#03 今でも許せない教師たち①
これは、作者のこれまでの学校生活で出会った、未だにどうしても許せていない『クソ教師』たちを集め、『こんな先生、いたいた!』と読者様から共感を求めようと、ただ愚痴を吐き散らしているだけのしょうもないエッセイです。
※需要ないと感じる方は遠慮なくスルーしてください……
「あのねぇ子供なんだから、そんなところで本なんか読んでないで、とっととグラウンドにでも行きなさい!」
昼休み、図書館で借りてきた児童書を読んでいた猫丸に対して、当時の担任教師が投げかけたセリフだった。
前回もこれまでも軽く触れていたのだが、作者である猫丸は大の本好きの子供だった。
幼稚園生の頃、他県に住んでいる祖母から、定期的に送られてくる絵本に胸を踊らせたものだ。
だから小学生になってからの休み時間も、好き好んで読書の時間に当てようとしていた――――のだが。
そんな猫丸の優雅な読書ライフ(?)は、悲しくも破壊されてしまう事になる。当時の担任の手によって。
猫丸が小学一年生だったときの担任の先生は、定年退職間際な年配の女性教諭だった。
上記の発言で、すでに皆様薄々お察しだと思われるが――――そうこの担任、いわゆる『クソ教師』であった。
『クソ教師』と言えども様々なタイプがいるだろうが、彼女は割と典型的な昭和脳
とはいえこのとき平成後期。作者の親世代のような、悪事を働いた児童に拳骨を食らわせたり、竹刀で殴ったり……ということは流石に無かった。
ただ、『体罰』に近しいことは日常的に行っていた。
「何が悪かったのか、私を納得させることを言えたら、席に戻っていいわよ」
と、何か悪いことをしたクラスメイトを、教壇の横や教室の後ろにずっと立たせるのだ。
それは授業中だろうがなんだろうがお構いなく行われる。もはや他のクラスメイトへの見せしめ状態だった。
彼女を納得させられるような事を言えて、許しを得たら席に着けるのだが、それが出来ないと、立つ時間は丸一日にも平気で上った。
それに『悪いこと』と言えども、今考えてみれば全く大したことじゃないのだ。
忘れ物を朝に報告していなかった、宿題の音読カードを親に書いてもらい忘れた、昼休みに椅子を引いたままにして遊びに行っていた、等。
猫丸も一度か二度立たされたことがあり、その内の一度は確か、連絡帳を提出し忘れたことが理由だった。
確か一時間目に『連絡帳は?』と呼び出されて、それから放課後までずっと担任が授業している横で立たされていた。
給食は一人だけ教室の後ろに席を下げられて(しかも後ろ向きで)、食べた記憶がある。
そのときどんな気持ちだったのかは、小さかったのでよく覚えていないが、とにかく早く解放されたい一心で、担任が納得しそうなことを考えていた。
謝ればいいのだろうか、と思って『連絡帳を出さなくてごめんなさい』と頭を下げたが、『で?それでどうするの?』と一蹴された記憶がある。
今だったらもう少しマシな解答を出せるかもしれないが、このときはまだ小学一年生。
『私を納得させろ』だなんて抽象的な指示を出されても、そこまで頭が回る年頃ではないと、今考えても思う。
結局何を言っても解放されることはなく、放課後になっても中々帰して貰えず、流石に焦りで泣きそうになっていたところに、母親が迎えに来てくれてよくやく解放された。
その日は母親の自転車の後ろに乗って帰ったのだが、そのとき掴んでいた母親の背中がやけに温かく感じて、心の底からホッとしたのを覚えている。
他にも、自分の機嫌次第でどんな些細なことにでも大声で怒鳴るし(物にも当たるし)、
給食は完食強要するし(他のクラスは食べ切れなかったら残しても良かった)、自分の考えを遺憾なく押し付けるし、情緒不安定ですぐ泣くし(あなたのことを思って言ってるのに…的な)、
一度、中休みに教室の後ろで男子何名かが鬼ごっこをしていたことがあり(この行為自体は完全に本人たちが悪いんですが笑)、
その男子達は揃いも揃って全員、罰として教室の後ろで丸二日も体操座りをさせられていた(その間、授業は受けられない)。
それが通常運転だったから、当然クラスメイトたちは担任を何よりも恐れており、クラスの雰囲気は常にお通夜状態だった。
授業参観のとき、あまりに教室の雰囲気が暗すぎて、保護者が心配するほどだったらしい。
だから、三月の終業式の日は本当に心の底から晴れやかな気持ちだった。よくやくこの担任と離れられると思うと、飛び跳ねたいほど嬉しかった。
……まぁ、結局この担任は持ち上がりだったのだけれど。
二年生のクラス替え発表のとき、バクバク鳴る心臓を抑え、周りの子達と一緒になって『あの先生のクラスじゃありませんように…』と心の底から願っていたのを今でも覚えている。
あれは本当『人生でビビった瞬間トップ3』に入るんじゃないだろうか……
