陽光にいる
変な元小娘
序章 後悔
「あと何度この景色を見れるのだろう」
陽光を乱反射させた水面が一筋に煌めく。私の半生はこれほどまでには輝いていなかった。落ちかけた太陽のように脆く今人生の帰路に立っている。
晩ご飯何にしようか。今日の収穫はなかったな。行き交う商人や農民の幸せそうな話し声を聞く度に切ない思いにかられる。私は家族の為に何かしてあげることが出来ただろうか。日の登らないうちから武術に励み夜は野宿をする日々の中で家族はどんな思いで私を見ていただろう。
後悔の念を抱きながら過ぎ去った過去を川に問う。本当は私なんかに家族を持つ権利はなかったのではないか。妻一人幸せにすることができずに私は今まで何をしてきたのだろう。
あの日から目を瞑ってきたはずの答えがするりと口をついて出た。
「家族との日々を失って得た今がこれだ」
涙を堪らえようとし歯をぐっと食いしばる。失った5年は戻ってこない。こんなことなら家族と向き合って幸せに生きていきたかった。
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