遥かなる樹海

松友健

ヒーローとルール

 この作品はゲームブックという分野の小説である。それがどんな物かご存じない方は検索なりなんなりで調べるといいだろう。


 どういう物か知っている方は――剣と魔法、冒険の古い世界へようこそ。

 まず、君という主人公ヒーローが何者なのかを決めよう。

(記録用紙例)

https://kakuyomu.jp/users/matutomoken/news/16818093077630592095


 君は放浪の剣士である。若く精強で、様々な冒険行を各地で成功させてきた。そしてある珍しい特徴を持っている。

 その特徴とは?

 君には共に旅する愛馬がいるが、それが空飛ぶ天馬ペガサスである事。君は大空を行く天馬の騎手ペガサスライダーなのだ。


 ではその技量やいかに?


 まずは筆記用具と、記録用の紙を用意すること。

 そこに君の能力値ステータスや持ち物、所持している品物などを記載していく必要があるのだ。

 そしてサイコロを2個。これが君の命運を都度都度、決めていく事になる。


 準備ができたら、サイコロを4個ふること。

 合計が12以下ならふり直したまえ。


 13以上だったなら、4個の出目をメモし、能力値ステータスを決定する。能力値ステータスは以下の4つ‥‥どれも大きいほど、高いほど良い。

 どの出目をどこに当てはめるのか、それは君の判断で選ぶのだ。


 一つは君自身の【戦闘力】。

 これは出目の一つに6を足すこと。7~12の値になる。

 これが君の戦闘技術であり、敵と戦う時に判定する数値だ。


 二つ目は君自身の【生命力】。

 これは出目の一つをし、それに12を足す。14~24の値になる。

 これはいわゆるHPであり、負傷ダメージを受ける度に減少する。そして0になれば君は行動できなくなる。


 三つ目は‥‥愛馬の【戦闘力】。

 これも出目の一つに6を足す。7~12の値になる。

 君の愛馬ペガサスも君同様に戦闘に参加できる。一人と一頭、二つの力を合わせて協力する事で、君達はここ最近の冒険を成し遂げてきた。


 四つ目は愛馬の【生命力】だ。

 これは出目の一つをし、それに12を足す。14~24の値になる。

 愛馬も君同様、負傷ダメージを受ける度に【生命力】が減少し、0になれば行動できなくなる。


 どの能力値ステータスもここで決めた値が初期値であり、最大値である。よって冒険の最中に増やすよう指示があっても、普通は最初に決めた値を超えない。

 そして下限は【0】。マイナスにはならない。これらを覚えておくこと。



〇戦闘の方法


 冒険中、君は幾度も敵と戦う事になる。

 その時、敵の【戦闘力】と【生命力】が記載される。

 戦いは以下の手順で進む。


一:君の攻撃力を決める。サイコロを2個ふり、出た目と君の戦闘力を合計する。


二:敵の攻撃力を決める。サイコロを2個ふり、出た目と敵の戦闘力を合計する。


三:君と敵の攻撃力(合計値)を比較する。

 同点だったなら戦況は互角だ。一へ戻って互いにサイコロを振り直す。

 君の方が大きければ君の攻撃が成功する。四へ進む。

 逆に敵の方が大きければ君が負傷する。五へ進む。


四:敵の生命力を2点減らす。これで0になれば君の勝ちだ。

 まだ1点以上、敵の生命力が残っているなら、一へ戻って勝負を繰り返す事になる。


五:君の生命力を2点減らす。これで0になれば君は敵に倒されてしまう‥‥冒険はそこで終わりだ。

 まだ1点以上、君の生命力が残っているなら、一へ戻って勝負を繰り返す事になる。


 上記の一~五を一まとめにして「1ラウンド」と呼称する。


 敵が複数いる時は厄介な事になる。

 二を敵の数だけ繰り返し、敵ごとに攻撃力を決めねばならない。

 一で決める君の攻撃力は一度だけだ。

 そして君の攻撃力に勝った敵は、全員が君に攻撃を加えてくる――君の攻撃力を上回った敵の数だけ、五を適用せねばならない。一度にたくさんのダメージを受ける可能性がある、という事だ。