幸運なことに猫丸は二年生からは違う先生が担任になったが、二年連続あのBBAのクラスになってしまった子たちを見て、心底同情したものだ。
……ちなみに当時、休み時間の読書を禁じられた猫丸がどのように過ごしていたかと言うと、他の子たちと楽しく鬼ごっこをした―――訳ではなく。
特に何をするでもなく、ひたすらグラウンドの端を一人でぐるぐると歩き回っていた。
この頃はまだ入学したばかりで、これと言って特別仲の良い友人もおらず(二年生に進級して初めて親友ができた)、かと言って一人でグラウンドで何が出来るのって話なので。
なんでクラスメイトたちが遊んでいる最中に入らなかったのだろう、と今は疑問だけれど、幼い頃の猫丸は、今以上に他者への興味が薄かった。
なぜか、グラウンドのど真ん中で楽しげに走り回っている児童を見ても、羨ましいとか、私も入りたいなとか、不思議とそんなに思わなくて(少しは思ってたかも)、一人ぼっちでも意外と平気だった。
そういう意味では割と猫丸はタフで、ある種の強い子供だったように思う(なお高校生になった現在の猫丸は超お豆腐メンタルです……)。
だからなのか、鬼のような担任と顔を合わせないといけなかったにも関わらず、そこまで学校に行くのを苦に思ったことは無かった。
怒られることは勿論嫌だったけれど、学校に行きたくない、という次元にまでは達しなかったというか。
むしろ、それが当たり前だと認識していたから。
今だったら『あれ絶対おかしいよね』と思える出来事でも、幼さ故にまだ視野が狭かったため、善悪の区別がいまいちつかなかったのだ。
だから当時はあり得ない担任の姿を見ても、まぁ小学校ってどこもこんなものなのかな、と割と普通に受け入れていたのだ。
だから、何年か後に猫丸が当時のことを日常会話的なノリで話したとき、母親は『そんな話聞いてないけど?!』と心底驚いていた。
担任に一日中立たされたあの日、母親はやはり中々帰ってこない娘を心配して学校まで迎えに行ったらしいのだが、何故帰りが遅くなったのかまでは知らなかったらしい。
まぁ猫丸自身、自分に非があって罰を受けたこともあって、母親には何があったのか言わなかった(逆に自分が怒られるかと思っていた)。
担任もわざわざ馬鹿正直に説明するはずもないので、母親が事を知らなかったのも無理はない。
後から聞いたのだが、あの担任は保護者間でも『厳しい先生』で有名だったにも関わらず、何故か一年生や二年生のクラスしか担当しなかったという。
『あの先生、担任持つなら低学年がいいって直々に希望しているそうよ』という、嘘か本当か分からない噂があったらしい。
『結局、反抗しないからなのよ』と、母親は呆れたようにそう言っていた。
「高学年だったらある程度知恵もついてるし、おかしいと思ったらそれなりに反抗もするでしょ。でも低学年だとまだ素直だから、すぐ『ごめんなさぁい』って泣くじゃない。だから、あの先生もそれがやりやすかったんでしょうね。自分の言う事ハイハイって聞いてくれる方が良いに決まってるもの」
そう話す母親は妙に楽しげに笑っていたため、少し引いたが、確かに母親の言うことは的を得ているような気がした。
あの担任が完全に支配していた教室の空気も、もしそれが思春期に差し掛かった五年生や六年生のクラスだったら、きっと同じようにはいかなかっただろう。
結局あの担任は、純粋な子供の心を利用して、日頃のストレスの憂さばらしでもしたかったのだろうなと、今では思っている。
ただ、猫丸はそのBBA…当時の担任を、このエッセイの記念すべき(?)シリーズ第一弾に上げようかどうか、実は迷った。
なぜなら猫丸は、この担任に何か今度の人格形成に影響を及ぼすようなトラウマを植え付けられたとか、今でも思い出すだけで恐怖するとか、そういうことは一切ないからである。
正直、昔のこと過ぎていまいち記憶に残っていないし、当時、そこまで辛い思いをした訳では無かったから。
それに、猫丸にとってはこの後の学校生活の方がよっぽど暗黒で(主に人間関係)、そのときの苦しかった記憶が強すぎて、正直もうそのBBAのことは記憶の片隅へと消えている。
ぶっちゃけ『今でも許せない教師たち』と言うほど、根に持っている訳でもない。
(あそこまであからさまな体罰をする先生には、後にも先にも誰一人として出会わなかったけれど…)
じゃあ何故このエッセイを書こうかと思ったかというと、ただ読者の皆様に『いたいた!こんな先生』と、少しでも共感を貰いたかったからである。
多分、このような時代遅れのクソ教師は、どこの学校にも居るのでは無いでしょうか(居なかったらごめんなさい)。
……ちなみにその担任のその後だが、二年生で持ったクラスに運悪くモンスターペアレンツの子供が居て、その子供にいつもの如く接した結果…(続きはご想像にお任せしますw)
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