第26話 大きな箱が一つ届きました

「頭脳を貸して欲しいと言われては断れないな!!」

 天下の大馬鹿者の大塚と。

「さて、何故連れてこられたのでしょうか?」

 拉致されて連れてこられたであろう、夢見るロボット少女シロネさんと。

「私にかかればこんな作業10秒で終わらせますよ」

 世界の真実を知ってある、バカではないがアホの秋谷。

 そして、

「流石の我が闇の力で速攻で皆を呼び寄せましたよ!!」

 唯一無二の天下無敵の厨二病、橋田というなんとも仰々しいメンバーで書類の手伝いに挑む事になった我々だった。

 書類の仕事といっても楽じゃないもので、一人ひとりの詳細を確認して判子とサインを書く作業をただひたすらやるのだ。雑用的な仕事といえよう。

 ちなみに岡部さんは別の用事があるから我々のみで行なっているのだ。

 そして、橋田は多くのプリントを目の前にしてため息をつく。

「はぁ、思ったよりも地味ですね」

「こんなものだろ。何を想像してたんだ」

「我が闇の呪文、アルスカリプスを書くのかと思ってまして」

 耳ついてんのか。

 そして、一方のシロネさんと愉快な仲間チームの様子を見てみれば......。

「いやぁ、難しいなシロネ。このスタンプはどこに押せば良いのか、全然分からないぞ」

「うぅ、私もスタンプの場所がズレました~。」

「ふふふ、任せてください。私がスタンプのコツをお教えしましょう。」

 そう言いながら秋谷は二人の手助けをしてくれていた。いや、実に助かるのだが、全然進んでいない気がする。

 すると、橋田もとうとう面倒になったのかして

「ふん、我が魔法を使う時が来たようですね。」

「お前、面倒になっただけだろ」

「ギクッ。そそそんなわけ無いじゃないですか.......と、言うわけで、我が魔法「ライティング」を使用する」

 橋田がそういうと手のひらが僅かにひかり、積み重なっていたプリントがバラバラと崩れ去り、地面に落ちた。

「落ちたな」

「うまくいきましたよ。拾ってみてください」

 地面に散らばったプリントを集めてよく見てみると、スタンプとサインが全て書かれている状態であった。

「ふん、我が力に掛かれば楽勝ですよ」

 そんな時、放送用のチャイムが鳴った。

「学校に大きな箱が一つ届きました、繰り返します......」

 この放送を聞いた途端に、俺とシロネさんと秋谷は意味がわかり、青ざめた。

「なんですか?この放送。荷物が届いた事をわざわざ放送するなんて、放送部は暇なんですか?」

 橋田は気づいていないようだな。そもそも大塚は聞いてなかったようだがな。

「バカ、不審者が学校に入って来たって事だよ」

「えぇー。」

「ええ、まずいですね。私の頭脳を分析してみてもこんなことは予想外ですよ」

「みなさん、とにかく落ち着きましょう」

 シロネさんは至って冷静であった。

「橋田、探索魔法とかないのか?」

「へへ、勿論ありますよ。探索魔法「リサーチ」を発動!!」

 橋田がそう唱えると空中に学校のマップのようなものが出て、赤い点が動いていた。

「ここに不審者がいるのか?」

「ええ、そういうことです。」

「では、行きましょう!!他の生徒たちが心配です」

 シロネさんが声高らかに告げる。

「秋谷、大塚の面倒を頼む」

「ええ、わかりました。こちらこそ頼みます。」

「オペレーションレベル3、開始ッ!!

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