第12話 救出作戦 前段作戦
「君達に集まってもらったのは君達総出で救出作戦を行ってもらうからだ」
社長が話し始めた
社長の後ろにはでかいモニターに地図が映されて、とある地点に赤い印がつけられている
「先程この地点へ護衛任務に向かった一人から救難信号があった。直ちに近くのチームと偵察用ドローンにて状況の把握をしたが、
どうやら治安局がまた彷徨いている様だ」
「社長、質問があります」
「なんだい?ヒロくん」
「治安局がいる程度なら全員を動かす必要も無いのでは?」
「うむ、確かにそうだ。しかし、今回のあの任務は失敗する訳にはいかないんだ」
「それでは、救出目標は依頼主という事ですか?」
「確かに、依頼主を優先したいがこちらの人員が減るのも困るので両方救出したい」
「分かりました、ありがとうございます」
「他に質問がある者は?いないならこのまま作戦内容を伝える」
........
.....
...
〈ヒナ、聞こえるか?〉
「はい、タキさん」
〈いいか?今回お前は俺達の援護だ、絶対に前には出るなよ。後方で敵の増援や動きを見ていてくれ〉
「分かりました」
新人で復帰したばかりの俺は後方で前線の皆さんのサポート役を任された
コレも十分大切な役割なのは分かっているが
皆の足を引っ張ってないか心配になる
今回借りたこの銃もヒロさん達が俺なんかのためにわざわざ用意してくれたものだ
つくづく自分の無力さみたいなものに反吐が出る
〈よし、ヒナはあそこの時計塔から周囲を警戒していてください〉
「はい」
〈じゃ!ヒナちゃん行ってくるよ〉
「気をつけてください」
〈任せたぜ!〉
「精一杯やります」
時計塔の上からだと周りがよく見える
ハナさん達もが目的地に向かって行っているのが見える
一糸乱れぬ動きだ動きに迷いがない
そしてその先を見ると
治安局員がウロウロしていた
(どうか、皆さん無事でいてください)
「大丈夫です。マスター。あの人達は強いです。」
「それは誰よりも分かってるわ。それよりNAVI、望遠モードにしてくれ」
「了解しました。」
様子を見ていると治安局も俺達と同じ様に
探し者があるらしい
地味に密集していて救出対象に近づけない
このままだとプランAのままいきそうだな
〈総員配置についたな、これより作戦行動を開始する〉
社長の通信が入ると同時に三箇所から狼煙が上げられる
赤、黒、白の三色だ
(この色は問題無しか)
「皆さん、問題ありません!このまま行動を開始してください」
〈〈〈了解〉〉〉
狼煙は対象を中心に北、南、西の方向で上げられた
東の方は敵の量が少ないため救出役
狼煙を上げた方面の人達は局員を引き付ける囮役
南東の方へいた俺達は救出役の護衛と囮役のサポートをする
予想通り局員達は狼煙の方へ向かっていった
「ヒロさん、十時の方向600m三人」
〈了解〉
「タキさん、前方10m五人」
〈分かったぜ!〉
「ハナさん、前方5m十人」
〈任せて!〉
よし、問題なく処理できている
ヒロさんは狙撃で他二人は近接戦闘で対処
今のところ他のチームにもそこまで損害は無いようだ
でも相手は治安局、そう簡単にはいかないようだ
「皆さん!増援です!
輸送車が一、二、四台こちらに向かってきます」
多い!俺達よりも圧倒的に人員が多い
今は優勢を保ててもこれじゃあ劣勢になるのも時間の問題かも
〈こちら《タマキ》、射程距離に入った。
支援射撃を開始する〉
輸送車の一台のフロントガラスにヒビが入ってそのまま横転した
〈俺も来たぜ!《クロエ》狙撃開始!〉
また違う輸送車がいきなり火を吹いた
〈遅いですよ二人共〉
〈お前みたいに射程を伸ばせる様な奴はそうそういねぇんだよ!〉
〈ホントに妬ましいです〉
「タマキさん、クロエさん、ありがとうございます」
〈なぁ〜に!俺達の仕事は支援射撃だからな!当たり前よ〉
〈じゃ、少し頼みます。もう予備の弾倉がありませんので〉
--------------------
「社長、ヒロから物資支援の要請があります」
「了解した。上空にて待機中の三番ドローンを指定した地点に向かわせろ。物資降下地点をヒナのSSDに送れ」
「はい」
--------------------
〈ヒロさん、物資はそこから北の方向にあるビルの上です〉
「了解、こちらも物資輸送ドローンが見えた」
狙撃銃を背負って目的地に走る
あのビルの上に行くには中から上がるしかないな
目の前の扉は当然閉まっているだろう
しかし、電子錠なら
「ヒナ!その建物のセキュリティシステムに入れるか?」
〈もう入っています、すぐに扉を開けます〉
操作パネルにOPENの文字が並んだ
これで建物内に侵入できる
建物の内部に侵入して上を目指す
屋上へ出ると一つのバックが置かれていた
中身は俺の使う狙撃銃のマガジン
「戦場から少し遠ざかってしまいました」
距離で言うとおよそ1000m
この狙撃銃の有効射程は700程度だ
タマキやクロエだったらここからまた動かないといけないが
