第13話 救出作戦 後段作戦
「タマキさん、三時の方向から非常階段を使って来る敵がいます。狙撃出来ますか?」
〈当然!アレだろ!〉
見事に階段の支柱を撃ち抜いて階段を落とした
登っていた人達のご冥福をお祈りします
(ここまで順調にいくのか?)
「マスター、おそらく治安局側の司令系統がいまだに戦況が掴めていないと予想します。このまま作戦を終えればこちらの被害は最小で住みます」
「ああ、そうだな。
あっ、クロエさん四時の方向から治安局のドローンが来ました。撃墜してください」
〈おうよ!〉
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「ふ〜ん♪ふんふ〜ん♪」
今日は久しぶりの休日だ
本当は有休をとるつもりは無かったが、
部下たちがどうしても休んで欲しいと懇願してきたので仕方なくとった
これも有休消化だと思えばいいかな
「久しぶりだな、このラーメン屋に来るのも、最後に来たのは半年前の有休の時か。
相変わらず人が居ねぇなここ。美味いのに」
このラーメン屋『味噌亭』は自宅から遠くてなかなか仕事帰りに行くことは出来ない
あとここのラーメンは時間に追われずにゆっくり味わいたい
「味噌ラーメンを一つ、あと餃子もお願いします」
ここの看板メニューの味噌ラーメンは特別だ
そこら辺の味噌ラーメンよりもひと味もふた味も違う
濃厚な味噌の味にちぢれ麺がよく絡んで
これがもう最高だ
仕上げにこの焼豚も何時間も煮込まれて
とても柔らかくて、味も濃い!
この濃さが良いんだよ
ちょっと塩辛いくらいが!
餃子も肉よりも野菜が多いけど満足感が半端ない!口にした瞬間に有り得ないほど肉汁が溢れてくる
この味はゆっくり食べないと損だよな
「へいお待ち。味噌と餃子」
「待ってました。この香り、食欲が湧いてくるよ」
割り箸を割って手を合わせる
昼からこんな美味いもん食ってもいいのかな
「いただきます」
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「ダメです!局長と連絡とれません!」
「何故だ!」
「まさか!局長も奴らと!」
「奴ら!局長のプライベートまで知っているのか!?」
「クソッ!なんでよりにもよって今日なんだよ!」
治安局は局長の不在もあってか混乱していた
現場の指揮がとれなくなる程度には
そんな中一ノ瀬局長は!!
「熱!舌やけどしたかも。水水」
餃子の肉汁に悪戦苦闘していた
ちなみのそのラーメン店に一ノ瀬はSSDをつけて行かないことにしているので連絡が届く事はない
少しでもラーメンの味を楽しみたいから
味に関わらない全ての情報を遮断している
そのラーメン愛はなんなんだ?
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「あっ、俺今すごくラーメン食べたくなったかも」
「マスター、作戦に集中してください」
「分かってるよNAVI」
しかし、もう作戦が始まって三十分くらい経つ
いまだに対象の確保はできていない
こっちも少しづつ離脱者も出ている
早めに終わらせないと
こちらも甚大な被害が出る可能性がでてくる
しかし、対象も迂闊には外に出れない様だし
これはまだかかりそうだ
「それにしても、社長はすごいなどうやったらあんなに離れたところから的確な指揮がとれるんだろう?」
「マスター、それはおそらくあの超小型ドローンのおかげだと推測します」
「あの小さいドローンが?アレでどうすんだよ」
「あのドローン常に地形をスキャンして情報を得ています」
「あの豆粒がそんな事出来るのかよ」
「一つだけではありません。この作戦範囲におよそ百機が展開しています」
「えー、マジかよ」
今回の作戦の本気度を今垣間見た気がする
そこまでして今回の護衛対象を守るのは
何か大きな理由があるのだろう
〈目標を保護しました!これより撤退します!〉
対象の確保はできたらしい
あとはここから撤退するだけだ!
「皆さん!対象の確保が出来ました。
守りながら撤退です」
〈〈〈了解〉〉〉
よし!このままいけば無事に終わる
そうして気持ちが緩んだ瞬間
俺の心は縛られたように引き締まった
「アレは!あの時の黒いやつ!」
忘れる訳もない少し前にあいつらに殺されかけたんだから
知らせないと!
「速くその場から離脱してください!」
〈……………〉
「聞こえてますか!」
返事がない、なんで?
