闇ギルドのサロマ編
第29話 私は売られた
リッツ王国の王都貧民街でサロマは生まれた。
3歳で物心着いた時、お袋は居なかった。
呑んだくれで、無能な親父は私をある組織に売って酒代にした。
命掛けの厳しい訓練が始まったが、あの呑んだくれ親父との生活より、飯が普通に食えるだけ恵まれた生活に思えた。
殺人、暗殺技術を仕込まれて、私は6歳まで生き延びた。
50人居た子供達、殺人と暗殺実地訓練で、今では15人しか生き残って居ない。
更に訓練は厳しさを増し、飯を身体が受け付けん、食ったら即ゲロだ! 私は込み上げるゲロを呑み込み、ひたすらゲロと一緒に飯を食った。
たった15人の仲間、飯を受け付けず衰弱で一人二人倒れて行った。
7歳に成れたのは11人だった。
11人に減って初めて座学が始まった。
暗殺や殺人を請け負う、闇ギルドが私達が所属する組織と初めて知った。
座学では回復薬や傷薬など薬剤の調合に、暗殺用に毒薬の調合も詰め込まれた。
調合の失敗で爆死する仲間、8歳に成れたのは7人だった。
私達に初の任務が降りた。
リッツ王都の遥か東、隣国サクセス王国との国境の魔の大森林に面した辺境のキワマ町の領主、キワマ男爵の暗殺に向かえ!
命令を受け、私達7人は辺境のキワマ町に向かった。
「サロマ隊長」
「何だリンド」
「50人居た仲間が、5年で7人になってしまった」
「そうだな、7人になった」
「僕はこれ以上仲間が死ぬのが耐えられません」
「おい! 声を落とせ! 監視役に聞かれるぞ」
⦅僕達6人で話ました、結論は協力して監視役を殺し、魔の大森林に逃げ込み、各自東に向かいサクセス王国に逃げ込む⦆
⦅お前達、流石に地獄の日々を生き残った仲間だ! キワマ町に到着した後、皆に打ち明けようと思った内容だ⦆
「隊長、キワマ町まで2日の距離です」
「今夜は各自鋭気を養い、明日は訓練の仕上げ! 駆け抜けて1日でキワマ町に行く!」
「「「「「「はい!!」」」」」」
⦅監視役に聞こえただろう、これで不自然に走っても怪しまれん! 一気にキワマ町を通過、魔の大森林に飛び込むぞ!⦆
練り抜いた作戦より、単純でバカバカしい作戦の方がバレ難く、成功し易い。
………はずだった。
私達は自分で思った以上に人外化して居た様だ。
1日どころか、夕方にキワマ町が見えて来た。
「一気に駆け抜けろ!!」
ここからは単独で魔の大森林を抜ける。
………はずだったが、私の行く手を監視役が塞いだ。
リンド達、私を売ったな!!
気付かないとは、私はお目出度いバカだった。
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