私の場合ではこの程度の距離は射程範囲内だ
「《クロ》、狙撃の補助をお願いします」
「了解しました。」
スコープを覗くとレティクル以外に
風向き、風速などが映される
「環境の精密解析が完了しまた。
見える、弾がどう飛ぶのか線で見える
そして照準を合わせてトリガーを引く
放たれた銃弾は予測線通りに敵の頭を撃ち抜いた
「ヒット、流石ですね」
「ありがとうございます。」
〈ヒロさん、物資はちゃんと受け取れたようですね〉
「あぁ、ここからまた狙撃する」
〈分かりました〉
さて、ここらの掃除をしますか
--------------------
囮役のサポートのため俺達は南側にいるチームの方向へ走っている
「お前ら!遅いぞ!」
「そんな、皆タキみたいに最高効率で動けねぇよ」
「別に俺と同じスピードで来いとは言っていない!置いてかれるなって言っているんだ」
「まぁまぁ、タキくん皆も一生懸命にやってるんだからそんな風に言わないで」
「はぁ、じゃあ俺先に行くからあとはお前がまとめろよ。司令部、B-58地点に支援物資を降ろしてくれ」
「りょうかーい!」
〈了解、輸送支援開始します。降下まであと60〉
そうして先を急いだ
いくら合同でチームを組んでも
治安局よりも少ないのは明白だ
だから少しでも力にならなくてはいけない
「《リコ》、最速で行くぞ!」
「了解しました。最短ルートを形成、ナビゲートします。」
見える、俺がどの道を通って、どんな身体の動きをすればいいのか分かる
止まることなく前に進む
そして目的地に到着
それと同時にドローンが俺の真上にやってくる
「タイミングバッチリだぜ!
ベレッタM92Fフルカスタムver.」
内部パーツから外部パーツ全て俺が見繕った(ヒロ監修の元)俺専用ベレッタだ
全てパーツが俺に合うようにカスタムされている
ただ携帯性に優れてはいないので普段は
普通のベレッタだけどな
しかし今回は輸送支援があるから使ってやるぜ!
パパパ!!パパパ!!
「よし、コイツの調子も悪くねぇ!
このまま奴らを足止めしてやる」
--------------------
「あの銃声はタキくんのやつだね」
「タキはあんな連射出来る獲物を持っていましたっけ?」
「あれはタキくんの普段使いの銃の魔改造版だよ。バースト射撃が出来るんだって」
「あのベレッタを?」
「そうだよ」
まぁ、私もそこまで見ることはないから
違うチームの人だと知らないのも分かるよ
けど何度見てもあれがハンドガンだって
未だに信じられないけどね
見た目がそこら辺のライフルと変わらないんだもん
「こんな事してないで、早く私達も合流しないと」
「はいはい」
私達もなるべく最速で目標まで走る
タキくん並に速くはないけど
それなりの速さはあるはずなのに
タキくんには離されるんだよね
タキくん自体の足の速さはそこまで無いのに
身体の使い方が上手なのかな
「そこを動くな!」
「なっ!?」
いつの間にか治安局に囲まれていた
皆即座に戦闘態勢をとる
敵の数は十人くらいかな
私達は五人
相手は武装がガチだ
四方八方からいつ弾丸が飛んできてもおかしくない
私が五人くらい処理しないといけないよね
少し時間がかかっちゃうかもしれないけど
「皆、前の五人は任せて!残りの後ろの敵を頼んだよ!」
「ちょ!ハナ!?」
まっすぐ走り出す
局員はなんの躊躇いもなく発砲してきた
銃弾が私めがけて飛んでくる
「ミカ!集中だよ!」
「はい。リンクを開始します」
世界がスローになっていく
弾丸の回転、局員達の息遣い、視線
全てのものが鮮明に見える
そしてその世界で弾丸を避けながら敵に近づくと相手さんはとても驚愕した様子でいた
まるで化け物を見るような表情だった
「女の子をそんな目で見ちゃダメですよ!」
そのままソイツに腹パンをお見舞いしてやった
一発くらっただけで白目むいて倒れちゃった
女の子に殴られただけで気絶しちゃうなんて治安局は気合いが足りないんじゃないの?
まぁ、そっちの方が楽だからいいんだけど
「来るな!化け物!」
他の奴らが一斉に私に向かってまた銃撃する
いくら撃っても私に当たる事は無いのに
とりあえず私の近くにいる人達を銃弾の通る道に移動させとこ
「これで三人か」
「ハナ!俺達もいるから!」
私から遠くにいる人達が撃たれた
他の四人が殺ってくれたようだ
「敵の注目がお前に向いたおかげで
俺達も自由に動けるようになった」
「うんうん!皆お疲れ様!」
「いや、それはこの作戦が終わってからでしょ」
そうして私達はまた走り出した
--------------------
「社長!作戦は予定通り遂行されています」
「よし、決して油断はするなよ!
支援要請は全て受けるように!
そして迅速に対処しろ!」
「了解!」
あまりにも順調すぎる
相手を買いかぶりすぎていたのか?
いや、相手はあの一ノ瀬だ
絶対に何かあるはずだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます