Chapter1-5 正面衝突

*凄惨なゴア描写が冒頭にあります。苦手な方は一度下にスクロールして二人の叫びあたりからお読みください*











 走る、逃げる、浮浪者すらいない通り。

 走る、息が切れる。 路地に入る。


 饐えたゴミ袋の山、それを突いていたカラスが飛んでいく。


 突き当たり、行き止まり。

 ネズミが四方に逃げる。 振り返る。


 男。 私の髪を掴む。 壁に叩きつけられて。腹を殴られる、鋼鉄の腕が蒸気を吐く。

 何度も、何度も、潰れるくらいに殴られる。

 お腹の中で何かが破ける。 激痛。気持ち悪い。

 お腹の中でどくりどくりと何かが脈打って行き場なく溜まる。


 コンクリート。叩きつけられる。

 ベトついてる。

 服を破かれる。 蹴る、暴れる。

 顔を殴られる。 頭の中がいたい、熱い、動けない。


 ナイフ。 ナイフが光る。 振りかぶる。

 腕を掴む。刃先。 右の目。 力が入らない


 近づいてくる。 あと


 3cm

 1cm

 0.1cm


 ぷつ。


 ぐち、ぐちぐちぐち……ぶつっ……


 痛い、痛い、いたい、見えない、痛い。


 ぶちぶちぶち。


 刃先の感覚が消える。 絶対に届いちゃいけないとこが、生温く


ず、


るっ




「っっーー!!!『「っっだあ!!」』」


 悪夢の反動で体が跳ね起きた瞬間に額に激痛が走る。


 え、何? いや何? マジ何?? 隕石??


 「いっっっ……てぇ……ルナ…ァ?」

 「っっっっったぁ!!!マジなんなんスか!!!マジ!!マ!!いぃぃっっっー……」


 やたら綺麗な茶色の目がついた顔が遠ざかる。 勢いでキスしてやればよかった。 いや、そんな事より……。


「……あのさ、どういう事? 何……?」

「あーたが!やたらうなされてるから!! 心配で!!! 様子見てたら!! 急に!!!」


 状況が掴めてきた。クソみてえなラブコメかよ。


「あー……ごめん、ルナ、ほんとゴメンね? ありがと?」

「嫌い! あーた嫌い!!! 石頭!!!!」

「ごめんって。 悪夢見ててさ……だから何ってわけじゃないけどさ……ごめんってば」


 悪夢の内容を仔細に反芻する間も無く済んだのは幸運だったかも。右目の電子義眼が微かに疼くが、じきに収まるだろう。


 「……目、なんかあったんスか?」

 「アタシ寝言でも言ってた?」

 「まあ、色々……聞かなかった事にします」


 あぁ……人と寝るとたまにやらかすんだった。完全に忘れてた。


「こんな街じゃよくある事。 気にしないで」


 とりあえずおでこを撫でてやる。 私は何してんだか……。



「お大事に。 酒は飲みすぎないように」

「へへ、いつもすまねえな先生。それよかガレージの下品な単車はなんだい?」

「入院患者の私物だ」


 昨日から何も食べてなかったね、とクドーがくれたXXLサイズのブリトーを齧り、ぬるい牛乳で流し込んでから身支度を整えてエレベーターを降りる。

 処置室から煤けた身なりの小男がそろそろと出ていくのが見えた。 待合室には誰もいない様なので入れ替わって処置室に入る。


「おはよう。 ……なんで二人してたんこぶ作ってるんだ?」


 並んだ私達を一瞥してクドーは怪訝そうな顔をする。


「それは守秘義務ってヤツにしといてよ……」

「守秘義務は私たち医者が患者の事情を他言しない義務なんだが……まあいい」



 腕を吊る器具を外してもらったルナは右腕を伸ばして少し引き攣った顔をした。


「鎮痛剤と化膿止めを出そう。 毎食後一錠ずつ。 化膿止めは全て飲み切る様に」

「はい」

「三日後にまた来たまえ。 ギプスを外して傷に問題がなければ通院は不要。 ただし、昨晩も言った通り撃ったりぶら下がったりは2週間禁止だ」

「わかりました」

「じゃあ最後に会計をーー」


 話に割り込む。


「金は私が出すよ」

「……ちゃんと見てたのだな」


 少し感慨深げに頷くクドーから診療明細を受け取り、金額を端末に入力、確定。 結構かかったな……。


「確認した。 イノセント、これは二個目の処方だ。と言ってもいつもの薬だが」


 白地に赤いロゴの箱を渡され、確認を促される。

 MedAceのCalm-04が2ダース。

 それとオレンジのボトルに入った精神安定剤の錠剤。 ずっと切らしたままだった。


「あまり注射に頼らず基本は飲み薬で調整するように。 それじゃあ二人とも、お大事に」

「いつもありがとう」

「お世話になりました」


 処置室を後にして地下室の階段を登る。


「本当にいいんですか? 病院代……」

「アタシの先輩達もしてくれた事なの、アンタも後輩が出来たら同じ様にしてやりな」


 死んでいった人たちを思い出す。 みんなこんな世界では信じられないくらい、いい人たちだった。


 ……しかし面妖な構造の病院だ。 医療機能は全て地下室で1階はガレージ、入院設備は2、3、4階で全個室。 何か理由があるのだろうか。


「アーッ!!見ないでくれ今暇すぎてマス掻いt」


 左ハンドルのボタンを押し込みファッカーをミュート。

 初期化だなー……。


「暑いっスね、ガレージの中でもジワジワと……」

「まだ春なのにね、変な陽気」


 酸性雨が乾く匂いと通りの饐えた匂いが混ざった上に強い日差しで濃縮されてるのか普段より数段ひどい臭いだ。 診療所の中が聖域に思えてくる。


「そういや家どこなの? どうせだから送るよ」

「ミッドセンターのM5メガビルっス。 でもいいんスか?」


 メガビル、地味に良いとこ住んでるな……。


「別に良いよ、アタシも特に用無いし。 にしてもメガビルかぁ、クソ騒がしくない?」

「んー……でも、部屋出て3分でメシ食えるし、生活用品とかも中で買えるっスからねぇ。 ヨレてるジャンキーはウザいけどネタ売ってくれるし、便利さのが上っス」


 割と好きモンなのかこいつ。


「思ったより悪くなさそうね。 ……ちょっと待っててくれる?」

「いいスけど」


 ふと思いつき、一人でガレージの外に出てウィンストンに通話回線を繋げる。


 2コール……3コール……4コール……


「早く出ろハーー」

『イノセントか、新人の怪我の具合は?』


あっぶねえ、ハゲって言うのバレるとこだった。


「開放銃創と軽い骨折でギプスが三日、仕事は2週間ドクターストップですって。 でー……ちょっと相談なんだけど」

『なんだ? 言ってみろ』


 たまにはいいか。


「三日くらい休暇貰えない? ルナの世話見てやりたいし、久々の地上だから色々揃えたいものがあるのよね」

『随分急だな……。 まあ、構わんが。 そもそもオレとお前は雇用関係でも何でもない。好きにしろ』


 それもそうである。ハンドラー支配人直属の傭兵に近いとはいえ、建前上は違法行為は個々人が勝手にやってる事になってる。


「んじゃ、そういう事でーー あ、待ってもう一つ」


 むしろこれが本題だった。


『なんだ……』

「今度からルナが仕事する時はアタシもアサインしてくれない? 逆も同じで」


 微妙な沈黙で間が開く。


「ウィンストン?」

『……別に構わんが、報酬割合はどうする?』

「アタシの仕事の時は五分五分フィフティ・フィフティ。ルナの仕事の時はルナ6〜7で」

『了解した。しかし、気が変わったのか?』

「何が?」

『仕事は一人でしたいって言ってただろ? オレが提案しても絶対に聞かなかっただろうに』


 そんなこともあったかしら。


「アイツが気に入ったってコトにしといて。 みっちり鍛えてやりたいからさ」

『あのな……あんまり言いたくないんだがな。 そういう事言い出したヤツは決まってすぐに死ぬんだよ』


 不吉だなぁ……。


「縁起でも無い事言うねぇ」

『縁起が悪いのはお前だ。 こっちは仕事中だ、通信切るぞ』

「休暇ありがと。 通信アウト」


 ガレージに戻るとルナは虚空を眺めながら指先を忙しなくタップして空間タイピングしている。調べ物か?


「……ネコ好きっスか? あーしもネコ飼いたいんスけど高すぎて。代わりにホロ幻想ネコ飼ってるんスよね」


 SNSか。


「実物はネコカフェで遊ぶか野良の子眺めるくらいのがいいよ。 アタシらの仕事じゃちゃんと世話できないし、部屋中バリバリにされるらしいし。 ネコ派?」

「ネコ派っスね。イノセントさんは?」

「さん、はもういいよ。 アタシもネコ派、三毛が好き。 オマケみたいについてる短い尻尾の子がラブリーで」

「ウチは長毛っスね。ワッサワサしてて尻尾長いのがたまんなくって」


 ネコ談義はどこの界隈でも変わらないな。

 カワイイし、そりゃそうよねぇ。


「わかるわー。 尻尾のフワフワした感じキュートよね。サワサワしたい」

「いいっスよねぇ……幸せに脚生えてる生き物っスよネコは」


 分かり合えそうだな、と思いながらバイクのエンジンを掛ける。

 ……夜は気にならなかったけど随分下品な紫色のペイントだ、アスカってもっと上品な色してる筈なのに、マジでセンス無いな……アルとやらにリペイントも頼むか。

 跨ってキーを刺し、ゴーグルだけ付ける。 腐ったヘルメットはどっかに捨てよう。

 メーターのPALランプが不服そうに点滅したがシカトする。


「じゃあ行こっか」

「お願いしまーっス」

 

 ルナが3段シートにもたれたのを感じてからルート情報を入力する。


 M5メガビルディングまでの予定時間は20分ほど、昼間なので法定速度遵守で行こう。

 ギアを入れてスロットルを捻るとうんざりするほど喧しい排気音が薄汚れたストリートに響く。 突然の爆音に怯えるホームレス達を尻目に私達は診療所を後にした。



 ーーミッドセンターに入ると一気にビル群の高さが上がり、超巨大広告モニターがあちらこちらで騒ぎ立てていた。


 「欲望充足率300%保証!アナタの感度も何千倍??アーン❤︎」


 診療所のカタログの〈生殖器〉項目の一面広告にもあった性的インプラントの広告映像だ、やたらデカい尻の女を担ぎ上げた男が情熱的な抱合をしながら前後運動するセクシーな広告。 やれやれ……。


 信号を曲がり、0.8km直進。

 

 「朝もッ!昼もッッ!夜もッッッ! エックスッッ!!! エッッッッックスッッ!!! ラーーーッッッッッッッッジッッッッ!! 5種類のフレーバーとケミプロテイン増量バージョンもッッ!! お求めはラージ社の自販機ッッ!もしくはコンビニでッッッッ!」


 ひたすらシャウトする男声に爆発音。 ブリトーの中身が画面一杯に広がって肉汁がバチャバチャ跳ねる映像。

 さっき食べたやたらデカいブリトーのやたらデカい音圧の広告だ。 映像ほどジューシーではないがデカさに偽りは無い。

 あんなの毎食食ったら秒でデブになるっつーの。


「見てると食いたくなるっスよね」

ハイプ誇大広告の餌食になってるわこの子」


 こいつが太っても大した色気は出なさそうだな……。


「おマミ……おマミ……おマミ……」


 奥ゆかしい女声による極めて端的な読み上げと黒地に白文字で"OMAME OMAME OMAME"と表示されるだけの昔からあるシンプルな広告。 寂れたスーパーのつまみコーナーで商品を見たことがあるような、ないような……消費を煽る効果は高くないだろう。


「買ったことあります? おマミ」

「見かけた事あるけど買う気にならないのよね。 何なのかしらね」


 赤信号なのか車列の速度が落ちたので車線の間をすり抜けて最前列の後ろに入り込む。

 前方にはピックアップドローンを搭載した白いトラック……から凄まじい異臭だ。


「うえっ……"資源"回収の後ろについちゃった」

「マジ吐きそうなんスけど……」


 マジで喉まで出かかってるような声でルナが呻く。


「アタシの背中に吐いたらここで降ろすからね?うぶ……」


 私も私で正直、割と危ない。


「こちらはライフサークル財団 資源回収社です。 ご不要になりました死骸・生体パーツ・大量の生体資源等、ございましたらお気軽にお申し付けください。 こちらはライフサー」


 トラックの広報スピーカーから無機質な男声の合成音声が再生される。 いかにもお役所って感じの雰囲気。


「遺棄された生物資源を検知、回収します。 ドローンから離れてください。 離れてください。 もしも妨害する場合は規則に則り通報、場合によっては自動発砲します」


 信号が青に変わる。 ギアを入れフルスロットルで停車した資源回収トラックの右を抜けた。


 後5秒遅かったらマジで吐いていた自信がある。


 ミラー越しに眺めているとトラックから発進したドローンが路地裏から死体……を拾ってトラックの荷台へとヨロヨロと飛んでいる。

 道ゆく人は宙吊りにされた死体から垂れる液体を実に不愉快そうに避け、後は無関心そうに歩き去って行く。行き倒れたホームレスの死体だろうか。


「……あーし昔から疑問なんスけど、あのドローンってちゃんと死んでるの確認してから積んでるんスかね?」

「酔い潰れてたアホが拾われかけたのは見たことあるよ、すぐ抜け出したけど」

「ザルっすねぇ……」


 後5分くらいで着くか……しかしミッドセンターは本当に騒がしい。


 広告の音圧もなかなか酷いが、監視カメラの赤外線レーザーを電子捕捉と誤認しているのか被捕捉アラートが出っぱなしで目も疲れてきた。

 少し感度ゲインを下げるか。

 視界内モニターを注視してーー


「そこのふざけたバイク止まりなさい!! 今すぐ止まれ!!」


 路肩に止まっていたパトカーのスピーカーから怒号が発せられる。止められるような走りをした覚えは無いが……。

 とりあえずスムーズに路肩にバイクを停めると警官が二人、そのうち一人はとんでも無い剣幕でこちらに詰め寄る。


「貴様ァ!!!そんなふざけたバイクで何を偉そうにデカい銃出してんだ!!! 逮捕だ逮捕!!免許証持って両手を前に出せ!!」


 あー……クソ新人は警察にもいるのか……。


 あからさまに若い、20ちょいの男が顔を真っ赤にして子犬のように喚く。

 後ろから遅れて歩いてくる警官は30過ぎだろうか、彼の関心は私よりも新人に向けられているようだった。


 「えーっと……お巡りさん? 一応 銃器携行許可証GCLはあるんだけど、見なくていいの?」


 実際持ってる。 のに私の正しい反論に対してこの子犬は自分がブルドッグかピットブルだと思い込んでるのか、赤通り越して血の色そのものになりそうな顔をして更に吠え始める。


「そんなわけが!あるか!!! そういう正しい市民がこんな!!バカみたいな!!! 単車に乗るわけ無いだろう!!!!逮捕だ!!!」


 バカみたいな単車なのは心底認める。


 ミラー越しに見た背後のルナは今にも吹き出しそうな顔をしてわざわざ指を耳に突っ込んで電話のジェスチャーをし始めた。


「あー、もしもしぃ? ガラスシティ警察GCPDさんですかぁ? ちょっと上の方に繋いで欲しいんですけどぉ……はい、多分新人さんなのカナー? それがものすっっっっごい違法に私達を検挙しようとしてましてぇ、すっごく怖いんですぅ〜」


