Digital3.マヤ・ザ・ブラックハンド

「イザナ!」

「グゥゥ……まさか通路の方は囮だったなんて……!」


 イザナが黒い手を引き剝がそうと掴む、だが物凄く力が強いか全然引き剥がせない。

 俺はハンドガン〈CZP-10〉を構えつつ、親指でセーフティを解除して、黒い手の腕に向けて発砲する。

 だが黒い手の腕は弾をそのまま貫いたが、瞬時に傷口を塞いで力が強くなる。

 瞬時に再生した!? これってゲームで言う再生ってやつじゃないか?

 現実じゃありえない事をまのあたりして、固まっていると黒い手が強くスイングして、俺の腹を強くたたき込む。

 俺は強く吹き飛ばされ、屋上の柵に強くたたき込まれて体内の酸素をすべて吐き出す。


「ガハッ!?」


 俺は体内の酸素をすべて吐き出して、急いで深呼吸して酸素を吸って前を見える。

 黒い手の怪物の姿は一言でいえば手の集まりに見えて、前身は黒いが憂鬱な顔をした青色の仮面を着けている。

 すると視界に手の心の影シャドウの名前が表示される。

 Maya the Black Hand、通訳すると黒い手のマーヤーか。

 マヤ・ザ・ブラックハンドは幾多の腕のうち、剣を持つ方の腕がほかの腕を切り飛ばし、その腕から数体の心の影シャドウを呼び出す。

 その心の影シャドウの名前は沈黙のマーヤーと視界に表示した。しかしそれよりも、なぜか視界に名前が表示するなんて、一体どうなっているだ? これじゃあ、まるでゲームに入っているようじゃないか。

 俺が少し混乱しているすきに沈黙のマーヤーは小さい火球を放ってくる。ハッと我にかえって横に回避する、さっきいた場所が黒焦げになる。

 こんなの喰らって死んでしまうだろ! 心の中で叫びながら俺は引き金トリガーを引き、弾丸を発射して沈黙のマーヤーの内一体の仮面を破壊する。

 すると仮面を破壊された沈黙のマーヤーが消滅する、俺は沈黙のマーヤーが消滅されているのを見て驚く。

 まさか泥の怪物がホログラムみたいに消滅するなんて、これは本当に現実なのか? ますますこの世界について疑問が浮かんでくる。

 俺が驚いている間に他のマーヤーが背後から切り裂く、あまりの痛みに思わず叫んでしまう。


「グァァァァ!?」


 背中から熱が抜けていく痛み、肌を裂かれ肉を切られる痛みに、耐えられずつんのめてしまう。

 その時に扉を強く蹴る音が響く、扉を蹴り破った人は俺の担任である切嗣先生だった。切嗣先生は俺を見て襲い掛かる沈黙のマーヤー達を一掃する。

 沈黙のマーヤー達は弾丸で仮面は破壊されて消滅する。あ、ヤバい……意識が――。

 すると切嗣先生は慌てて俺に近づいて揺さぶる。


「ナッ――! クロード君、大丈夫かい? 意識を保つんだ!」


 切嗣先生は必死に呼びかけているが、俺は血が出過ぎて意識を失ってしまう。





▲▽▲▽▲▽





 切嗣は急いで応急処置をして、イザナの首を絞めているマヤ・ザ・ブラックハンドの腕に、〈H&K MP7〉を構えて撃つ。

 連続的に出る4.6mm×30mm弾が発射されて、マヤ・ザ・ブラックハンドの腕が吹き飛んでイザナが解放される。

 イザナは口内の頬を強くかんで正気に戻り、懐から手榴弾を取り出す。

 それに付いている安全ピンを外して少し離れた場所に投げる。すると手榴弾が地面に転がって爆発した。イザナは爆風で吹き飛ばされて、切嗣の近くにうまく着地した。

 切嗣はイザナに声をかける。


「イザナ君、大丈夫かい?」

「俺は大丈夫です。けどクロード君は……見た所かなりヤバいですね」


 イザナはクロードを一目見て急いで彼に近づく。


「クロード君、しっかりして! 切嗣先生はマヤ・ザ・ブラックハンドから出た心の影シャドウを殲滅してください!」

「分かったよ! その代わり彼を治療するんだ!」

「了解!」


 イザナは元気に答えてクロードを治療し、切嗣は襲い掛かる心の影シャドウを殲滅する。

 イザナは止血剤を取り出して傷口に塗り、応急薬を浸けた包帯を体に巻く。クロードの治療を終えるとイザナは彼に呼びかける。


「クロード君、意識を戻ってくれ! このままじゃまた同じこと繰り返すよ!」


 イザナは何度も呼びかける。だがクロードは意識を取り戻すどころか、うんともすんとも言わない。クロードが諦めたような瞳になっていて、イザナは小さくつぶやく。


「それで良いのかよ……」


 小さくつぶやいてもクロードは動かず、イザナはつい何かが吹っ切れて声を荒げて叫ぶ。


「それで良いのかよ! 他人に押し付けられて、それを言い換えずに受け入れ、最後はこのありさま……こんなの理不尽だ! だから目を覚ませ、クロード・夜神!」


 イザナは腹の底から叫ぶが、それでもクロードは何も動かなかった。

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