エピローグ[前]:シークエル

「ん?まだ残ってたのか?」


彼はそう言う。少し汚れた白衣に荒っぽく纏めた髪束、目元のクマは少々不健康そうだ。


「そうだねぇ、残ってくれたし裏話でもしようか」


おもむろにノートパソコンを閉じると語り始める。


曰く、今回の小説は挑戦でもあったと。

ネット上へ小説を投稿するのは自分、個人的に初の試み。

完璧を求めて研鑽するのは良いが、それでは1つとして投稿すること無く老いてしまうからさっさと投稿した。

それに投稿しなければ求められる技能が何か分からないから始めた、と。


「いや〜あれには驚いたよ」


小説データをPDFに落とし込んでコピーアンドペーストでデータ入力を行ったが、エクスクラメーションマーク(これ→!)が全角から半角へ勝手に変わってしまい読み辛い物になってしまったそうな。しかも段落や一部の場所(!や括弧の横空間)で空白が出来たり頭を抱えたとか。


「テキストデータにはテキストだったね......」


下手にPDFへ変換するよりTXTに変換してデータを持って行ったらその問題は全て解決したとか、(#10)までPDFで入力したので手直しに時間がかかったらしい。


「ちなみに[注意事項]は投稿時から変えてないから当時の状況が見れるよ」


彼はいつの間にか置かれた飲み物を飲んで一息つく。


「あ、そうそう」


毎日投稿したのは自身がどれだけやれるか測る為。

毎日投稿するに当たって[予約投稿]と言う名の[予備弾薬]を10程用意していたが最終的には多くて2しか残らなかった。


「追い詰められると、力を発揮するタイプも考えものだよね......」


彼は遠くを見ながら疲れた様に言った。


「今見ると恥ずかしいね、愚痴も多いし伝えたい事が冗長で分かり難い。少々無理した話しもあるし......」


曰く、一つ一つに伝えたい事が封入されているらしい。


「まぶたが落ちそうになりながら書いたから仕方ないね、うん」


彼は自分へ言い聞かせる様に独り言を呟く。


「サイテーBOTちゃんも詳しく書けなかったな、まだまだ若いからどう育つのか気になる所だけど話になるかと言えば......うぅん......」


ふと、こちらを見る。


「結構長くなったしそろそろ......出て行ってもらおうか?」


カチリッ


いつの間にか彼の手元へ置かれていたボタンが押される。


\\(キラッ)!//

バクハツ オチ ナンテ サイテ-......!

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