Prayer Phantasm ー虧月の審判ー

緋川ミカゲ

ー Prologue ー 

 今からは遠い時代、遠い国のおとぎ話。

今では誰もが神話と詩う物語。


 誰かが言った。月は、空に帰すべきだ、と。


 護り人は言った。それはいけない、と。


 剣士は言った。必ず月を戻そう、と。


 軍師は言った。急がずとも良い、と。


 守護者は言った。私が護ろう、と。


 闘士は言った。私が支えてみせる、と。


 近衛は言った。力に頼ろう、と。


 戦士は言った。何もしなくて良い、と。


 かつての英雄は言った。我々の力で救おう、と。


 月は今夜もその黄金を溢し、光の道を伸ばす。

 月は、下界の空には昇らない。神の下で、砂時計の砂が流れていくようにただじっと、ひそやかに、終わりを刻んでいた。



 月の消滅まで、あと___________




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