後頭部がツルツルの女神

猫なで声で電話が掛かって来る「御社は住宅の新築や改装をされていますか」と聞く、「やっている」と当然答えると「それは良かった、弊社は顧客と優良業者様を結ぶ手伝いをさせて戴いているブチッ・・・・・・ツーーーー

ブチッとはこちらから電話を切った音。

誤解の無いように言っておくが私はいつもそんなに横柄で失礼な訳ではない。


この手の電話が五月蝿いくらいに掛かってくる。

工務店に向かって、住宅の新築や改造を施工されていますか、と聞くのがそもそもおかしい。

魚屋に電話して「お宅には魚は売っていますか」と聞くようなもの。

「べらんめぇ、うちはタコ専門店でぇ、魚なんて一匹も置いてねぇ」と解答が帰ってくる位の確率で住宅を施工しているだろう。

なにより、それを知らないのに優良工務店かどうか知っている筈が無い。

高額な登録料を払わされて、万一仕事が来たとしてもタップリ紹介料を取られるのがマシな方だろう。


テレビラジオネットでそんな会社が宣伝している。

試しに「業者様」と言う立場で詳しく聞いてみた。

登録料と成約コミットメントの説明があるだけで、健全な会社なのか、優良な会社なのか聞きも調べようともしない、第一それをスキルも無いだろう。


「ピンチはチャンスの仮面をかぶってくる」と言う。

チャンスを逃したとしても、それは損をしたのではなく儲けそこなっただけ。

そう思い切る事が出来ないから、猫なで声の電話を切った後にちょっと後悔するのである。


「幸運の女神は前髪しかない」という格言を思い浮かべる。

後頭部がツルツルの女神だったかもしれないと、ちょっと思うから。

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