第16話 警察はなにやってんだか。

 皆さんこんばんは、夏目漱一郎です。

いや~自主企画の新規参加者募集も打ち切って、ようやく一息つけると思ったのに、『8月31日まで毎日更新イベント』ですか……今、執筆中の作品も無いし、ストックもあるにはあるけどクリスマスの話ですからね。こんなクソ暑い八月に読むような作品ではないのですよ。書けるとすれば、こういったエッセイ関連のエピソードトーク的なものしかありませんね。これで8月31日までなんて、ネタがもつのか?


 話は変わりますが、皆さんはもう『新札』を使いましたか?確か、7月3日から発行されているようですが、僕はまだ見た事もありませんよ。新一万円札に描かれる人物『渋沢栄一』なんて、この新札の話題が無ければその存在すら知らなかった人物です。もっと他にいなかったんだろうか?坂本龍馬とか勝海舟とか……それよりなにより時代はもうキャッシュレスの時代です。皆さんの中にも、普段はスマホ一つで財布を持ち歩かないなんて人もいるのではないでしょうか。財布を持ち歩かなければ、落とす事もありません。実は僕、以前に財布を落とした事があるんですよ。


 ある日の事です。自分の部屋にいた僕のところに電話があり、友達のTより『今から飲みに行かないか?』と誘いがあったのです。僕は二つ返事で快諾し、出かける準備をしようと洋服掛けにかけてあったリュックのポケットから財布を取り出そうとしたのです。


「あれ?変だな……

そこは、いつも財布を入れておく定位置でした。外から帰ってきたら、まずは最初に財布を出してそれをリュックのポケットに入れる。それが、僕が家に帰った時のルーティーンみたいなものでしたから、その場所に財布が無いとすごく焦るのです。


「えっ?ヤバい……これはヒジョーにヤバい。もしかしたら落としたかも!」


僕は急いでTに電話をし、財布を落として金が無いから飲みに行けない事を伝えました。

「そういう訳だから、今日は遠慮しとくよ」

「いや、こっちはお前が来ると思って先に来て飲んでるんだよ……まあ、いいや。お前の飲み代くらい出してやるから、とりあえず来いよ」


『持つべきは友』です。僕はいつもの居酒屋に行って、財布無しでこれからどうすればいいかTに相談しました。なにしろ財布の中にはお金の他にキャッシュカードやクレジットカード、それに免許証も入っていたのです。つまり、カードでお金を下ろす事も出来ないし車に乗る事も出来ないのです。


「とりあえず、明日交番にでも行ってみれば?もしかしたら誰かが拾って交番に届けてくれてるかもよ」

「そんなにいい人いるのかね?現金だけ抜いてまた捨てられるのが関の山じゃないの?」


最悪、それでも戻ってくればいいと思いました。免許証再発行とかカード再発行とか、考えただけでも面倒臭そうです。


 翌日、会社には『財布を落として交番に行く』と理由を言って休ませてもらい、歩いて交番に行きました。


「すいません、財布を落としてしまったんですけどこちらに届いてませんか?」


交番の中には警官が二人いました。役職等はわかりません。


「財布ですか、それは大変ですね。それでは遺失物届を書きましょう。この書類に氏名、年齢、生年月日、住所等を記入して下さい」


僕は警官の言う通り書類に記入しました。財布の特徴、等も記入しながら警官に訊いたのです。


「あのう……こういう財布とかって、戻ってくるものですか?」

「いや~返ってくる時もあれば返ってこない時もあるね。拾う人次第だね。いったいいくら入ってたの?」

「う~ん、現金は二万円くらいかな?あと、カードと免許証と……」


『カード』と聞いて、警官の表情が変わりました。警官は眉間にしわを寄せてこう言うのです。


!」


その警官がしきりにカードの停止を促すので、僕はその場でカード会社に電話をし、カードを落としてしまった旨を伝えると、オペレーターは僕のフルネームと生年月日で本人確認の後、カード停止の手続きをしてくれました。


『……以上で夏目様のカード停止措置を完了しました。万が一カードが見つかってもこのカードはもう使えませんので、お客様で破棄してくださるようお願いいたします。新しいカードは二週間程で届く予定です。』


 僕が電話でその説明を聞いている時です。警官の一人が奥の方からなにか

を持ってきたのです。そして、その茶封筒の中身を僕の目の前の机の上に広げたのでした。




「あっ!!俺の財布!!」



なんと、財布はどこかの善良な市民によって、この交番にとどけられていたのです。もちろん嬉しかったです。嬉しかったですが、なんであの警官は 普通、財布が届けられたらその中に持ち主を特定する物が入っていないか調べるもんじゃないでしょうか?この財布の中にはが入っていたにも関わらず、訪ねてきた僕に


でも、戻ってきてくれてよかった。日本は本当にいい国です。

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