第3話 夢冒険の始まり

ハッ!


こ‥‥ここはどこだ?


広大な草原、遠くに微かに見える森‥‥


冗談じゃない!なんで私がこんな場所に‥‥


そうか、これは夢だよな?こんな場所、絶対に地球に存在しない!


「あっ、いたいた、探したよー彗人君。」


どこからもなく声が?辺りを見渡すが誰もいない‥‥と、思ったが、斜め上の目線に何か飛んでいる。


虫?いや、見る限り人だ。しかし小さい、小さな女性の人間だ。しかも羽が生えていて、その羽で飛んでいるって事なのか?


正直言って怖くはない。どちらかと言うと可愛いくらいだ。それに、これはどうせ夢なんだから。


「ごめんね、これからよろしくね♪」


「え?あ、ああ、よろしく。」


可愛い‥‥かも。楽しい夢‥‥だな。


「ボクの名前はケイト。ケイト・トゥライザーク。あなたと同じ上行結腸癌だよ?」


「え?癌?」


「あれれ〜?聞いてないの〜?昨日の晩に君の世界に声がかからなかったかなぁ〜?」


なんだ?もしかしてあの占い師の婆さんが言ってた話の事だろうか?


おいおい、やめてくれよ、夢にまで癌の話を持ち込むのは。


まぁ、この小さな小人は可愛いから許す‥‥か。


「あのね、知っているか知らないかわかんないけど、もう毎回眠りに入るとこの地に来るからね!?」


「‥‥どういう意味だ?」


「あれ〜、それも聞いてないの〜?君って聞く耳持たずで頑固者だったんだねぇ。」


余計なお世話だ!そりゃー幼少期から今の今まで頑固な奴と言われたのは確かだが、夢でそんな事言われたのは多分初めてだ!


「んじゃ、ボクから説明するね?少し長くなるかもだけど、わからない所があったら何回も言うよ?


彗人君とボクはあと500日くらいしか生きる事が出来ない病気なんだ、お互い同じ癌だからね!?」


小さな小人の説明に私はうん、うんと2回頭を縦に動かした。


「彗人君達、つまり人間から見るとここは異世界、数種族が生息する小さな異世界だよ?」


少し意味がわからない気がしたが、なんとなく頭を1回だけゆっくり縦に動かした。


「そしてボク達の目的地はあそこ、見えるかなぁ、微かに森っぽいのが見える?あれが君の世界で説明があった妖精大森林パラダイスだよ?」


ケイトという小人は遠くを指差し、そのぱらだいすとやらを説明した。私は頭を縦にも横にも動かさず、その森をずっと見ていた。


「あの場所にね、ボク達の病気を治せる聖なる水が湧き出ているんだ。その水とその地にいる女神様の魔法をかけてもらえれば、ボク達の病気は完治するんだよ?」


私は察したぞ、つまりあの妖精大森林とやらにこの子と行って、聖なる水を女神様に魔法をかけてもらい、その水を飲めば癌が治る‥‥と。


「えっとケイトちゃん?だっけ?その目的地には何時間で行けるの?」


「ん〜、私達妖精だけの移動ならね、半年ってところかなぁ、でも彗人君は空を飛べないでしょー?だから恐らく1年半って所じゃない〜?」


ちょっと待て、1年半だと?


仮に私の命があと500日と仮定して、1年が365日、その半分が役180日だからつまり、365+180で‥‥545日!


辿り着く頃には死んでるじゃねーか!

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