第19話【孤独②】
〖作戦実行 強行突破!!〗
バァァァァァン!!!
鉄製のドアを蹴り破って沢山の脱獄者が走る。
「退け退けぇ!!脱獄じゃァァ!!!」
「あんまり前に出るな!アシストが間に合わねぇよ!!」バァァァァァン!!!
鉄製のドアを蹴り破って沢山の脱獄者が走る。
「退け退けぇ!!脱獄じゃァァ!!!」
「あんまり前に出るな!アシストが間に合わねぇよ!!」
ー1時間前ー
「その鍵って何だよ?」
「ふふ~ん。よくぞ聞いてくれた!これは此処に捕まってる人達を全員助けられる鍵だよ~!!」
「何でそんなのを…!」
「そこは此処にいる青髪のちぃちゃんに聞いてぇ」
「ちぃって呼ぶなし」
女子に呼ばれて青髪の青年が前に出てきた。
「俺は千織"ちおり"。周りからはちぃなんて変なあだ名付けられてるけどまぁ宜しくな」
「でぇ?そんなちぃの能力は~??」
「《強奪 》"ロブドゥ"だ。この能力の発動範囲の物だったら手に触れなくても物を取ることが出来る」
「だから鍵なんて盗めたんだ」
たくとは頷きながら理解すると、女子が千織以外の皆も集まって自己紹介をしようと提案する。
「改めて千織って呼んでくれ」
「千羽"せんば"だ。能力は《透明人間》"ゴーストヒューマン"。そのまんまで透明になれる。宜しくな」
銀髪の青年が紹介してすぐ肩に寄り掛かる緑色の長髪の青年。
「僕は彩葉"さいば"って言ってくれ。能力は葉を使って様々なことが出来る《伏葉》"ふくば"。頼めることなら何だってやるよ!」
二人の青年の紹介が終わると千織はあの黒髪のショートヘアにピンク色の髪飾りを付けた女子を前に行かせた。
「私は葵"あおい"だよ。能力は皆より地味なんだけど《未来予知》"みらいよち"って所かな。まぁ宜しくね~♪」
「じゃあ後はお前だけだ」
千織がベッドに座りながらたくとに話し掛ける。たくとは拳をぎゅっと握り、話し始める。
「俺はたくと。能力はまだわかんねぇけど、炎かな?まぁよろしく…」
「「「「うん、宜しく」」」」
「て、ことで全員の自己紹介も終わったって所なんで…」
ガチャン!
キィィィィィ…
重い音を立てながら鉄製の扉を開ける。たくと達はそれから監視カメラや監視員の危険を掻い潜り、捕らわれていた子供達を解放していく。そんな中、1人の子供が監視カメラに映り、警報が激しく鳴り響いた。
ウ"ゥ"ゥ"ゥ"ゥ"ゥ"ゥ"ゥ"ゥ"ゥ"!!!
「チッ!やべぇぜお前ら!!奴らが来るぞ」
「わかってる!!」
「ごめんなさい。僕の、僕のせいでぇ(泣)」
「良いのよ、誰だって失敗あるんだから」
千織の声に最後の檻を開けてたくとは中の子供を出した。そして、警報に引っ掛かった子を葵はよしよしと撫でて落ち着かせる。
「オイ!!あそこに居るぞ!!」
「捕えろ!!!」
すると向かい側から大勢の研究者と監視員が片手にスタンガンや拳銃を持って次々と入って来る。
「やべぇ!!どうする!!?」
たくとがおろおろしていると千羽と彩葉が反対側の鉄製の扉を見る。
「ちゃんと合わせろよ」
「わかってる!」
バァァァァァン!!!