 一方、君は自分より攻撃力の低かった敵から、ダメージを与える――複数の敵を同時に倒す事はできないのだ。

 これが不利な事は、少し考えれば誰にでもわかるだろう。

 ただし敵が5体以上いても、だ。余った敵は前後左右を囲まれた君を離れた所で威嚇するに留まる。



〇人馬一体


 と、戦闘のルールは上記の通り。

 だが君は大概の戦闘で、愛馬に騎乗して戦う事になる。これにより君達は特殊な戦い方ができる。


 一で君の攻撃力を決める時、君の代わりに愛馬が戦っても良い。この時は愛馬の【戦闘力】にサイコロ2個の出目を加えて戦い、敵からダメージを受ける時は愛馬がそれを被るのだ。


 そして――ここが特に肝心なのだが――算出した攻撃力が不服ならば、

 この場合、改めてサイコロを2個ふり、の【戦闘力】に出た目を加え、その攻撃力で結果を判定する事になる。

 ただし1ラウンドにできる交代は1回だけだ。交代後の攻撃力に不服でも。そして敵の攻撃力の方が高かった時にダメージを受けるのは、もちろんだ。


 出目が悪かった時はどんどん交代して攻撃をやり直すと良いだろう。もちろん交代する者の残り生命力に注意する必要はあるが。


 改めて1ラウンドの内容を詳しく書けば、以下のようになる。

・君と愛馬、どちらが攻撃するか決める。

・攻撃する者の【戦闘力】とサイコロ2個の出目を足す。

・満足のいく結果ならそのまま戦闘続行。手順二以降に進む。ダメージを与えるのも受けるのも攻撃した者である。

・攻撃力に不服なら、もう片方と交代。

・交代した者の【戦闘力】とサイコロ2個の出目を足し、手順二以降に進む。ダメージを与えるのも受けるのも交代した者である。


 また、。だが行動不能になるので、敵を攻撃する事も、道具を使う事もできなくなる。

 そして【生命力】を1以上に回復させれば、また戦う事ができるようになる。



〇戦闘オプション


 戦闘時にとれる行動は、ただ漫然と攻撃を繰り返すだけではない。


・圧倒

 サイコロの出目次第では、敵が絶対に抗えない攻撃を繰り出す事もあるだろう。この時の攻撃は相手から見れば凄まじい物になる筈だ。

 君にしろ天馬ペガサスにしろ、手順一で算出された【攻撃力】が敵側の最大値(【戦闘力】+12)より大きければ、もはや敵側のサイコロを振る必要は無い(攻撃の成否が確定してしまうため)。

 この時、君達が敵側に与えるダメージに+1する事ができる。

 弱い敵を容赦なく蹴散らすオプションだが、敵も君達に同じ事ができる‥‥敵の【攻撃力】が君達側(そのラウンドで攻撃した者)の【戦闘力】+12より大きければ、君達が受けるダメージに+1されるのだ。

 この作品は「格上」の敵と戦う事に非常に大きなリスクがある事が理解できたであろう。


・道具を使う

 この冒険では戦闘中に使える道具もある。

 ただし戦闘中に道具を使えるのは基本的に君だけだ。君の【生命力】が0になったら戦闘時に道具を使う事はできない。

 だが戦闘中でなければ話は別だ。君の【生命力】が0でも持っている道具を使う事ができる。

 なお、冒険の途中でいくつも武器を手に入れる機会があるが、。どの武器で戦うかは戦闘開始直後、1ラウンド目が始まる前に決めること。


・逃亡

 逃亡が可能な状況では、逃亡先の指示がある。

 逃亡を選べるのは、ラウンドとラウンドの間、敵味方がサイコロをふる前。

 敵も追撃してくるので、数ラウンドは戦う必要がある(文中で指示される)。だが手傷を追いながら強引に逃げる事も可能だ。この時は足りていないラウンド数と同じ点数のダメージを君達が受ける。

(4ラウンド戦う必要がある戦闘で、1ラウンドしか戦わず逃げ出すなら、3点のダメージを受けるということ。)

 この時のダメージは君と愛馬で任意に分担して良い。ただし【生命力】の下限は0なので、マイナスになるようなダメージの引き受け方はできない。


・ダメージの乱数化

 戦闘で発生するダメージは2点と定められている。

 だが君が望むなら、これが増減するかどうか判定しても良い。


 戦闘手順の四か五において、サイコロを1個ふる事もできる。これを半分(端数切上)にすると、1~3の値が出る。これをダメージとして適用するのだ。

 乱数化するかどうかの選択は、ダメージが発生する毎に任意で決める事ができる。


・相打ちを狙う

 戦闘の手順三では、同点ならば互いに無傷で一へ戻りサイコロを振り直す。

 これが不服なら、君(愛馬)と敵、両方がダメージを受ける事にしても良い。

 敵が複数だった場合にこれを使うと、同点だった敵全てが君(愛馬)を負傷させるが、君(愛馬)は同点だった敵から一人を選んでダメージを与える事になる。

 相打ちを狙うかどうかの選択は、手順三で同点が発生する毎に任意で決める事ができる。


〇地図

 この冒険は舞台を君の意思で移動し、同じ場所に何度も行く事ができる。

 その舞台は大きく分けて5×5のエリアになっている。

(舞台MAP)

https://kakuyomu.jp/users/matutomoken/news/16818093077630614235

 天馬ペガサスに乗って空を飛んでいる時はこの地図に合わせた位置座標が記されるが、これは空中からの見晴らしの良さをゲーム的に表現したものである。


〇フラグNo

 同じ場所に何度も行き来する都合上、どこで何をしたのかを記録していく必要がある。

 この作品ではそれを【フラグNo】という欄に記入する。ゲームを進めているうちに、各欄に数字を記入するよう指示があるので、それに従うこと。未記入の欄は「0」として扱う。

 なお同じ欄の数字を変化させるよう指示が出る事も多々あるが、ように。

 仮に「50」と記せ、という指示があった場合、それまでの値が「0」だろうが「10」だろうが「100」だろうが、とにかく「50」になる。


〇運命数

 どこで何が起きて何と出会うのか、運命という物はとかくわからないものだ。どんな事件が舞台のどこで起こるかを決めるため、ゲーム開始前に4つの運命数を記入しておく。

 サイコロを1個ふり、出た目が1~5ならその数を、6なら1~5から任意の数を、運命数αアルファに記入せよ。

以下、βベータγガンマδデルタも同じ方法で1~5の数字のどれかを入れておく。

 冒険が始まれば、しばしばこの4つのどれかを参照し、何と遭遇したのかが決まる事になる。これにより強敵とすぐに邂逅したり、味方となかなか出会えなかったりと、厄介な事が起こってくれるのだ。


〇所持品

 この危険な冒険を成功させるには、いくつかの貴重な品を手に入れる必要もあるだろう。

 冒険を開始する時点での君の持ち物は下記の通り。


背負い袋

金貨10枚


 背負い袋は頑丈な背嚢だが、無限に物が入るわけではない。時には「複数の品物から一つしか持って行けない」というような場面もあるだろう。

 金貨はこの冒険の舞台近隣で使われている物だ。

 他にも細々した持ち物が無いではない(財布だの手綱だの‥‥etc)が、列記しているとキリがないので、そうした物に関しては気にしなくて良い。


 また冒険の中で様々な道具を手に入れる事だろう。だが道具を使うのも装備するのも、基本的には。愛馬が装備したり使ったりできる道具は、入手時にそう記されている物だけだ。



〇旅立ち


 最後になったが、君の分身となる戦士に、何か良い名前をつけるべきだろう。

 この時に年齢や性別、おおよその外見も決めてやるとよい。

 これは冒険の成否にかかわる事ではないが、ロール・プレイング・ゲームとは本来そうすべき物なのである。

 特に事――たまに登場人物の態度や道具の使用可不可に関わる事がある。


 では次のページに進みたまえ。

https://kakuyomu.jp/works/16818093075655425577/episodes/16818093075655494778

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