おばけは、化けることができるんだ

星咲 紗和(ほしざき さわ)

プロローグ

小さな町の端にある学校の校門をくぐると、そこは誰もが同じでなければならない世界だった。色とりどりのランドセルを背負った子供たちは、一様に整列して朝の会を迎える。この中で、ただ一人、彼のランドセルは色褪せていた。彼の名前は陽介。彼には「お化け」というあだ名がついていた。


「お化け、お化け」という声が彼の耳にこだまする。その言葉は彼を隅に追いやり、彼の心をゆっくりと侵食していった。他の子供たちが休み時間に外で駆け回る中、陽介はいつも一人、教室の隅の影に身を隠していた。彼は自分の存在が誤りであるかのように感じ、誰にも見えない場所を探しては自己を抑え込んでいた。


しかし、陽介には他の誰にもない特別なものがあった。彼には夢があり、その夢の中で彼は自由に空を飛び、世界を色鮮やかに塗り替える力を持っていた。現実の世界では「お化け」と呼ばれる少年が、夢の中では誰にも縛られることなく、本当の自分を解放する。この物語は、そんな彼が現実の世界でも自分の色を取り戻す旅の始まりである。

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