そして鉄製のドアを蹴り破って一斉に沢山の脱獄者が走る。
「退け退けぇ!!脱獄じゃァァ!!!」
「あんまり前に出るな!アシストが間に合わねぇよ!!」
やはり反対側にも多数の監視員や研究者が居たが千羽と彩葉がお互いの能力で皆の道を開ける為に敵を凪払って進む。
「サンキューだ。お前ら!」
「これくらいどうってことないね!!」
「皆の役に立てて光栄だよ」
そして、走ること数分。遂に今までよりも厳重で大きな鉄製の門のような扉の前まで来る。
「後はこの扉を抜ければいいと思うんだが…どうすれば…」
ビィィィィ!!グォングォングォン!!!
『第一大監獄の扉が開きます。一歩下がってお待ち下さい』
「「「「「!!!?」」」」」
突如、門のような扉は警告音と共に厳重な扉はゆっくりと開く。違和感に気付いたたくとが振り向いた瞬間にはもう遅かった。
ドォンドォンドォン!!!
バチチチチ…!!!
「ア"ア"ア"ア"!!!」
「キャァァァァァ!!!」
多数の叫び声と共に銃声やスタンガンの音が響いき出した。後ろに居た皆が次々と捕らわれていく。そして、たくとの目にはあの忌まわしき少年の研究員が嘲笑いながら研究者達や監視員達に指示を出してるのが見えた。
ビキビキ…!
「駄目だ!抑えるんだ。どの道、今引き返したら全員死ぬぞ!!」
「だからと言ってお前は見捨てんのかよ!!」
バビュン!!!
「駄目!たくと!!!」
千織と葵の注意を無視してたくとは壁を伝って走り、一気に少年研究員に近付く。
「死ねェェェェ!!!」
ドゴォォォォォォン!!!!
そしてたくとは壁を蹴り上げて少年研究員の真上まで来ると踵落としでブチ殺す所だったがすんなりと避けられて踵落としは鉄製の床を粉々に砕く。
「流石神に選ばれし実験体"モルモット"。実に興味深いよ」
「黙れェェェェ!!!」
ヒュンヒュンヒュン!!
ガッ!
「!」
ブンッ!!!
たくとは劣勢を使い、少年研究員との肉弾戦を仕掛ける。たくとは余計な動作1つせず拳を連打するが、やはり華麗に躱す。そこで予測をしたたくとは避けた瞬間を狙い、襟を掴んで投げ飛ばす。
「おおっと!凄いパワーだね」
(殺す!!!ぜってぇ焼き殺してやる!!!)
「がら空きだぜ!!」
「黙れ」
「!!!?」
ボゥゥ…
「彼を刺激するな!!」
「皆伏せて!!!」
ボウッ…ボァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!!!
1秒後、たくとは後ろからの奇襲を躱すと体から爆発寸前までの炎を炙り出すと、一気に放射して周りの研究者達や監視員達を丸焼きにした。
パチパチパチッ…!
「あんなに居た僕の部下が一瞬で…」
少年研究員が呆然としているその時を待つかのようにたくとは低く構えて突撃しようとした瞬間だった。
ズンッ!
「「「「!!?」」」」
「何だよ…アレ…?」
たくとや皆の目には少年研究員を庇う大勢の半分人間、半分機械で出来た、言わば《改造人間》が現れた。
「何人増えようと、関係ねぇ!!」
ボボッ!
カヂャ!!ガチャン!!
ガシャガシャガシャ!!!
炎を再び纏い奴らに突っ込もうとした時だった。
改造人間達は片腕の機関砲や機関銃をたくと達の方へと向ける。そして…
「「「「!!!?」」」」
「クソッ…!!」
ダッダッダッダッダッダッダッ!!!!
そしてたくとは蜂の巣のように銃弾を受けてそのまま吹き飛ぶ。更に後ろに居た皆ががら空きとなってしまい、千織、葵、千羽やサイレン以外の全員が撃ち殺され、大量の肉塊と血液により部屋全体が赤く染まった。
ビチャ…ビチャ…
「う、ウゥ…」
「葵!?」
「クソ!たくと!!」
「もう駄目だ。皆息してねぇ!!」
たくとは皆の目の前で朽ち果てるように倒れた。それを見た千羽が遂に我慢出来なくなり血走った目をギラッと見せながら走り出した。
「止まれ!!千羽!!!」
「千羽、僕も援護します!!!」
「彩葉、お前まで行くんじゃねぇ!どうしてこうバカばっか…」
バッ…!
「ピピピピッ!!」
「透明人間!!!」
「伏葉!!!」
2人同時に逆へ移動し、千羽と彩葉はお互いの能力を発動したが…
ピッピピピ…
ガチャン!!
ダダダダダダダダダダダッ!!!!
(クソガ!!見えんのかよ!!?)
(ごめん。先に逝くわ…)
バヂュバチュバヂュ!!!!
バキバキバキバキバキ!!!!
ドサッ!ドサッ!!
「クッ…!!」
「あ、あぁ…」
「これで邪魔も消えたな、さてと、お前らも殺す。モルモットごときが生きがんな…」
スッ!
「…マジかよ!」
「た、た…」
ドォォォン!!!
その時、たくとは立ち上がった。ボロボロなのに…血だらけで骨も砕け散っているのに…
「プッ!あぁ、血の味がする…」
「まだ生きてたのか、まぁいい…」
「死ぬが良いさ!!」
少年研究員の言葉に改造人間は一斉に構える。すると、後ろから大きな機械音がする。振り向けば完全に扉が開いていた。葵と千織が手を振って叫んでいる。前を見ればもう銃弾を放ちそうだ…下を見れば…2人の屍。たくとは涙を出さずに葵達の方面に走り出す。たくとは走馬灯を見るように時間が遅くなり、何も聞こえず、ただただ、重い足を踏み出して、そして…
ガシィ!!!
バッ!!!!
ダダダダダダッ!!!!!
「ガハァ!!!」
「駄目!ちぃちゃぁぁぁん!!!」
たくとは葵と千織の手を掴もうとしたが千織はたくとの手を掴まず、たくとと葵の前に出て、銃弾からたくと達を庇った。そして、扉の外へと飛び出す。太陽の光が止んでいって視界が良くなるとそこは崖であり、たくと達は海へ落ちていってしまった。
「「うわぁぁぁぁぁ!!!」」
ドボン!!!!!
ブクブク…
(寒い…ちぃちゃん、ごめん。たくちゃんは一体…何処…!?)
葵が沈んでく中、脳内に未来予知が流れた。
部屋でたくとだけでなく、色んな人がたくとと楽しく会話をしていた。そして、誰よりも金髪の青年はたくとと肩を組ながら酒を飲んでいたのが見えた。
(はっ!!…そうか、たくちゃんは…)
ふと横を見ると気を失ったたくとが見えた。急いで泳ぎ、たくとの手に触れた。
(いつかまた、綺麗な世界でまた会おうね…)
ーーー
スゥゥゥゥ…
(こ、此処は…)
「目ぇ覚めたか」
「え、起きたの!?」
たくとは知らない部屋で金髪の青年と青髪の少女がこちらを見ていた。どうやら手当てをしてもらっていて、布団に寝込んでいたらしい。
「お前、名前は?」
「…たくと」
「そっか、たくとさん宜しく。私はまるしぃでこっちがバk…」
「けいぶんだ。宜しく」
「もう!!」
けいぶんとまるしぃはたくとの前で喧嘩を始める。そして、天井を見上げると何かを思いだせそうだったが…わからなかった。
「…いつかまた、会えるかな」
昔の曖昧な記憶から覚めたたくとは自分の手を見て呟いた。悲しみのあまり落ち込んでいると寄り添っては煙草を吸いながら優しく話し掛けてくるけいぶんが居た。
「一本…いるか?」
「じゃあ、貰うよ…」
カチッ…
ライターの音が地下室に響いたのだった。
〖守り切れず灯火は揺れる〗
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