魔法使い

勝利だギューちゃん

第1話

魔法使い。

女の子なら、一度は憧れる存在。


魔法使いの定義なら、殆ど同じなので省く。


生まれついての魔防使いか、普通の女の子がある日突然魔法使いになるか。

その2パターンに分かれると思う。

全部読んでいるわけではないので、自信がない。


私は、ごく普通の女の子。

どこにでもいる女の子。


何かの本で読んだ。

魔法陣を書けば、魔法使いは出てくると。

あれ?

悪魔だったかな?


まあ、いいや。

とにかく魔法陣を描いてみた。

描いたはいいが・・・


我ながら下手だ。


やってみよう。


「魔法使い出てこい」

って、出てこないか。


『出てきたわよ。なんか用?早くすませてよ』

「あなたが、魔法使い?」

『そうよ。』

「随分態度が悪いわね」

『あんたの、魔法陣の絵なら、私程度しか呼び出せないわ』


画力で判断するのか?


『はやいところ、願いを言って。ひとつだけなら聞いてあげる』

「絵がうまくなりたい」

『練習しなさい』

「それだけ?叶えてくれないの?」

『聞くとはいったけど、叶えるとは言ってない』

「どこぞの島国の総理みたいだね」

『では、さようなら。絵は描けば嫌でも上手くなるからね』


消えた。


なんだか悔しい。

悔しいので、練習した。

たくさん描いた。


そして、一年後。

リベンジと行こう。


「魔法使い出てこい」

『呼んだ?』

「また、あなたたの?」

『そうよ。少しは上達したじゃない。見直したわ』

「態度が違うね」

『私たちの態度は、あなたたちの画力にも左右されるからね』


現金だな。


『で、今回の願いは何?』

「また、聞くだけじゃないわよね」

『ううん。今回は手伝ってあげる』

「そう・・・じゃあね・・・」


こうしたやりとりが、50年続いた。

そして、その日。


『かなり、上手くなりましたね。かなりというか、もう芸術レベルです』

「敬語なのね」

『今のあなたは尊敬にあたいします』

「しっくりこないわね」

『慣れますよ。で、今回の願いは何ですか?』


願いはひとつだけだった。


『戻してあげたわよ。これでいいのね』

「ええ。ありがとう」


私は、初めて彼女と会ったあの日に戻してもらった。


『で、なんでこんな願いをしたの?不満だった?』

「不満はないけど、別の人生を歩んでみたい」

『別の人生?』

「あなたにとらわれない、本当の自分の人生を」

『じゃあ、もう会うことはないわね』

「多分ね。私の名前はリサ。あなたは?」

『知らずに呼んでたのね。私は・・・』

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魔法使い 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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