Digital8.ワンダールーム
ベッドの上にスヤスヤと寝ていると、なんかバイオリンの音色が聞こえて起きる。
するとそこにいたのは寮の自室ではなく、広めのバーだった。
「ココ、何処なんだ!?」
俺は今、知らない場所にいる事に大声で叫んでしまう。
少し周りを見る。内観は洋風のナイトクラブで、棚にはバーボンやウイスキーの酒瓶が置かれており、少し開けた場所に一人の女が歌っていた。
しかしその女の顔は無く、あったのは鼻と口のみであった。女の近くにいる男も同じ姿だ。
にしても本当にここは何だ?
そう思っているとイザナが俺に向かって走って呼び掛ける。
「おーい、クロード!」
「あ、イザナ! というかここ何処だよ! 俺達ヘンな所に転移されたのか!?」
俺はこのナイトクラブ擬きの空間について聞く。だって俺は歯磨きと宿題を終えて寝たら、いきなりココにいているんだぞ?
この状況に驚いていると、どこからかダンディーな声が落ち着かせる。
「この状況で狼狽えても仕方ない。近くにある席に座りたまえ」
なぜかその声はどこかで聞いたことあるような感覚がして、声の言う通り俺とイザナは近くのカウンターチェアに座る。
するとライトが点き、そこには謎の初老の男とゴスロリメイド服を着た女がソファーに座っていた。
初老の男は恰幅が良く、白い髪の白ひげで、古い日本軍服を着ており。メイドの女は中肉中背で、雪のように白い髪のショートだ。
俺は男の声を聞いて思い出す!
アァァ! その声って確か俺が死にかけてた時に問いただしてきた奴だ!
俺は初老の男に指しながら驚いていると、イザナが首を傾げて聞く。
「えっと、もしかして聞こえていたの?」
「聞こえていたのってまさか、そっちもか!?」
俺はイザナに聞くと首を縦に頷く。
マジかよ……。声が聞こえた時は俺と同じ状況になっていたのと「俺がもう一人のアルターエゴ使いだ」の二つだ。
俺は初老の男がいったいなにもだろうか考えていると、初老の男が自己紹介を始める。
「まずは自己紹介からしよう。私の名前はダグザ、このワンダールームの支配人だ。そして隣にいるのが――」
「ダグザ様のメイドをしている、マリアと申します。以後ダグザ様とよろしくお願いします。」
マリアと名乗った女はソファーに座りながらお辞儀をする。それにしてもワンダールームって、確か●モンに出てくる技じゃないか?
そう思っているとマリアさんが丁寧に説明する。
「この世界は肉体と精神、物体と霊体の狭間に存在し、世界の基準は本人が抱えた悩みで変わる事があります」
俺はマリアさんの説明を聞きながら考える。
仮に本人が抱え悩みなら、何でこんなダンディーなバーになっているんだろうか?
そう考えているとダグザさんは懐から一枚の白紙カードを取り出して言う。
「私の力はこのカードに力を与える事……分かりやすく言えば
「「何ィ!?」」
俺とイザナはそのことを聞いて、前のめりに叫んでしまう。
アルターエゴを複数所持……それってかなり戦力アップするんじゃないか!?
しかしそれなりに必要な事がある。ダグザさんは少し俺達を落ち着かせながら説明する。
「その興奮は分かるが一度は落ち着け、この力は当然代償がある。最初に
「ちなみに『コンパク』とは
マリアさんが説明を補足し、絵にして分かりやすくした。
分かりやすく言えば、
そう思いながら視界に映るバーを見る。今持っているコンパクは150コンパク、イザナも俺と同じ量だ。
「なるほど、でしたらこれらはよろしいでしょうか?」
マリアさんはそれを聞くと分厚い辞書を開いて見せる。
●
●
●
●
この四体だけど俺とイザナが持っているハクは150ずつ、一体で150だから合わせて二人合わせて二体手に入れるな。
ちなみに魔法は四属性で、俺のはボルト=電撃、イザナのはウィング=疾風。だから俺はサラマンダー、イザナはラハムを選んだ。
さっそくマリアさんは
「ふん!」
「「エェェェェェ!?」」
俺とイザナはそれを見て大声で叫んでしまう。いや、普通こんなミステリアスな所だと、魔法的な力で生み出すのに、この人はハンマーを使って生み出した。
普通魔術的な奴使うのに、何でハンマーなわけ!?
俺とイザナは目の前で起きている事に理解できずにいると、マリアさんは二枚のカードを俺とイザナに見せ言う。
「お望み通り、サラマンダーとラハムを生み出しました。どうぞこれを」
「は、ハイ……?」
「わ、分かりました……」
俺とイザナはそれを受け取ると、マリアさんがいきなり手刀を食らわせる。
それを食らった俺達は「「ガビーン!?」」と叫んで気絶した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます