猫は窮鼠の夢を看る

まどろみカーニバル

第一夜 ねこのなまえ

猫はねこである。いろんな人間に頭を撫でられ餌をもらいたまに追い払われてきた猫である。

雨にも負けたいしカゼはひきとーない、だがなによりもただ何処かで生きてみたかった。その意思だけがつよく心臓に血を巡らせた。


飼い主が起きなくなった。この家にきて二回目の夜がきたからこの飼い主も起きなくなった。

ねこを拾い上げた飼い主は必ず二回目の夜から目覚めない。しってた。いつものことだ。食べられそうなものを食べておく。うるさくなって足音がドタドタしてドアが開く。たくさんの人間が部屋に入ってきた。開いてるドアからしゅっと外に出る。

「やだわ汚ない猫が…」そんな声に振り返らずにはしる。

ねこは走る。いつものとおり草腹の中か橋の下のちょっとにおう毛布に入るんだ。


ねこはずっとそうやってきた。

人間はねこを迎えてくれると二回目の夜から起きてこないんだ。

ねこはしってる。

だから暴れていっぱい飼い主になるものの腕をひっかいたが無駄だった。

ねこを拾わないでくれ。優しい君も死んでしまうから。


また夜が来た。そして何度目かの夜が来た。さいきんエサが置いてある。またねこは拾われてしまうんだ。

いたたまれなかった。だが川に飛び込むことはしない。

「朝になったらきみの名前を入れたリボンを渡すね」

みんな嬉しそうな顔をして起きてこなかった。

ねこは猫である。飼い主がつけた名前を知りたい猫である。

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