 おーおー、随分煽るな。いい性格してる。

 それはそれとして吐き気がするほどいやらしい猫撫で声だ。


「貴様!!!!!ふざけた!!!!マネを!!!!!するな!!!!!」

「いやぁ〜ん、本当に怖くってぇ、えっとー、バッジのナンバーは625ーー」

「代われ。 貴様は下がってろ」


 子犬クンの肩がガシリと掴まれて後ろへと放り投げられた。ざまあみろ。


「えっとぉ〜〜、場所はぁ〜」

「ルナ。 もうやめな」


 見かねたのか上官らしき警官が出てきたのでルナをミュートさせる。 子犬クンが躾のなって無いチワワならこっちは訓練された精悍なドーベルマンといった雰囲気だ。


「部下の非礼を詫びる。今月からの新人なもんで、笑って許してくれるとありがたい。 ライセンスを見せてもらおう」


 喋りながら警察手帳を見せられる。 疑う余地なく警察だ。


「血の気の多い新人は大変ですよねぇ……。ライセンスはこれ。 OCPオープンキャリーパーミッションCCPクローズキャリーパーミッションも取ってるから問題無いはずだけど」


 電子ライセンスをポケットから取り出して手渡す。 公的な身分証明ならこれで全て済む。


「えーっと……名前が」

「名前の読み上げは勘弁してもらえます? 訳アリで……」

「……本部、認証頼む。個人名省略……職業 傭兵。 識別番号40352657-96524-1」


 使えない部下が散々喚き立てたせいでバツが悪いのか、渋々ながらもワガママを聞いてもらえたようだ。


「……確認が取れた。 これは返そう。 傭兵だからとあまり派手に暴れないように。後、車検適応マフラーに変えろ。もう行っていいぞ」

「修理に持ってくとこでしてね……ご苦労様です」


 ちょうど青信号だったのでそそくさとその場を後にする。


 角を曲がると真正面にメガビル前の交差点と信号が変わるのを待つ人だかりが見えた。


「あんまり警官煽っちゃダメよ。 面倒になったら逆らえないんだからさ」


 割と真面目な忠告である。アレだけで済んだから良かったものの……。


「いや〜〜…めっちゃ面白くって、つい」

「……この先、嫌でも罪状はついて回るんだから、勘繰り過ぎくらいが丁度いいの、アタシたちは」

「……そっスよね」

「まあ、面白かったよね。あのチワワ警官」



 ーーM5メガビルディング 全階層120階、総人口は8000とも10000超えとも言われる超巨大複合施設ーー


 ……の、地下駐車場にバイクを駐める。 この規模の施設の付帯の割に駐車料金は極めて良心的。

 なぜなら住人が勝手にハックして激安料金にしているからだ。その証拠に利用案内板に書いてある料金の1/10の請求で駐車許可証が会計機から吐き出された。


「で、あーしの家に泊まってくんスか?」

「は? なんでそうなるの?」


 あまりにも唐突、マジでなんで?


「だってウチの世話するとか電話してたじゃ無いスか、聞こえてたんスよ? そのために休暇取ったとか」

「耳良いのね……」

ネコルナっスからね、別に泊まりたいなら好きにして良いっスよ。 色々手伝ってもらいたいし」


 実際、渡りに船である。 なんせ自宅に帰ったところで電気も水道も止まっているし何ならベッドもない。 有るのは服と銃と雑多なものだけだ。


「まあ、髪くらいなら洗ってやるわよ」

「遠慮するっスー、雑そうだし」


 可愛気無えなぁ……と思いながら私達はエレベーターに乗り込み、23階のボタンを押した。

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