第5話 四月一日の嘘
見つめ合う彼女の瞳に涙が溜まっていったのだ。
「……もう一度言って?」
もう一度。聞こえていなかったのだろうか。
僕は彼女の瞳に溜まっているものに気が付きながら、もう一度嘘を吐く。
「……君が好きだ」
嘘だ。その一言を言えばなかったことにできる。今すぐに言え。
それができなかった。
僕を見つめる瞳が僕を逃がさないように、嘘以外の言葉を吐くのを許してくれない。
「……私も好き」
サユはそういうと溜めていた涙をこぼれ落とした。溢れて、流れていき、とめどなく涙を流していた。
僕はサユに嘘だと言えなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます