第2話 プロローグ② 神と

「……お〜い。お〜い。」


誰かが呼んでいるようだが、何も見えないし、声も出せない。


「あぁ〜、そうか魂だけだからね。忘れていたよ。界渡りしたせいで、肉体は粒子になって消滅しちゃった。依代よりしろがないと何も出来ないね。どうしよっかな~~。」


と俺が魂を預けたと思われる男が、無言になって目が金色に光る。


「おっ、今まさに川に流されて死んじゃった子がいるねこの子にしようっと。」


そう言って手をかざすと、びしょ濡れの痩せた子供が床に現れた。


「この体に入ってもらうね。」


と言って俺の魂を掴み、子供の胸元に押し込んだ。その男の子の容姿は灰色の銀髪で紫の瞳、身長は120cm程度のガリガリ体型だった。身なりはシャツとズボンでそれなりだ。


俺は、と云うか魂の俺は子供の体内で覚醒すると、肺に水が入っているらしく、慌てて起きて肺の水を吐き出した。


「ゴホッ、ゲ〜。ゴホン。ゴホン。ウグェ〜。ゴホッ。ふ〜ぅ、酷い目にあった。

で、あなたは何者なんだ。」


水を吐き出ししゃべれる様になった俺は、対面の男に素性を聞いた。


「それでは、自己紹介を僕はこの星の創造神元は地球の下級神だったんだけど、この星の創造神がやらかして地球の下級神に降格しちゃったんだ。

それで空席になったこの星の創造神に僕が抜擢ばってきされた。

名前は一応創造神サミュールです。

この名前前の創造神の名前何だけど、地球で云う歌舞伎の襲名と同じ感じかな。

地球のときはノース03だったから名前なんてどうでも良いけどね。

それより、君の素性はこの子記憶から吸い上げておいてね。早くしないとその子死んでるから記憶消えちゃうよ。 思考に異物があるでしょ。それにアクセスを試してみて。」


「確かに頭の中に異物みたいな箱がある。ちょっと、アクセスしてみる。」


この子の記憶であろう異物の箱を開けると一気にこの子の記憶が俺に入り込んできた。


この子は王直轄地である村の代官をしている騎士爵を父親に持ち6人兄弟の末っ子でしかも庶子のようだ。

2番目の姉はかわいがってくれるみたいだが、残りの兄弟に酷い仕打ちを受けているみたいだ。死んだ理由も水泳の練習と云っては、川に落とされて溺れたみたいだ。


「この子なかなか不憫な生い立ちだぞ。」


「そうなの?まあ、今から色々な能力あげるから君がその不遇を改善してね。

君からどんな能力が欲しいか一応希望を聞くよ。」


「そうだなぁ。先ずは、この体だ!身体強化は欲しい。それと魔法はあるか?」


「あるよ。それに身体強化は最初に皆が身に付けるスキルだから問題無い。そんなコモンスキルは後から習得出来るけど今つける?」


「溺れていたのに、生きている理由がいるからな。それと、魔法があるなら水魔法と氷魔法と風魔法と光魔法それと治癒魔法が欲しい。」


「じゃ、全属性魔法を使える様にしよう。

何か楽しくなってきた!ゲームのキャラメーキングみたいで、良し!職業は、錬金術師にしちゃおう。後、生活魔法もつけてそれに剣術も付けちゃうぞ!」


「あっ、アイテムボックスも欲しい。」


「それ!旅に出る時に必要だね。

それも付けてあげる。他に必要な物ある。

今、気分が良いから何でも言ってよ。」


「随分と大盤振る舞いだな。 何か俺に後始末させたいとかじゃないか?」


「あっ、解っちゃう。実は、この星は魔法があるでしょ。その元になる魔力素と云う魔法の元の元があってね。これが、直接溢あふれると生物に悪影響を及ぼすんだ。

それで、前任の創造神が、この星の魔力素を減らしたいとダンジョンを作り過ぎちゃったんだよね。

最初はそれで魔力素は吸収されて、森や湖に魔力溜りが出来ずに強力な魔物が出来にくくなって地上は比較的安心して人類が住める様になったんだけど、年数がつと管理されて無いダンジョンの魔物があふれてダンジョンブレイクし、果てはスタンピードで街を壊滅かいめつさせる自体になっちゃったんだ。

そのせいで、監督不行き届きで降格って訳。

ダンジョンはダンジョンコアを抜かないといつまでもダンジョンは魔物を作り出すか拡張を始める。

ダンジョンマスターが存在して、管理されている所は良いけど野良のダンジョンが問題。神罰を落として防いでいるけどなかなかそればっかりしている訳に行かないからね。

今は殆どのダンジョンに神罰を与えてスッキリしているけど後、10数年したらまた魔物が増える。

それを見つけて報告、攻略して欲しい。 

街や村には教会があるからそこで報告してくれるか、そのまま攻略出来ればしてくれるかな。 これは君一人でやる訳では無い。 神託を聞ける教会の人間にもお願いしているからね。」


「それじゃあ、慌てて旅に出なくても良いんだな。」


「そうだよ。しっかり体力を付けて技術を磨いてからで良いよ。」


「後は、そうだなぁ。向こうでクッキーとミャアが死んだら魂を此方こちらに持ってきて俺の従魔にしてくれないか?」


「解ったよ。ちゃんと此方に呼ぶよ。

君と連絡したいから、頻繁ひんぱんに教会に来てくれ。その時に、クッキーとミャアの魂があれば従魔として付けてあげるから。」


「それじゃ、そろそろ地上に降ろしてくれないか。」


「そうだね、僕の神力を浴びているせいか、体の構造が変化しつつあるね。もう送るよ。必ず教会に来てね。

それじゃ、しばしお別れだ。すこやかに過ごせる様に。」


と言って、俺の頭にキスをして送り出してくれた。









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