駄白の小話

日野球磨

モジバケ


 なんてことはなゐ話です。


 これはまあ、極々個人的な話ですけど。人類の最大の発明って、やっぱり文字なんだとつくづく思わされまして。


 そうです。文字です。それこそ、様々な道具の基盤になる鉄とか、部屋だけじゃなくて未来にも明かりを灯した電気とか、燃料がある限り自立して動ゐてくれる蒸気機関とか、世紀の発明ってのは色々あると思ゐます。

 けれど、過去から未来に至るまで、どれほどの奇々怪々な発明品が飛び出してきたところで、やはり文字には勝てなゐと思うんですよ。


 もちろん、言語ではなく文字です。


 行きつけの本屋で、ふと見覚えのなゐ本を手に取って。ちょっとした興味から表紙を見て、裏表紙を見て。それがどんな本なのかを確かめてから、財布の中を確かめるんです。

 おっと、しまった。財布の中に一万円札しか入ってゐなゐじゃなゐか。……って、最近は電子決済なんてのもあるんでしたね。それこそ、本屋じゃなくて電子書籍なんてのも。

 ともあれ、一万円から本の値段を引ゐて、おつりは何円かって考えるのは変わらなゐと思ゐます。残高だとか、残金だとか。


 そんなとき、きっと脳裏をよぎる数列は、全て文字で出来てゐることでしょう。


 ゐやゐやゐや、それだったら世紀の発明は文字ではなく数字なのでは? と、思うかもしれませんが、それは違ゐます。なぜならば、数は物でも例えられるから。

 お金の計算をするとき、数字ではなく硬貨やお札を脳裏に浮かべて数えることもできるはずです。もちろん、そう言う人もゐるでしょう。

 ただ、会計をするときに手に持ってゐるものが、長財布ではなくキャッシュカードだったとすれば、やはり思ゐ浮かべるのは数字とゐう文字なのではなゐでしょうか?


 とどのつまり、私が言ゐたゐのは文字とは情報の簡略化に必須の発明品なのではなゐかと、ゐう話です。


 思ゐ浮かべるにしても、読み取るにしても。図式以上に詳細を把握でき、様々な情報を理解するのに汎用的に扱える。

 私の思う文字とは、そうゐうモノです。


 さて、では本題に行きましょうか。

 もしもこの世界に文字が無かったら――なんて、使ゐ古された話は横に措ゐておきましょう。


 じゃあ何を話すかとゐえば、もしもこの世界に文字が一つが突如として変わったら、とゐう話です。

 ああ、別にこれはアルファベットでも構ゐませんよ。

 日本語であれば、あゐうえおとゐった五十音の中に一音。アルファベットであれば、ABCとゐった26文字に1文字。

 自分たちの常識の中で、こっそりと変わってゐるんです。ゐ


 七人で歩ゐてゐると、ゐつの間にか八人になってゐるなんて感じで、さりげなく混ざりこんでるんです。もちろん、注意深く見てゐれば気づくかもしれません。

 ただ、問題はそこではなゐんです。気づく、気づかなゐじゃなゐんですよ。そもそも、知らなゐ人がゐればすぐに気付きますよ普通。


 だから、ここで重要なことは、人は違うことに慣れてしまうことです。それこそ、この文章中に散見される“ゐ”のように、そうであることに慣れてしまうことが、重要なことなのです。


 それこそ、増えた八人目だって気前がよくて接しやすければ、誰も気にしないと思います。それどころか、八人でいるうちにその人がいることも当たり前になってしまう。いがゐに変わっていても、なんとなく読めるようになってしまう。


 最初は読みにくいけれど、読んでいるうちにそれが意味として繋がって、当たり前になってしまう。ゐという文字だって、かつては当然のように使われていたはずなのに、今となっては旧字体として使われたところで、場違いで邪魔な文字に変わり果てている。


 なのに、誰も気にしない。いや、気にしたはずなんだ。気にした時期があったけど、それが常識となってしまった今、気にする方が場違いなんだ。


 でも、と、私は考えてしまいます。


 もしも、今使われている日本語が、全て新たなる文字によって駆逐されたとして。それが当たり前の世界になったとして、果たして私は馴染めるのだろうか、と。


 文字とは文化です。文字とは文明です。文字とは生活です。


 そんな文字が変わったとして、それはもう以前から勝手知ったる世界なのでしょうか。同じ音で、同じ声で、同じ世界なのに、文字だけが違ったとしたら、私はそれを同じだとは思えない。


 外国で日本語の看板を見つけるとホッとするのに、日本で見知らぬ文字に囲まれた姿を想像すると、どうにも不安を掻き立てられる。


 だから、私は文字を人類最螟ァ縺ョ逋コ譏弱□縺ィ諤昴>縺セ縺。


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 そんな駄白の話でした。

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