第3話 よ、良かった!現地に戻ってきてくれた!それと現地人と接触?

「『世界線移動』!」


俺は、某時を超えるサイボーグのようなポーズで世界線を移動した。


ででんでんででん!ででんでんででん!


「異世界か!なんか面白そうだな!」


どんな世界なんだろうか?


全く説明を受けてないんだけど。


少なくも魔法はあるらしいから、多分、某最終幻想みたいな感じだろ。イケメン四人で旅する感じだな、俺はイケメンだから既にメンツは一人分埋まってるしOKだ。


でも俺、車の免許とかないしな……。


料理は人並みにできるけど、魔法も使えないし、なんか凄そうな剣を振り回すこともできない。


そもそも、男四人で行動とかむさ苦しくねえか?


ああ、というよりも、モンスター的なのが出るってことかね?


困ったな、死にたくない。


格闘技はそこそこできるのだが、モンスターって言えばこう……、やっぱり、ドラゴン的なのがいるんだろうな。


一流の空手家は、矢でも鉄砲でも火炎放射器でも回し受けで防げるらしいが、俺には無理だ。


となると、こうかな。


ポーション生成、っと。


《リク・ヤゲン

十六歳 男性

Lv1


HP100000

MP100000


筋力:100000

魔力:100000

耐久:100000

敏捷:100000

器用:100000

知能:100000

運勢:100000


スキル

《鑑定》《異世界言語》《アイテムボックス》《世界線移動》《料理》《格闘》


ユニークスキル

《ポーション生成》》


強くなっておいた。


試しに、その辺の広葉樹を殴ってみる。


「ふんっ!」


すると……、その木は、落雷に直撃したかのように弾け飛んだ。折れるとかではなく、弾けた。


「おほー、強いわこれ」


日常生活で手加減して過ごさないとやべーなこれは。


でも、命には代えられないから仕方ない。是非もねーな。




そうして、水の流れる音がする方に歩いて行き、川を発見。


川は……、流れが遅いな。だから、水が淀んでいる。


日本は、高低差が激しい土地が多いから、川も急な流れだ。


川の流れが急だと、川に汚れた水を流しても、すぐに汚れが流れていって、水はきれいなままでいてくれる。だから、日本は水が豊富なんだよな。


逆に、ヨーロッパ、特にイングランドなんかでは、山岳が少ないから、川の流れが遅くて、水が淀んでいて汚い。


で、この水の汚さから、この異世界のこの土地は、きれいな水が少ない地域であると察せられる。アパラチアかな?


とは言え、川は人間の生活と密接に繋がっているのは事実であるからして、川を辿っていけば、どこぞかの街にはたどり着けるだろう。


やばいと思えば日本に戻ればいいんだし、ガンガン進もう!


熊除けの鈴をつけて、と。


さあ、行くぞ!




「ふむ……」


俺の足元に矢が突き刺さる。


それにびっくりした俺は、思わず立ち止まってしまった。


そりゃそうだ、現代日本人で、いきなり矢が降ってきてびっくりしない奴はいない。


とは言え、ステータスの数値を爆上げしたからか、矢に反応することはできたし、その気になれば掴み取れたと思う。


「動くな」


声がした。


男の声だ。


「はいはい、どうしたの?」


「何者だ?」


「旅人だよ」


「そのようなふざけた魔力の旅人などいてたまるか!何をしにここへ来た?!」


「ピクニックしに来たように見えるか?バスケットも持ってないぜ」


風切音がもう一つ。


俺の足元にもう一本矢が刺さった。


「ふざけるな。次は眉間を射抜く」


「おー、怖い。だが、本当に旅人なんだよな。もしかして、ここは私有地だったか?なら、すぐに出ていくから道案内してくれ」


「……迷い人か?」


「そうだって言ってるだろ?ほら、武器も持ってない」


そう言って両手を開いてヒラヒラーっとする俺。


すると……。


木の上から、金髪の美丈夫が降ってきた。


「おお、びっくりした」


俺がそう呟くのをよそに、美丈夫は、その長い髪をかき上げる。


「すまんな、奴隷商人の用心棒か何かかと思った」


ん?


こいつ……。


「アンタ、エルフってやつ?」


耳が長いんだ、こいつ。


「そうだ」


なるほど……。


「えーと、イケメン過ぎて奴隷にされそうなのか。いやあ、気の毒に。ああ、俺もイケメンだからな、大変だ!どうしようか?」


そう言った俺を見て、エルフは、軽く笑った。


「知らんのか、貴様?エルフが追われているのは、その美貌だけではなく、精霊に愛され、魔法を自在に操るからだ」


へえ、そうなの。


「大変だねえ、兄さん」


「貴様……、私が男だと分かるのか?」


へ?


いやいや……。


「顔も体格も声も男だろ?」


「私を追っていた奴隷商人は、私を女だと思い込んでいたぞ」


「いやそれ、ホモなんじゃ……?」


「曰く、エルフなど性別は関係ない、そうだ」


えぇ……。


「いやー、無理だわ俺は。だってチンポ付いてんのよ?無理無理!まあ、相当可愛い美少年ならいけないこともないが……」


「い、いきなり下劣な話を……」


なんだよ、ウブなこと言いやがって。


チンポくらいでヒーヒー言うなよな。処女か?処女だな。処女じゃねえ男って何だよ。


まあいいや。


「で?俺は追手じゃない。ならどうする?」


「どうもこうもない。いきなり攻撃した詫びに、近くの街まで案内しよう。どうせ、私も近くの街へ行くつもりだったからな」


へ?


エルフってほら、森で暮らしてる系のあれじゃないの?


まあいいか、本人がそう言ってるなら。




「ところで、貴様。その鈴は何だ?」


「え?熊除け?」


「馬鹿か?確かに、野生動物は音に警戒して逃げるだろうが、モンスターが寄ってくるだろう」


あ、モンスター。


やっぱりいるんだ。


「なるほど、この辺は慣れなくてさ。おかしいところがあったらガンガン言ってくれ」


鈴はしまう。


「ああ」


「あ、そういやさ、俺も聞きたいんだけど、ここどこ?」


「ヘロス州の旧ハリオー辺りだ」


わからん!


「すまん、なんて言う国だ?」


「この国自体はリードバーグ王国という。そんなことも知らんのか?」


「知らないんだよなあ」


「……貴様、どこから来たのだ?」


「日本だけど?」


「ニホン?聞いたことがないな」


「まあ、異世界だからなあ」


俺がそう言うと、エルフはピタリと動きを止めた。


「貴様……、『彼方の者』か?!」


「え?うん。ロマリエルって名乗る天使に連れてこられた」


「まさか……!いや、しかし……!」


おお、なんか悩んでいるみたいだ。


イケメンの一人百面相は絵になるねえ。

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