第10話 お姉ちゃん救出作戦

朝起きるとサニーがもう起きていた。


「サニー、昨日寝過ぎて寝れなかったのか?」


「違うの!今日はどこも痛くないの。体が軽くて飛び出し気分なの!」


「そうなんだ、ちなみにお姉ちゃん幾らで売られたかわかる?」


買い戻せるなら買い戻してあげたい。


「確か、私と2人で小金貨5枚だった」


やすっ!、それじゃ、


「お金はなんとかするから、頑張って走れるか?」


「お姉ちゃんの為なら頑張る」


「良し、靴を買ってお姉ちゃん取り戻しに向かおう」


「良いの。お金大丈夫?」


「大丈夫だよ」


そうして、俺は装備を整えて、サニーもローブを着て食堂に向かう。そしてマスターに


「マスター、急な連絡で地元に帰らないと行けなくなりました。戻ってこれるか分かりませんので、鍵を返しておきます。

お代は違約金として収めて下さい」


「おいおいどうしたって云うんだ」


「実はサニーの姉が売られちゃったそうで。

買い戻しに行くんです」


「子供だけでか? よせやい相手にされないぞ。ちょっと待ってろ」


と言って、何処かに出かけて行った。

待っているとマスターが寝ぼけたニックを連れて戻ってきた。


「ニックさん?、マスターどういう事ですか?」


「いまこいつは、長い休暇を取っているんだが家を出ないもんだから、嫁さんに邪魔者扱いされていてよ。嫁さんに話ししたら持っていって良いって言われたから持って来た」


「ニックさん、お付き合いしていただけますか?距離的に馬車で3日程離れています。

かなり走り続けないといけません」


「走るのは自信があるが2人の方が心配だぞ。身体強化出来るのか?」


「僕は問題ないのですが、サニー走れるのか」


「大丈夫です。頑張ります」


「ニックさんは旅支度を、俺達も足りないモノを買いに行きます。

それでは東門で合流しましょう」


「良し分かった。準備してくる」


「マスターありがとうございます。

また、サニーのお姉ちゃんを連れて泊まりに来ますから」


「おう、待ってるぞ」


マスターに礼をして、宿屋を出た。

そして、大通りに出て靴屋を見付けてブーツを購入する。代金は銀貨8枚

そして、古着屋でサニーの着替えと。お姉ちゃんの服をシャツ3枚とズボン2枚とスカート1枚それとローブ一着それと下着を3枚。

代金は銀貨8枚。

次に道具屋に寄って、4人入れるテントと寝袋3個それに水筒を3つそれと肩掛けカバンを2つ購入した。小金貨2枚と銀貨6枚と小銀貨3枚

そうして東門の屋台で串焼き20本やピタパン30個それにパン20個と干し肉30切れを銀貨8枚で購入して。ニックさんと合流した。

購入した全て、肩掛けカバンを経由してアイテムボックスに収納する、ニックさんにも、


「ニックさん実は俺容量がそんなにありませんがアイテムボックスを授かったんです。ですからニックさんの荷物も後で引き取ります」


「なっ、すげぇ〜なぁ。それだけでも商人だったら垂涎すいぜんモノだぞ。分かった。それじゃ後でお願いするわ」


そして、東門を出て走り出す。

身体強化を使って全力疾走で走るがサニーもニックさんもゼンゼン疲れた雰囲気は無い、俺も負けじと魔力を体の隅々までそれこそ細胞1つ1つに染み渡らせるイメージで魔力を流して続ける。


「ニックさん俺の真後ろに付いて下さい。サニーもニックさんの真後ろに引っ付くぐらいの距離で付いて来て」


指示を出すとその通りにしてくれたので


半円をイメージして「ウィンドウォール」を唱えた、そして手をかざしたまま身体強化を使い疾走する、ドラフティングをしながら2人に体力を温存してもらって行けるとこまで行く。


村が見えて来た。俺が住んでた村だ、小さい本当に小さい200程しか居なかった。

そんな名前を覚えていない村を一瞬で過ぎ去る3日かけた道を2時間で過ぎ去っていった。まだ日は高いから問題ない。ここから馬車で2日のところに村が有ったはず、時間と距離的にその辺りに奴隷商の馬車は居るはず、このままのスピードで行けば充分追い付く。後は追突、衝突に気をつけよう。

東門の屋台で、この時期は収穫が終わって随分経っているので馬車や人の往来が少ないと聞いている。


そうして人を見つけては躱しながら進んで少し日が傾いた頃村が見えて来たが、様子がおかしい。ゆっくり速度下げて足を止める。


「サミュエルどうした、まだ村は先だぞ」


「えっ、あっいや、二人共、目に魔力を流して遠くを近くに見える様に意識して俺の指差す方向を見て下さい。 村がなにかに襲撃されています」


「何!ちょっと待てやってみる。 魔力を目に集めて遠くを近くに見える様に〜。

おぉ〜こういう事か!感じは掴めた」


「私も、魔力、昨日から増えて来たんだ。やってみる」


そんな会話を聞きながら見て行くと、サラマンダーが暴れていた。


「ニックさん、サラマンダーです!サラマンダーが暴れています」


「サラマンダーだって!何でこんな処に居るんだ。あいつはもっと南の火山付近にいるはずなのに」


「お姉ちゃん……大丈夫かな」


「ニックさん、サラマンダー退治できますか?」


「俺達、3人じゃとてもじゃないが無理だぞ。あいつの表皮は高温を発しているから接近戦は不可能だ。近づくだけで人は焼かれる。有効なのは水と氷魔法あと雷だけど氷と雷は上級魔法だから使える者が少ない。

この辺じゃ王都の宮廷魔導師ぐらいだ。

それにしてもおかしな動きをしてやがるなぁ

ブレスを吐くわけでもなし、上空を旋回するわけでもなしなにか探してるな。

あっ。奴隷馬車だ!あそこに向かってる」


「キャ〜〜ッ。駄目、駄目、駄目、行っちゃ駄目〜。お姉ちゃ〜〜〜ん」


奴隷馬車が、サラマンダーの前足の爪で切り裂かれる。馬車の真ん中から前と後ろに切り分かれてその前部分をサラマンダーが蹴ると石箱が転がって中から直径50cm程の楕円の卵が出てきた。

サラマンダーはそれを前足で大事に抱えて上空をに上がり南に去っていく。

俺達は大急ぎで馬車に駆け付ける。



そこには半身焼け爛れた姿のお姉ちゃんがいた。


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