作品11:『煙に還る』 マキノゆり・著

抽選日時:8月25日 21時

応募総数:38

有効応募数:17


煙に還る

マキノゆり

https://kakuyomu.jp/works/16818093081413541173


全1話 完結作品

5046文字

ジャンル:現代ドラマ


 この作品を一言で表すなら、亡くなった祖母との思い出話です。


 この作品は、物語の主人公・良明を中心に描かれているのですが、視点が分かりにくくて混乱するかも知れません。良明の視点だと思うのですが、「ぼく」「わたし」といった一人称ではなく「良明」となっており、他の登場人物も同じように名前で記載されています。しかしストーリーは「良明と祖母の思い出話」や、「良明が誰かから聞いた話」、あるいは「良明自身の体験談」といったものばかりで構成されていますし、物語の途中は完全に一人称視点になったりもします。自分自身も、読みながらかなり混乱してしまいました。ここは視点をはっきりさせた方が読み易かったかなと感じます。

 大事な人を亡くし、その人との思い出を一つ一つ、しみじみと思い返しながら、ゆったりと時が流れていく様子の描き方はとても見事で、非常に読み易い作品です。以前の感想文の中でも書きましたが、自分はお婆ちゃんっ子でしたので、こういう話は刺さります。祖母との思い出がある人に特におススメしたい作品です。

 因みに、この作品の終盤はタバコの話を中心に描かれています。以前の感想文の中に、これも同様にタバコが中心になっている作品がありましたが、自分はタバコは一切吸いませんし、好きでもありません。副流煙などは迷惑だなとしか感じず、こんなもの早く禁止すればいいのにと考える人間です(欧州など多くの国では、タバコは麻薬と同じ扱いになっています)。決してタバコが好きで選んだわけではない、という点は強調しておきたいと思います。

 その上で、タバコを吸い始める切っ掛けって、家族・親族の誰かの影響である可能性がとても高いんです。この作品もそうですし、自分の友人のヘビースモーカーも、ほぼ全員家族がタバコを吸っています。逆にタバコを吸わない人は、家族も吸わない事が多いですね。自分の家族も誰も吸いません。従いまして、本作のような「祖母との思い出がタバコ」だから「タバコを吸う描写が多くなる」というのは、個人的な好き嫌いを抜きにして、十分理解できるところです。もし自分の祖母がタバコを吸う人だったら、自分も吸っていたのかなあ?

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