗き込んだ。

 そこには大勢の子供達――みなアーサーよりも幼い――と、一人の若い修道女がいる。


 修道女は歳の頃20になるかならぬかという、栗色の長い髪と優し気な瞳の、大人しそうな女性だ。

 彼女がマリアなのだろう。


「あなたは‥‥?」

 訊ねるマリアに自己紹介する。


「そうですか。アーサーを助けていただき、ありがとうございます。大した所ではありませんが、今日はぜひお泊りください」

 君が樹海の探索で疲れている事を察して、彼女はそう申し出て来た。

 どうするか‥‥と考えていると、子供達が飛び出してきてスターアローへ嬉しそうに触れる。

 おそらく生まれて初めて天馬ペガサスを見て興奮しているのだろう。


「まいったな。お言葉に甘えていくか」

 仕方なさそうに、しかし嬉しさを隠せずに言うスターアロー。

 半ばなし崩しに宿泊が決まってしまった。


・アーサーと別れるので、天馬ペガサスの攻撃力は元に戻る。当然、今後はどこの宿に泊まっても料金は割増されない。


 晩飯は貧しいスープと粗末なパンで、寝床は藁布団での雑魚寝だ。そのどちらもマリアが子供達と用意してくれた。予想できた事だが、やはり身寄りのない子供達の、唯一の心の支えなのだ。

 スターアローは寝る時まで子供達に離れてもらえず、人間と同じ室内で寝る事になってしまったが、本人が何も文句を言っていないのでまぁいいだろう。


・君と天馬ペガサスの【戦闘力】を1、【生命力】を3点回復させること。


 翌朝、神への祈りを済ませてから皆が君を見送ってくれる。その際、マリアは馬用の鎧を君達に渡してくれた。

「かつて北のグラド国で騎士だった父が使っていた物です。アーサーの命の、せめてものお礼です。どうかお使いください」



【馬鎧】

 これはスターアローが装備する物だ。

 これを装備していると、戦闘時、スターアローの攻撃力に+1される。

 他の馬用鎧と併用はできないので、その時にはこれを断る事もできる。



 マリアは聖印を握り締め、君の無事を祈ってくれた。

「お世話になりました。あなたの無事を祈っています」

「冒険の成功は俺が祈っておくよ」

 マリアとアーサーが君を激励する。

 君は馬上で手をふり、彼らと別れた。


「なんだか名残惜しくなっちまうぜ。気を引き締めるとするか」

 スターアローがそう言って走り出す。

https://kakuyomu.jp/works/16818093075655425577/episodes/16818093075673191401

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