冒険者の果てなき旅
しろめし
旅立ち
プロローグ
まだ日が出たばかりの早朝。
俺は今日もいつも通りに冒険者ギルドに行く。冒険者の朝は早いのだ。
冒険者ギルドというのはギルドに所属する冒険者という人たちが日々魔物から人々を守り、討伐する善良な組織だ。
そして善良な組織に所属している俺ももちろん善良な冒険者だ。
ギィィ
扉を開け冒険者ギルドに入る。
「えっ?」
いつも通りに冒険者ギルドに入った瞬間、何かが飛来してきた。
避けきれない。
「危なっ」
俺の脊髄反応し、反射的に殴る。
飛来してきたなにかは地面に数回バウンドしてギルドの壁にぶつかった。
飛来してきた何かをよく見ると………人だった。
………マズイ、人を殴ってしまった。いや、一旦落ち着こう。まずは冷静に、冷静に。
俺はギルドに入った瞬間、飛んできた何かを身の危険を感じ殴っただけ。つまり俺は悪くない。正当防衛だ。悪いのは飛んできた人間だ。俺は絶対に悪くない。
「おい、お前誰だよ、急に出てきやがって」
なんか男の冒険者にからまれた。
お前こそ誰だよ。
「今から、あいつをボコボコにしようと思ったら、お前が急に出てきて殴っちまったから、伸びちまってるじゃねーか」
といい指差す先は先程飛んできて殴ってしまった冒険者だった。
こいつ、自ら俺がやりましたよって白状しに来たのか。
いい心がけだな。
「あームシャクシャする。クソっ、あいつの代わりにお前をボコボコにしてやる。呪うんだったらいきなり出てきた過去の自分を呪うんだな」
と不穏なこといいこちらに近づいてくる冒険者。
首に掛けてあるプレートを見ると目の前の冒険者はC級冒険者のようだ。
冒険者の級は低い順からF、E、D、C、B、A、Sであることを考えるとそこそこの実力と言えるだろう。
対して俺はA級冒険者。上級冒険者と言われる実力者である。
相手はどうやら俺の実力に気づいてないようだ。愚かなり。
「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
といい目の前の冒険者が殴りかかってくる。
それに対し俺は魔力を体に流し、身体能力を強化したあと
「えい」
といい、男が俺の拳の攻撃範囲に入った瞬間、殴る。
男は地面に何度もバウンドし壁に、ドォォォォンとぶつかる。
壁は壊れていない。冒険者ギルドの壁って頑丈だな。
どんな素材でできているのだろうか。
「お前の敗因は俺と出会ったことだ」
と言い放ち、依頼が貼ってあるボードへ行く。
何事にも例外はある。善良な冒険者の中にも危険な冒険者はやはりいる。
危険な冒険者をとっちめた俺はもちろん善良な冒険者だ。
決して危険ではない。
依頼の中から、討伐難易度B級のグリフォン討伐を選び、いつも受付してもらっている受付嬢に依頼書を渡す。
「リライズさん、今日も依頼ですか」
「ああ」
短く答える。
「討伐難易度B級グリフォンの討伐依頼ですね、承りました」
といって受付嬢は手元の籠に依頼書をいれる。
その間に俺はさっさとギルドから出る。
よーし、今日も冒険だ。
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