〈マスター、ここら一帯がEMP攻撃を受けています!通信機能等の機能が制限されました。おそらく本社からの通信も途絶えています。直ちに機能を復旧させます〉
「なんだって!?」
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「あ〜、美味しかった。今度はもっと早めに行けたらいいな」
ラーメンを食べ終えて自宅に帰ってきた
胃袋が幸せな状態で帰宅するとか
平日に味わっていいのか
来月の仕事一日くらいいや、半日でもいい
時間を取れないかな
職業柄休みを貰いづらいからな
俺の許可なしだと動けない部隊がある時点で
俺に休みはないよね
「ん?うわ!大量に不在着信が!」
SSDにおびただしいくらいの不在着信が記録されていた
軽く百件を超えている
全て部下から来ていた
「まさか!?何かあったのか!」
急いで部下に連絡をする
〈局長!よかった繋がった!〉
「何があった」
〈はい、本日例の連中を捕らえたのですが
その後連中から襲撃を受け、現在交戦中です。〉
「交戦だと!状況は?」
〈押されています。捕らえたはずの奴らも逃げられました。現在治安局員を総動員して対処しています〉
「それは非番の人もか?」
〈は、はい、非番の人も緊急で出動しています〉
すぅー
やってしまった
部下がこれだけ尽力しているのに
私はラーメンを、、替え玉も頼んじゃったよ
〈局長は今まで何を?まさか!
連中から襲われていたのですか!?〉
「あっ、えっ、あ〜、そっそうだよ!
驚いたな〜いきなりくるもんだから」
〈そうでしたか!どこかお怪我は?〉
「いや!特にはしてないよ」
〈流石局長です!無傷で奴らを撃退するなんて!〉
「はは、、あ〜それより今はそんな事よりも大事な事があるんじゃないのかな?」
そうして現在の状況を詳しく聞いた
連中は何故か連携が完璧でこちらの動きが読まれている様らしい
「君達、上空かどこかに不審な物はないか」
〈不審な物?、、あっ!あります!
すごく小さいですけど何かがあります。
それも沢山!〉
「そいつだ!それを破壊しろ!」
〈しかし!この量は〉
「EMPでいいだろ。責任は俺がとる」
〈EMPですとSSDもダメに〉
「起動していないのと同じだろ」
〈コイツのサポート無しでやるんですか?〉
「お前らは機械なんて無くても技術があるだろ!」
〈そうですね局長!やります!〉
「やるのは皆のSSDの電源を切ってからね
責任はとるとは言ったけど。部下全員のを買い直すのはお財布的に辛いよ。
あと黒装備部隊に出動命令を出す。
そいつらで殲滅してね」
〈了解しました!〉
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(どうしよう、あの黒いやつ相手だと皆無事じゃすまない
どうやって知らせようSSDは使えないし
俺が今から行っても何が出来る?)
思考が高速でまわる
(どうしよう)
「マスター!機能の復旧作業が終了しました。次の指示を」
(どうしよう、どうしよう)
「マスター!
(どうしよう、どうしよう、どうしよう)
「全ランナーとの通信を繋げたぞ。早く指示を」
(どうしよう、どうしよう、どうしよう!)
「マヒト!!!」
突然名前を呼ばれて顔を上げる
しかし周囲には誰もいない
ここにいるのは俺とNAVIだけ
俺と、、、NAVI、、だけ
「マヒト!俺は次に何をすればいいんだ?」
「お前、NAVI、、か?」
「あぁそうだ!今は説明する時間は無い!
もう一度聞くぞ、俺は何をすればいい?」
俺考えすぎで頭おかしくなったのかな
NAVIがなんだか昔から知っている人のような気がして、とても頼れる人だったような気がした
「NAVI!ドローンから得た情報を全て出せ!そして全員の指揮を執る!補助してくれ」
「了解だ」
作戦範囲のマップが映し出される
マップにはドローンが探知した味方と敵の位置が印されていた
そして、何となく分かる
その場所でどんなことが起こっているのか
脳が処理落ちしそうな量のデータだ
けど大体の情報の処理はNAVIが肩代わりしてくれる
俺は処理してくれたデータを的確に他のメンバーに回すだけだ!
「マヒト、全ランナーに回線を繋げた
相手のSSDが阻害されているから、こちらからの一方通行だけどな」
「ありがとうNAVI」
一度深呼吸をして
目視の方で戦場を見る
そして繋いだ回線に言葉を流す
「皆さん!聞いてください。
現在EMP攻撃のせいでSSDが使用できなくなっています。本社との通信も途絶えました。
しかし!まだ終わりではありません!
私が今全ての情報を持っています。
いきなり出てきたヤツなんか信じられないのは私も分かっています。けど信じてください
貴方たちからこの通信を返すことは出来ませんが、私は貴方たちを信じます」
これでどれだけの人が俺の指揮に従ってくれるだろうか、誰も信じてくれないのでは?
いや!そんな弱気になるな!俺を信じて走ってくれる人がいるなら俺はその人を導かなくてはいけないんだ!
「Aチームの人はそこから南へ!
Hチームの人は東へ!
B、DチームはCチームと共に南東方向に
Kチームも東だ
そして残りのチームは全て南下し、
防衛ラインを構築、そこから徐々に後退
俺のいる時計台まで来たら一斉に撤退です」
人数に欠けができたチームを先に行かせて
欠けていないチームで守る
南東の方向は敵の数がかなり少ない
逃げるのも簡単なはずだ
「Aチーム少し左に迂回して進んでください
B、C、Dチーム前方に敵がいます。避けては通れないので撃退を
Jチーム右斜め後ろから敵増援です警戒を
Lチーム、Jチームの援護を」
多すぎる!
口が動かなくなりそうだ
「くっそ!情報が多すぎる!気を抜くとすぐに情報で埋め尽くされるぞ」
NAVIも限界がきているかもしれない
当たり前だ全十六チームの位置と敵の位置を観測して常に最適解を導き出すのは辛い
しかも全てのチームを同時進行かつ間に合う様に高速で導かないといけない
けど皆が撤退するまで!せめて防衛ラインが出来るまでは耐えなくては!
〈……か、聞こえるか!応答しろ!〉
「この声は!社長!」
〈ヒナか、機能の復旧に少し手間取ってしまった。しかし、よくやってくれたな。
防衛ラインの指揮は任せろ。お前は撤退するチームの指揮を頼む。あとお前の使っているその回線借りるぞ〉
「はい!」
よし!社長からの指揮であれば皆従うだろう
幸い撤退中のチームは俺に従ってくれている
あとはあの黒いやつがどう動くかだ
他の治安局員と共に動いているようだ
ん?離れた?
その先には、、なっ!?
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ヒナちゃんが指揮をとりはじめて
皆の動きにまとまりがではじめた
私は皆とはぐれちゃったけど
南東の方にいけばなんとかなるかな?
〈ハナさん逃げて!〉
「えっ?キャ!」
いきなり大きな何かが降ってきた
見た瞬間に分かったあの時の真っ黒ヤロー
しかし不味いよ。私の拳は効かないし
拳銃弾だと弾かれちゃう
ゆっくりこっちを見てくる
来る!
ガスッ!ドコッ!バキッ!
やっぱりコイツは硬い
簡単には砕けそうにない
なら全力で砕けるまで拳を叩き込むのみ!
拳から血が出ても、痛くても!
最速で叩き込め!
オラオラオラオラ!
「どんどん来い!ミカ!」
アレ?なんだろうこの感じ
世界がいつもよりももっと遅く
私相手の今脆いところが分かる
見えるととかじゃなくて何となく分かる
「そこかぁー!」
狙うは相手の関節の部分!
ココが他のところよりも薄い!
今なら正確に打ち抜ける
くらえ!
ドゴォ!
やった!砕いた!このまま腕も!
腕も折ろうと殴りかかった瞬間
私の体か宙に浮く
何が起こったのか理解出来なかった
足を払われたんだのだろうか?
そのまま地面に倒れ込んでしまった
(殺される!)
「くっ!ハナが近すぎて狙撃出来ません」
「コイツの弾丸じゃあの装甲は撃ち抜けない!」
拳が飛んでくる!ここまでかな
「ハナさん!」
私の砕いた穴に何かが三個入っていった
その直後に真っ黒ヤローが倒れた
「ハナさん!大丈夫ですか?」
「ヒナちゃん、なんで?」
「ハナ!無事か?」
「焦りましたよ」
皆が集まってきた
私は立ち上がって倒れているやつを見る
腕には針が三本刺さっていた
「ハナさんが砕いてくれたおかげでヤツに麻酔針を撃ち込めました」
「よく当てたね」
「いや〜SSDのおかげですかね」
「お前は少し離れていたからそこまで影響は無かったのか」
「まぁ何はともあれ皆無事ならいいでしょ」
「一番の怪我人のお前が言うかよ」
〈Fチーム、大体のチームの撤退は終わった。お前らも早くそこから離脱しろ〉
「「「「了解」」」」
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